外部専門家等の活用のあり方の検討状況(2) | セミリタイアを目指すサラリーマン大家 マンション管理のお勉強

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「今後のマンション政策のあり方に関する検討会とりまとめ(2023年8月)」にもとづき、外部専門家等の活用のあり方等が国土交通省が設置したワーキンググループで検討されています。検討状況の資料を参照し、気になった点をメモ書きしましています。今回は令和5年11月17日の第2回の検討内容についてです。

■第2回(開催:令和5年11月17日)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000141.html

(1)第三者管理者方式における規約の留意点
(2)監事の選任について
1)監事の選任を必須とするか
2)監事の選任方法
3)理事会が設置されていない場合の監事の職務と権限
(3)総会の議長、委任状の扱い
(4)その他の意見
1)新築時からの導入における問題点


(1)第三者管理者方式における規約の留意点

●管理者の指定(35条)
・規約に個社名を記載すると管理者の変更に特別決議が必要となり、管理者の変更のハードルが高くなる。
・現行ガイドラインと同様に、管理者を変更する場合や第三者管理者方式を終了する場合をあらかじめ想定し、次の管理者(理事長)を円滑に決定することができる規約の整備を行うことが重要と考えられる。
→管理者の指定については、個社名を記載するのではなく、総会の決議によって選任し、解任することができるとすべきではないか。

●管理者の誠実義務等の条項(37条)
・管理者の誠実義務等の条項について、規約等で定めがない事例が確認されている。

〇現行ガイドライン(外部専門家と管理組合の契約書の例 )
・乙は、理事長業務に関連して、紹介手数料、仲介料、その他謝礼、若しくはその他の対価の支払い又は便宜の供与その他の利益を、甲の理事会の承認を経ずに、甲以外の者から収受し、又は供与してはならない。
・乙は、理事長業務に関連し、自己又は第三者のために甲と取引をしようとするとき又は第三者との間において甲と乙との利益が相反する取引をしようとするときは、当該取引につき重要な事実を開示し、甲の理事会の承認を受けなければならない。

●管理者の権限(54条)
・総会議決事項が管理者権限となっている事例が確認されている。
→管理者による独断専横的な組合運営を防止する観点から、標準管理規約に定められている総会議決事項を管理者権限と規定することは望ましくないのではないか。

〇総会議決事項が管理者単独業務でできるようになっている事例
・使用細則等の制定、変更又は廃止
・管理費及び使用料の額並びに賦課徴収の決定
・組合管理部分に関する管理委託契約の締結
・総会決議が必要としている決議事項について、

〇予備認定申請マンションにおける調査結果
・標準管理規約に準拠しているケースが76%、「特別決議事項に限定」しているケースが24%となっている。

●組合員の総会招集権(44条)
・管理者が総会招集の求めに応じない場合でも、臨時総会を開催できる規定(標準管理規約第44条第2項及び第3項)が削除されている事例が確認されている。
・管理者が応じない場合、区分所有法第34条において、規約に定めがなくても、当然に集会の招集を要求できるとされているが、この規定を規約から削除することで、組合員の総会招集権が一見して不明確であるかのように見えるおそれがある。

〇独自の条件を付加しているケース
・組合員による総会招集の請求が適正になされていることを請求者全員の実印の確認により行うことを管理者に義務付けているがある。

(2)監事の選任について

1)監事の選任を必須とするか

〇予備認定申請マンションにおける調査結果
・監事等の選任を規約で義務付けているケース:37%、
・選任することができるとしているケース:59%、
・規程がないケース:4%

→区分所有者以外の第三者が管理者に就く場合において、監事の選任を必須とした方がよいのでは?

2)監事の選任方法

〇標準管理規約
・総会の決議によって、選任

〇予備認定申請マンションにおける調査結果
・総会決議:75%
・管理者の指名:25%

→監事については、総会決議により選任することを必須とした方が良いのでは?

3)理事会が設置されていない場合の監事の職務と権限

●監事の理事会出席・意見義務
〇標準管理規約
・理事会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。
〇検討案
・監事は、管理者から業務報告や発注予定の工事等について、定期的に報告を受けることにより、適時に監視・チェックを行うことが可能となり、必要があるときは意見陳述を行うことが考えられる。

●理事の不正、法令・規約・総会決議違反時における監事の報告義務
〇標準管理規約
・理事会への報告義務
〇検討案
・理事会がないことから「総会に報告しなければならない」とすることも考えられるが、軽微な違反を発見した場合も含め、一律に総会を招集し報告するということでよいか。
・「区分所有者に報告しなければならない」とするのはどうか。

〇委員からの意見
・監事に議案提出権があるかについては、規約にて規定することが望ましいと考えられる。


●監事の担い手を外部専門家にしてはどうか
・担い手は確保できるが、監査報酬が発生する。
・監事に外部専門家を選任するというのも有効だと思うが、やはり区分所有者から選任することが重要である。また、監事一人だと責任が大きいため、評議員などを設置して、組合員の関与の幅を拡げていくことが重要だと考えている。

(3)総会の議長、委任状の扱い

・委任状について、ほとんどのケースで議長一任となっているが、議長に一任して差し支えないか検討が必要。

・現在の標準管理規約46条5項を参考にすると、委任の相手は組合員に限られるとされているところ、議長が管理業者の場合において議長への一任は許されないと考えられる。→ただ、そのようにしていない第三者管理者方式も散見されるため、管理会社の第三者管理者方式における議長委任についてどう考えるのか、検討を行う必要がある。

・過去に相談されて関与した管理会社の第三者管理者方式のワンルームマンションで、総会において区分所有者から管理会社の工事見積だけではなく相見積もりを取るように意見があったが、規約で議長に委任するという規定により、議長(管理者である管理業者)は相見積もりを取ることを拒否し、賛成多数として処理した。総会に参加している区分所有者が何もできない状況だった。

・他方、議長に委任しないとすると、そもそも総会が成立しないおそれがある。その解決策となるのが監事であり、監事への委任は認められるべきだと考えている。

〇管理者の再任・解任議案の取り扱い
・総会で管理者の再任・解任について審議する場合に、管理者以外の者が議長を務めることも有り得ると考えられる。

(4)その他の意見

1)新築時からの導入における問題点

・新築マンションにはアフターサービス基準があって、期間内に特定の不具合が発生した場合は無償で直してもらえるが、売主の子会社が管理者に就いている場合だと、管理組合の立場に立った請求を親会社に行ってもらえないのではないか。
・品確法では引き渡してから 10 年間は瑕疵担保責任を負う。また、人に被害を与えるような外壁の不具合については不法行為が認められて 20年まで責任を問うことができるが、こういった権利も失われる可能性がある。一般的に 10年超までマンションは特に大きな問題もないため、組合員が理事を経験する良い機会である。その機会が潰されることとなり、マンション適正化法の趣旨に反する。

・新築マンションで管理者業務の費用が月額 25 万円を出精値引きで 0 円とされていた契約書もみている。そのような状況で管理業者から購入予定者等に対して、第三者管理者方式のメリットやデメリットを説明しても、正しい理解や判断ができるとは思えない。

・特定の者が管理者になることを前提にして売り出しているマンションは数多くある。規約に管理者として個社名が記載されているからこそ価値があるケースもあることも留意しなければならない。

・新築マンションにおいて、売り出しの段階で、役員の負担がないという説明を行っているのに、後で監事だけ区分所有者に就くようにお願いしても、誰もやってくれないのは当然。そのため、区分所有者から監事を選任しないという前提があるならば、積算段階で監事について費用を計上しておけば良く、新築マンションにおいて監事を設置しないのは有り得ない。仮に区分所有者から監事が選任できれば、予算での費用は剰余金になるだけである。