外部専門家等の活用のあり方の検討状況(4) | セミリタイアを目指すサラリーマン大家 マンション管理のお勉強

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「今後のマンション政策のあり方に関する検討会とりまとめ(2023年8月)」にもとづき、外部専門家等の活用のあり方等が国土交通省が設置したワーキンググループで検討されています。検討状況の資料を参照し、気になった点をメモ書きしましています。今回は令和6年1月26日の第4回の検討内容についてです。

■第4回(開催:令和6年1月26日)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000141.html

(1)「外部専門家の活用ガイドライン」の改訂案に関する議論ポイント

1)管理者の選任・解任

・管理者として管理者の社名等の固有名詞を書く管理規約となっていないかどうか(固有名詞を記載すると、管理者を変更するうえで特別決議が必要となる。)。

2)第三者管理者方式のメリット・デメリット

<メリット>
・専門的見地による管理組合運営の適正化
・意思決定の迅速化
・管理業者が有するネットワークによる情報収集力向上
・課題把握の適確化
・管理組合の負担軽減等

<デメリット>
・第三者管理者報酬の支払いに伴う管理組合の支出増大
・利益相反行為のおそれ
・区分所有者の管理への関心の低下等

3)組合員の総会招集権

・管理組合によっては、総会招集の請求が区分所有者本人によって適正に行われていることを管理者が確認するため、特定の公的書面を要求する管理規約を定めている事例がある。本来、本人確認の方法としては、身分証明証のコピーの提出など様々な手段が考えられるので、特定の公的書面のみに限定して管理規約に規定し、組合員による総会招集を実質的に困難にする可能性がある要件を規定するかどうかについて、その必要性があるのか、そのような規定を設ける前において、管理者と管理組合との間で十分に協議するべきと考えられますし、そのような規定を設けている場合においても、その必要性について検討するべきと考えられる。

4)区分所有者名簿等へのアクセスの確保

・区分所有法上、規約や議事録の保管責任者は管理者となっており、組合員等の利害関係者に閲覧させる義務も規定されている(区分所有法33条、42条)。実際の管理規約でも帳票類等の各種書類の保管業務は、管理者の業務とされていることが多いと考えられる。
・総会を招集する場合、区分所有者名簿が必要となる場合は、標準管理規約64条に基づく閲覧権の行使をすることが考えられる。



(2)質疑・意見

1)管理者の変更、規約変更の有無

・管理者を変更する際に、規約を変更しないでもいいような選択できる規約が必要ではないか?
→この規約だと、管理組合に管理者を置くと限定されてしまう。そうすると、管理者方式から理事会方式に変えることに非常にハードルが高くなってしまう。だから、その中では、管理者方式を、総会の決議により管理者を選任して管理者方式にできるとか、そういうできる規定にすれば。
・規約または集会決議で選任できるとあるのを、規約では選任するなというのはなかなか言いにくいのでは?。真っ当な管理者方式場合には、確実に規約でこの会社が管理者を務めることになっているから自分は買うんだという選択が消費者にあってもいい。

2)第三者管理者方式のメリット・デメリット

・ここに"メリット"として挙げられている点は本当にメリットと言えるのか、実現できるのか、根拠があるのか疑問。デメリットについては、ここに記載されている点以外にも、理事会方式に戻すことが難しくなっていく、自分たちのマンションのことの情報がある意味把握がしにくくなるかもしれない、他の専門家との連携が逆にしにくくなる、管理組合運営の主体性が低下していく、しっかり専門家を監督するという責務が大きくなっていく、といった意見も聞いている。
・国交省がメリットだと言っているので、これはメリットですよということが独り歩きしないか懸念がある。
・こんなことがあると言い切るのではなく、むしろこういうケースがあったよということを、そういうことが起こり得るんだということを理解してもらえるような記載にした方が良いのでは?
・報酬の支払いに伴う管理組合の支出の増大というのは、管理業者の場合の管理報酬自体もそんなに安くはないですし、逆に第三者管理方式にするんだけれども、それでも支出は変わりませんということをうたい文句にされると、デメリットでも何でもないですね。

3)組合員の総会招集権

・印鑑証明書添付なんてありえない。こう書くと、管理組合の民事的な決議においても、行政上のそういった本人確認手段が必要であるかのように、特にそういった手段が、第三者管理者の場面でより必要であるかのような誤解を招きかねないので、ここは削除してしまっても良いと思う。

4)区分所有者名簿等へのアクセスの確保

・「総会開かしてください」と区分所有者が言ったら、「区分所有者の名簿は見せれません」と言われた、という事例もある。
・組合員名簿の件、理事長が管理会社に組合員名簿を提出しろと言ったとき、拒否されたという事例がある。これは我々管理会社が集めたものですからと。ちょっとこれ、確かに、管理会社が集める中で、管理費の口座引き落としの情報とかというのは、これ、管理会社独自のものではあるが、もともとそういう名簿というのは、管理組合の名の下に管理会社が集めているというだけのもので、本来管理組合のものだというのを履き違えている回答が目の前で起こっている。閲覧権があるとは言っても、そういうような対応をされてしまうと見られないのでもう少しそこら辺も具体的に書いていただいたほうがいいかなと思う。
・名簿を見せる、見せないの話は、これは管理者に管理業者が就任した場合の問題だけではなくて、そもそも管理業者の問題。よく実務で遭遇するのは、理事長を解任したい(理事からも)と区分所有者が考えた場合。そのために、5分の1以上の少数区分者所有者の招集規定で招集したいというときに、管理業者が名簿を見せないことがある。理事長の許可がないと見せないという話。だから、理事長が管理者を務めている場合でも同じ。管理者に管理会社が就任している場合だけじゃないということも含めて書いていただく方がありがたいかなと思う。

5)管理者専門の業者の出現

・管理会社が管理者になるんじゃなくて管理者専門の業者が出てくるというところで、実はうちにも複数社、こういうことやりたいんです、こういうことできますかという相談が来ている。
・管理組合の選択肢が増えるということは別に悪いことじゃなくて、いいと思うが、管理会社は、マンション管理適正化法の処罰、縛りがあり、しかも管理業務主任者設置義務とか、資格要件や罰則が結構重く定められているのに、プロの管理者、これから業として管理者やりますというところ多分いっぱい出てくると思うが、管理者は、今、誰でもできると。果たして資格要件なくていいのかというところと、法律上の縛りがなくていいのかというところで、これは多分必須なんじゃないかなと。