「生きているのが不思議です・・・」 | 広島で乳がん治療をしているひがき乳腺クリニック院長・檜垣健二のブログ

広島で乳がんの治療をしているひがき乳腺クリニック院長・檜垣健二です。

 

 70代半ばの方が、乳がんの手術をうけられたのは10年前でした。当時、広島市民病院乳腺外科に在籍していた私は、開業のことは考えていましたが具体的なことは何も決まっていませんでした。

 私の目の前には、腫瘤径が3.6㌢、針生検の結果はKi-67が70%を超えるトリプルネガテイブ乳がんで、PET―CTでは内胸リンパ節転移も疑われました。私は、可能な限りの治療を行うこととしました。

 半年間の化学療法後に、乳房温存手術+センチネルリンパ節生検を行った私は、祈る気持ちで病理検査の結果を待ちました。乳がん病巣は4㍉大に縮小していましたが、Ki-67は30%を超えました。

 それから10年、無事卒業試験をパスされたその方の顔は、晴れ晴れとしていました。PET―CTでは、内胸リンパ節転移も消失したままでした。

 「先生から悪性度が高い進行がんと言われていたので、こうして生きているのが不思議です。夢のようです。本当にありがとうございました。」

 あと半年余りで、私が手術した方がすべて術後10年を迎えられます。それまでは、私も患者さんとともに無事卒業ができることを、神様に祈り続けたいと思います。

 

広島で乳がんの治療をしているひがき乳腺クリニック院長・檜垣健二でした。