経過の長い乳がん(ありがたい誤算(22)) | 広島で乳がん治療をしているひがき乳腺クリニック院長・檜垣健二のブログ

広島で乳がんの治療をしているひがき乳腺クリニック院長・檜垣健二です。

 

 70歳だったその方と出会ったのは、10年あまり前でした。2.3㌢大のルミナールタイプの浸潤がんに対して、乳房温存手術とセンチネルリンパ節生検の術後、TC療法を行ったあと、放射線治療とレトロゾールの内服をしていただきました。

 10年経過したその方のPET-CT検査の結果、右肺にわずかな所見を認めました。私は嫌がるその方を説得して広島市民病院呼吸器外科に紹介させていただきました。

 案の定、その方は経過観察を希望されました。やむなく3か月後にCT検査を行うことになりました。

 すると右の肺の病変は11㍉大に増大し、左の肺にも結節が出現していました。その後、ロボット支援胸腔鏡下肺部分切除をうけられた結果、右は肺転移、左は胸膜播種と判明しました。

 この方の経過をみて私は二つのことを考えました。一つは卒業試験にPET-CT検査をしていなかったらどうなっていただろうか・・・ということです。

 そして、タイミング的にレトロゾールを中止した途端に転移が大きくなったということは、レトロゾールはよく効くのだな・・・ということです。

 ご主人と息子さんとともに挨拶に来られたその方に、私は「今はいい薬がたくさんありますので大丈夫ですよ」と申し上げました。

  

広島で乳がんの治療をしているひがき乳腺クリニック院長・檜垣健二でした。