肺がんのゲノム医療とは その1~LCスクラム&ROS1・エヌトレクチニブ承認申請 | NPO法人 肺がん患者の会 ワンステップ

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2024年4月、10年目突入。肺がん患者・家族の「いきる勇気」につながればいいなと思っています。

皆さん、こんにちは。

 

 

「ゲノム医療」という言葉をよく聞くようになりました

遺伝子のパネル検査が承認されたためです

6月ころ、検査の値段がついて、世の中に出てきます。

ただ・・・

肺がんで自分にどう位置付けるかという話と、全般的な話とはだいぶ異なりますね。

私たちは肺がんの患者ですので、そこにフォーカスして、話を進めていきたいと思います。

全般的な話は、いろいろなところでやっていますので、そちらを参照してください。

 

 

 

▼オンコロさんの記事です

ROS1・エヌトレクチニブが承認申請されたようです

2つ目の薬ですね。治験だと、クリゾチニブを使用した人は入れないようですが、承認後は大丈夫そうですね。

 

https://oncolo.jp/news/190315k01

 

記事を読む限り、フェーズ1の結果で承認申請されています。53名のデータから客観奏効率(ORR)は74,4%。脳転移に対しても54,4%。早く承認されるといいですね。

 

 

 

▼EGFR・一次治療としてのタルセバ&サイラムザの結果も出ている様子

 

https://oncolo.jp/news/190314y01

 

無増悪生存期間を延ばしたと書いてあるけども、数字はまだない。

 

 

 

 

▼第22回 肺がん医療向上委員会セミナー報告

(Tさんがまとめてくれました)

 

日時:2019年2月4日(月) 午後5時~午後6時30分
場所:文藝春秋新館8階 株式会社ジェイ・ピー・アールセミナールーム

タイトル:「がんゲノム医療の現状とこれから。がん医療の何が変わるのか?」
演者:国立がん研究センター東病院 呼吸器内科長 後藤功一先生
 
 
<これまでの肺がん治療についての概略>

小細胞15%、非小細胞85%。
4期(遠隔転移あり)は全身治療=薬物療法。
この15年で薬物療法は進展している。(過去:シスプラチン+α 奏効率30%)
遺伝子解析の結果に基づいて選択する分子標的薬の登場
免疫チェックポイント阻害剤の奏効率は10~15%(単剤)。効く人には長く効く。
分子標的薬はドライバー遺伝子(がんの増殖をコントロールする遺伝子)をやっつける
肺がんは遺伝子変異の数が多い(免疫チェックポイント阻害薬が効きやすいというデータある)
2004年 EGFR変異みつかる(ゲフィチニブ効く人効かない人を調べた結果)
2007年 ALK融合遺伝子発見
従来の抗がん剤 生存期間中央値10~12か月
分子標的薬(EGFR)      21~27か月
アレクチニブ  5年くらい長生きできる
腺がん(非小細胞の60%)
EGFR  53%
KRAS 10~15%(治療開発成功していない)
ALK   3~5%
RET、MET、HER2、ROS1  各1%くらい 合計15%くらい
Unknown  25%
 
 
 
<臨床試験>

化合物から薬に至るのは1/25000
基礎研究から薬の完成まで10-15年かかる

基礎研究→応用研究(2~3年)→非臨床試験(3~5年)→臨床研究・治験(3~7年)→申請承認(1~2年)
Phase1:初めて人に投与
Phase2:少数の患者に投与。有効性・安全性をみる
Phase3:多くの患者で効果を証明(比較試験)主に標準治療と対決。
→審査を経て薬が完成
 
安全性の評価
 副作用が軽い、副作用による死者が発生しない、承認後も毒性評価が継続する
有効性の評価
 がんが縮小する(奏効率)、がんが縮小を維持する期間が長い(無増悪生存期間)、生存期間が延長、QOLの改善
有効性の評価には客観性・科学的な証明が必要→臨床試験を行うことで証明する
患者の数が少ない遺伝子変異・・・臨床試験を行うことが難しいという問題がある
 
 
<LCスクラムジャパン>

2013年2月スタート。全国から患者を集めて臨床試験を行ない、有効な治療薬を患者に届けることをミッションとする。60施設でスタート(現在260施設参加)。製薬企業が資金提供。オンコマインバージョン3を使用。

EGFR→ALK→ROS1→BRAF→RET と段階的に検査をやっていくと時間、検体のロス、コスト増大。治療開始が遅れるデメリット大。次世代シークエンサーを使って少ない検体で2週間ほどで161の遺伝子変異を調べられる。

一般のお医者さんでは結果をみても何が重要かがわからない。
(アノテーション:結果から何が重要か、何が必要かを考えること。重みづけ。)
20種類の治療薬に結び付くまたは治療の開発が行われている20種類のみを選択して報告している。希望があれば全部結果を返している。
承認薬があれば承認薬で治療。承認薬がなければ未承認薬の臨床試験に入ることができる。
これまでに7000例実施。ALKは3%、ROS1は4%ほど見つかっている。ROS1、ALKともに若年・女性・非喫煙者に多い

バンデタニブ(RET)承認審査に入った。
アレクチニブ(RET)臨床試験2年で登録完了。
→海外からの反響大。日本でなら希少遺伝子変異でも臨床試験ができる!
LOXO292(RET):多発脳転移にも効く。臨床試験進行中。
クリゾチニブのROS1適用2017.5月承認。LCスクラムジャパン発、初の薬。
ダブラフェニブ+トラメチニブ併用のBRAF適用 2018.3承認。 LCスクラムジャパン発2つ目の薬
オンコマインDX  Target Test CDx  12月から保険収載になった。
EGFR、ALK、ROS1、BRAFの遺伝子変異とPD-L1の評価をしてから治療に入ることになる。
 
これまでは検査には組織が必要だったが、血液でできるように研究中。リキッド解析の感度がよくなってきている。

台湾(調印済み)、中国、シンガポールもスクラムに参加するようになる(アジア人にドライバー遺伝子多い)。アジアのスクリーニング基盤として日本がイニシアチブをとれる。

他の次世代シークエンサーが2019年春以降に保険収載される
 
 
患者向けメッセージ
治療について勉強する
病状を把握する
標準治療をたずねる(有効性が一番高い)
治療方針の決定に参加する
遺伝子解析したかを確認する(腺がんの場合必ず必要)
 
 
<質疑応答>

リキッドバイオプシーについて
検査に使われた血液にDNAが入っていたのか入っていないのかがわかるような結果レポートになるのか?それがわかれば、組織を取りに行くべきか、別の治療法を取るかの判断材料となる。
→わかるようなレポートになると思う。
 
スクラムジャパンとそれ以外の遺伝子検査とのすみわけについて
これから保険収載されるパネルはプロファイリングパネル。標準治療が終わった後に何らかの手がないかという時に使われる(治療の最初から受けようとすると保険適用にならない)
スクラムジャパンはコンパニオン診断薬。初回から治療を振り分けるためでも受けられる。
ただし、ファウンデーションワンは、2つコンパニオン診断薬が含まれるのでどういう扱いになるか決着ついていない。under discussion。
結果をどこまで報告するかもdiscussion中。
遺伝子変異が見つかるのは20%ぐらい。治療に結び付くのは5%くらい。
実施施設は検討中。だれがアノテーションをつけるのか?エキスパートパネル、専門家による会議を行えるところ、結果の解釈を行える人を置ける病院のみに限られそう。ゲノム中核病院(10か所)?連携病院(200か所)?日本中どこでもではない。
標準治療後に行うのであれば、耐性遺伝子もわかる。
ファウンデーション400遺伝子
オンコマイン 40遺伝子
ガーランド(リキッド) 60遺伝子
治療薬のない遺伝子変異が見つかった場合には・・・
ドライバー遺伝子がなければ免疫チェックポイント?
→免疫チェックポイント、化学療法。世界で行われている臨床試験をチェックする。

 

 

 

次は、動画を公開します。2017年に後藤先生を呼んだパールリボンキャラバンでのLC-スクラムの講演です。

 

 

▼肺がんてなに?~罹患したばかりの人のために~肺がん基礎編動画紹介
肺がんてそもそもどういうもの?
CT?PET?そもそもどんな検査だっけ?
分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤、殺細胞性抗がん剤・・・
何かいろいろ聞くけどよくわからない・・・・
放射線治療ってそもそもどういうもの?
手術って・・・?
という方のための情報満載です
ぜひ参考にしてください
「知ることは力」
ともに前進しましょう!(by 久光重貴)
 
 
全体のVTRのリンクはこちらです

 


例えばこんな動画。罹患したばかりのかたむきです!
 
 
 

 
 

 

 

 

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