標準管理規約・管理計画認定制度の見直し等の検討状況(4) | セミリタイアを目指すサラリーマン大家 マンション管理のお勉強

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「今後のマンション政策のあり方に関する検討会とりまとめ(2023年8月)」にもとづき、標準管理規約・管理計画認定制度の見直し等が国土交通省が設置したワーキンググループで検討されています。検討状況の資料を参照し、気になった点をメモ書きしましています。今回は令和6年1月31日の第4回の検討内容についてです。

第4回(開催:令和6年1月31日)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000142.html

(1)マンション標準管理規約の見直し(各論)
1)19条の2「暴力団の排除」
(2)管理計画認定制度のあり方について
1)マンション管理の評価・認定等の仕組みに関するインセンティブ
2)管理計画認定の申請や審査手続き等に関する運用改善に関する意見


(1)マンション標準管理規約の見直し(各論)

1)19条の2「暴力団の排除」

・専有部分を第三者に貸与するという場合があるが、区分所有者が反社会的勢力などに譲渡するというのが現行の19条の2では含まれてない。
→コメントを見ると、19条の2関係の②で、暴力団員の譲渡については、賃貸契約に係るものと同様の取決めを区分所有者間で結ぶといった対応することが考えられるといった形で、一応コメントで譲渡について触れている。

・前の改正のときにこれが入った経緯として、当事者の取決めとしていて、規約に書けないという理解があったと思われる。
 というのは、賃貸するなとか譲渡するなという、そういうこと自体を規約に書くのはいかがなものかと。それで、当事者間で、もし売った相手が反社だということが分かったら解除できますという、そういう条項を売買契約の中に入れてもらって、その売買契約上の解除権を管理組合側が代位行使するというような構成は可能なんじゃないかというような検討も踏まえて、当事者間になっている。

(2)管理計画認定制度のあり方について

1)マンション管理の評価・認定等の仕組みに関するインセンティブ

●インセンティブの充実に関する意見(主な意見)
・現状のインセンティブは公的金融機関の融資制度に限られているが、民間金融機関の融資制度も対象としてほしい。
・保険料割引など、認定取得した全てのマンションの管理組合や区分所有者にとって、直接的なメリットとなる仕組みが欲しい。
・認定マンションの情報公開の充実など、管理状況の見える化の推進による市場価値向上に繋がるインセンティブが必要と考える。
・マンションの新築後、速やかに管理組合へ管理計画認定制度の取得を促せるような、インセンティブを充実させることが必要である。

●マンション長寿命化促進税制に対する主な意見
〇要件の見直しについて(修繕積立金の引き上げ要件※の撤廃を希望)
注:「認定マンション」の場合は、令和3年9月1日以降に修繕積立金の額を管理計画の認定基準未満から認定基準以上に引き上げることが必要
・これまでマンション管理を適正に行ってきた管理組合は適用対象とならず、メリットが何もない。不公平感のある制度である。
・本税制特例についての問合せが多く寄せられるが、修繕積立金の引き上げ要件を満たさないため、ほとんどのマンションが対象から外れている。管理組合からは、「現状では認定取得するメリットが弱いため、認定申請を様子見している」「減税にならないなら認定申請もしない」との話を聞いており、管理計画の認定申請につながらない状況である。

〇適用期間の見直しについて(適切な期間の設定を希望する)
注:長寿命化工事について、令和5年4月1日から令和7年3月31日までに完了することが必要
・長寿命化工事を行うには管理組合の合意※や工事計画の策定など時間が掛かるため、税制適用期間が2年間では短い。
・要件の難しさに対して期限が短く、本税制特例を知ってから利用したいと考えても、スケジュール上かなり無理がある。

〇申告主体の見直しについて(申告主体に「管理者等」を追加することを希望する)
注:現行の申告主体は、納税義務者(区分所有者)のみ
・申告主体にマンション管理組合の「管理者等」を加え、管理者等からの申告があった場合は当該区分所有住宅の全戸に係る固定資産税を一括して減額できるよう要望。 区分所有者ごとの申告だと住戸が多いマンションの場合、申告受付の件数が膨大になる等。

2)管理計画認定の申請や審査手続き等に関する運用改善に関する意見

・理事長が交代するたびに、変更認定申請が必要となるが、多くのマンションでは毎年交代している。マンション・地方公共団体の両者にとって負担であるため、変更認定申請が不要な軽微な変更の範囲を拡大してほしい。

●修繕積立金の算出
・管理計画認定制度では、「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」に定める一般的なマンションの修繕積立金の参考額をもとに、積立金の基準を設定しているところ。一方、外壁の仕様やエレベーター等の設置の有無などのマンションの固有の状況を踏まえ、必ずしもガイドラインに定める修繕積立金の額を要しないマンションも存在する。
・こうしたケースでは、専門家による理由書を提出することで認定基準を適合しているものと判断できる場合が認められいる。当該理由書の作成にあたっては、マンションの固有の状況を設定することのできる住宅金融支援機構のマンションライフサイクルシミュレーションを活用できる旨がガイドラインにおいて示されているが、十分に活用されていない状況。

〇適切な修繕積立金額を設定しているものの認定基準を下回る可能性があるケース例
・EVや貯水槽等、維持管理に高い費用がかかる設備がない場合。
・階数が小さく仮設費が安く抑えられる等、修繕工事費が抑えられる場合。
・耐久性の高い外装を採用しているため修繕周期が長く、長期修繕計画内における工事回数が抑えられる場合。