一般社団法人日本少額短期保険協会
孤独死対策委員会(2024年1月)『第8回 孤独死の現状 レポート』一般社団法人日本少額短期保険協会
1)このレポートの対象となる保険契約
①対象: 少額短期保険会社が取り扱う孤独死保険に加入している被保険者、入居者
②収集の対象期間:2015年4月~2023年3月までの間で保険金が支払いされた孤独死のデータ:8,695人
2)調査結果
①男女別孤独死発生数と死亡時の平均年齢(n=8,695)
データ数(割合) 死亡時の年齢の平均
男性 7,241(83.2%) 61.9歳
女性 1,454(16.7%) 47.6歳
②男女別死亡年齢の男女別構成(n=8,695)
~29 ~39 ~49 ~59 ~69 ~79 80歳~
男性 4.1% 7.1% 9.8% 16.9% 30.6% 22.5% 9.0%
女性 7.5% 7.4% 11.1% 14.8% 19.9% 22.5% 16.8%
③男女別死因構成(n=8,695)
病死 自殺 事故死
男性 64.3% 8.7% 0.9%
女性 60.4% 13.5% 2.0%
④第1発見者の構成比(n=6,045)
近親者 職業上の関係者 他人
男性 35.8% 52.1% 12.1%
女性 46.1% 44.1% 9.8%
"職業上の関係者":管理会社、大家、警察、福祉サービス・自治体・配達業者等
"他人":近隣住民、同建物内の入居者等
⑤発見原因別の人数(n=270)※2016年第1回レポートより
訪問 連絡 異臭 郵便物滞留 家賃滞納
112人 79人 50人 10人 19人
⑥発見日数の割合と発見までの平均日数(n=6,646)
~3日 ~14日 ~29日 ~89日 90日以上
男性 38.9% 28.9% 15.2% 14.9% 2.1%
女性 47.0% 26.4% 12.9% 11.3% 2.6%
⑦損害額と支払い保険金
イ)残置物処理費用:死亡者が居室内に置いていた遺品を整理する費用
平均 最小 最大
損害額 23.7万 0.1万 178.2万
支払保険金 23.6万 0.1万 99万
ロ)原状回復費用
平均 最小 最大
損害額 39.7万 0.5万 454.7万
支払保険金 31.2万 0.5万 300万
※損害額と支払保険金の差額について
・支払事由により、限度額が設定されている商品があるため、損害額と支払保険金は一致しない。
・損害額に計上されているものでも、商品によっては支払要件に該当しないものがあり、平均額差が生じる。
ハ)家賃保証
平均損害額:32.9万
支払保険金(n=17):34.5万
3)分析コメント
①年齢、男女比
・孤独死する方は、思ったより若くして亡くなっている。(平均61~62歳)
・孤独死の割合は男性83.3%、女性16.7%となっており、賃貸住宅の男女居住比率6:4を勘案しても、男性の発生が多いと云える。
②死亡原因
・病死に続いて自殺が多く、男女別の自殺割合は、女性の割合が高い。
・令和4年(2022年)の全国民の死者数のうち、自殺者が占める割合の1.4%と比較すると、孤独死に占める自殺の割合(9.4%)が突出して高いことが分かる。
→賃貸住宅において、同居人がいない場合に、孤独感が増し、自殺に至る確率が高くなっている可能性が考えられる。
③発見までの日数
・3日以内の発見に着目すると、女性の場合は47%と、男性より早期に発見される割合が高いことが判る。
・男性は、15日以上経過して発見される割合は3割を超えており、長期化する傾向がみられる。
④発見者
・親族や友人が発見するケースは4割に満たず、近親者が発見にいたるケースは、女性の方が男性より10ポイント以上高い。女性の方が家族や友人と密に連絡している傾向が高いことが影響している可能性がある。