不動産取引における心理的瑕疵に関する検討会(4) | セミリタイアを目指すサラリーマン大家 マンション管理のお勉強

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2020年2月から2021年3月にかけて国土交通省の「不動産取引における心理的瑕疵に関する検討会」において検討が行われ、「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」が策定されました。検討会で行われていた議論内容も参考になるかと思い、資料を参照し、気になった点をメモ書きしましています。今回は2021年2月10日の第4回の検討内容についてです。

■第4回検討会(2021年2月10日)
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_tk3_000001_00015.html

(1)孤独死・自殺・犯罪死対策の保険の例

※公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 - 家主費用・利益保険(賃貸経営サポートプラン)

・賃貸住宅において孤独死・自殺・犯罪死が発生した場合に被保険者が負担する家賃損失や原状回復費用等を補償。
・入居者が行方不明となった場合に負担した費用も補償。

1)「家主費用・利益保険」のポイント

〇孤独死対策に必要な費用を補償
・孤独死・自殺・犯罪死の発生に伴う家賃損失・費用を補償。

〇居住者が行方不明となった場合に負担した費用を補償
・「居住者所在不明時費用補償特約条項」により、建物明渡請求訴訟費用、残置物整理費用等を補償。
*本特約条項に規定する「所在不明」の定義に該当し、所定の裁判手続きを行った場合に限る。

〇日管協会員独自の補償内容で、安心の保険料
・日管協会員独自の補償内容で、建物の火災保険とは別に単独で加入できる。

2)補償の概要

●家主費用・利益補償特約条項
①家賃損失
・空室期間中の家賃減少による損失。
・重要事項説明義務が生じ、空室期間を短縮するために必要となった家賃値引きによる損失
②原状回復費用
③遺品整理等費用
・相続財産管理人選任申立諸費用(弁護士等への報酬を含む)
・お祓いまたは追善供養に要する費用
④空室期間短縮費用
・空室期間の短縮を目的として支出した、賃貸戸室の内装を構造、質、用途、規模、型、能力等が同一の物に改装するための費用
⑤建物明渡請求訴訟費用
〇支払限度
・上記①~⑤の損失と費用を合計して、1回の事故につき、加入時に選択する支払限度額
(100万、200万、300万)

●居住者不在不明時費用補償特約条項(自動付帯)
①残置物整理費用
②不在者財産管理人選任申立諸費用
③建物明渡請求訴訟費用
〇支払限度
・上記①~③の費用を合計して、1回の事故につき、100万

3)保険料例

・支払限度額100万:240円/月
・支払限度額200万:400円/月
・支払限度額300万:550円/月

(2)議論・検討

●賃貸借契約における告知の時期、内容、方法について
・事案発生後、賃借人が入居し、その1~2年後に退去した後に、次の賃借人に貸す場合、告知不要としてはどうか。
・事案発生後に別の賃借人が当該物件に入居する場合についても、単に一回入居すれば十分とみなすのではなく、2~3年など一定期間居住した事実が必要なのではないか。
・告知する内容は、死因の詳細ではなく単に従前入居者が亡くなったことのみとしてはどうか。原則として所轄の警察は死因を開示することはないし、プライバシーにもかかわる事項であるから、調査にも限界がある。

●売買契約における告知の時期、内容、方法について
・殺人、自殺、事故死の場合、経過期間によらず告知が必要とあるが、売主やその相続人に過大な負担を与える恐れがないか。

●告知を行うための調査について
・ガイドラインでは、調査義務と告知義務の関係性を整理すべき。
・宅建業者はプライベートな空間についての調査に限界があることに留意が必要。
・近隣住民等第三者への聴取やインターネット上の情報を参考にすることは、正確な事実関係を確認できず、宅建業者としても責任は負えない。