みなさん、こんにちは ビートママです🐾
Cancer X は、がんと言われても動揺しない社会の実現を目的として設立されました。
2021年2月に行われたPEP(Patient Empowerment Program)に関するセッションでは、患者力とはなにか、患者力をアップさせるにはどうしたらいいかを、患者目線、医療者目線の双方から考えます。
今回は、東京都の大正大学表現文化学科エンターテインメント・ビジネスコースの2年生、3名の方々も登壇しました。昨年春に「表現」を学ぶ彼らが、オンコロジー教育推進プロジェクトのメンバーとともに実施した「防ごう!医療崩壊!患者力向上PR企画」がきっかけとなり、医療従事者でもがん患者でもない若者が「がんを自分事としてとらえる力を向上させるための意識づけ」について考えたこと、感じたことを、発表してくれました。
Cancer X セッションレポート⑦
PEP「がん患者が自分らしく生きるための患者力を向上させよう」
患者が人生を自分らしく生きる力、それが患者力。
患者力ってなんでしょう。医療者の方々は、こんなふうに考えていらっしゃいます。
①Medical Leteracy
病気や治療に関する正しい知識を持とうとする力。あやしい情報に振り回されず、情報を吟味する力。
②Assertive
これは本来「不快感をもたれずに堂々と主張する」というニュアンスの言葉。もう少し言葉を足すと「自分がしたくないことがあったら、怒ったり不快な顔をせずに、穏やかに理由を述べてきちんと断れる」みたいな感じ。ここでは病気を自分ごととしてとらえ、病気と共存していく上で、「自分がしたいことを主体性をもって決め、主張すること」ととらえます。
③Communication
医療者と向き合い、情報交換をし、協力をし、前に進んでいく力のこと。できれば医療者と患者が三人称でなく、二人称で接することができると、さらに互いを理解し合うことができるようになるはずです。
これら3つが備わると、「患者力の高い患者」ということになるわけですね。これをまとめて言うなら「自分の病気を医療者任せにせず、自分ごととして受け止め、いろいろな知識を習得し、医療者と充分なコミュニケーションを通じて信頼関係を築き、人生を前向きに生きようとする患者の姿勢」(CancerX PEPチーム東三久氏)と言えるでしょう。
患者が患者力を自ら発揮できるよう医療者が支援することを「Patient Empowement」と言い、そのための知識や方法を医療者が学ぶことを「Patient Empowement Program」つまりPEPと言うわけです。
「医療✕エンターテインメント」という新発想。
病気を他人事でなく「自分事」として考えるために医療を入り口にすると、健康な人はなかなか入ってきてくれません。そこで大正大学の表現文化学科エンターテインメント・ビジネスコースの学生さんたちは、「医療✕エンターテインメント」を形とし、エンタメ側からさまざまな人に入ってきてもらえるよう、RPGゲームを開発しました。
このゲームでは、勇者(患者)が、魔王イルネス(がん)を退治するべく旅をします。旅先の村人たちと話をし(医療者などと対話)、そこで情報(医療情報)を引き出します。ただし、正しい情報もあれば嘘の情報もあるので、生後を自分で吟味する必要が出てきます。その上で戦術(治療方針)を立てて魔王と対決する。そんなゲームです。
こうした体験を通じて、病気になる前から患者力を向上させることができるのではないか。学生さんたちの狙いはそこにあります。このゲームに必要なのは、①コミュニケーションスキル(情報を聞き出す能力)、②情報を吟味するスキル(正誤を判断する能力)、③思いを表現するスキル(きちんと表現することで、状況を理解して助けてくれる人が現れやすくなるかもしれない)という、3つのスキルです。ゲームの内容と発表については、こちらのサイトを参考にしてください👇
患者力は、がん医療における第3の柱。
治療に関して、すべてのことを医療者任せにするのではなく、自分の生活や病気そのものをよく見つめて医療者に質問できるようになる。そんなふうに患者が変わることで、医療者側の対応がきっと変わってくるはずです。患者側は医療者との距離を縮める努力をし、医療者側は患者を理解するように務める。場合によっては患者が医療者の気持ちを変えさせる。そんな力を、患者力と呼ぶのではないか、という意見もありました。
この患者力は、がんの医療において「第3の柱」とも言われるようになっています。1つ目の柱は、エビデンスにもとづいた医療。2つ目の柱は、連携して患者を取り巻くチーム医療。そして3つ目の柱が患者自身の患者力、というわけです。この3つがうまくかみ合った時に、非常によい効果をあげることができるのではないでしょうか。
たとえば、がんという病気によって患者の「本来ならいろいろなことができる力」が閉ざされてしまい、結果的に「自分が大事にしていることができなくなってしまう」ということが起こったとしましょう。その時に医療者が「できなくなっていることが再びできるように、また力を発揮できるように」と、患者を支えたり手伝ったりする。医療者側にはそうした姿勢が求められているのではないかと、セッションがしめくくられました。
=====================
病気を治すのはお医者様。患者はただ言うことをきいていればいい‥‥。
いえいえ、違います。
医療者の助けを得ながら、患者力を高め、積極的に治療に関わっていく。
そうした姿勢が、治療そのものの質をアップしてくれる。
病気である本人が、病気治療に協力的になるのは当たり前のことなんだなぁ。
‥‥そんなことをひしひしと感じたセッションでした。
では次回もお楽しみに🐾🐾
病気になって、山あり谷あり。
入院が長引けば、いつも食べられるはずのラーメンが、たまらなくいとおしくなります
今までだったら、ありふれた日常
がん患者になると
ありふれてなどいない
日常がかけがえのないものだとわかる
そんなことをみんな言わなくてもわかる仲間たちの集まりです。