経過の長い乳がん(ありがたい誤算(21)) | 広島で乳がん治療をしているひがき乳腺クリニック院長・檜垣健二のブログ

広島で乳がんの治療をしているひがき乳腺クリニック院長・檜垣健二です。

 

 たしか、わが国で乳がんに対する乳房温存手術が認められ始めたのは、1988年頃だと思います。その6年後、当時43歳だったその方は、乳房温存手術と腋窩郭清手術をうけられました。

 その方は30年後の今日まで、年に一回の乳がん検診を続けられていました。この度、検診時に乳がんの手術創の周囲に腫瘤を指摘され、エコー検査で腫瘤を確認後、穿刺吸引細胞診を行うと悪性でした。

 その後、広島市民病院乳腺外科で乳房全切除術を受けられた結果、5㍉大のルミナールタイプの浸潤がんでした。今後は、アロマターゼ阻害薬の内服をしていただく予定です。

 乳房温存手術後30年して再発した場合、二つの考え方があります。「30年前に全摘をしておけばよかった」か「30年乳房が温存できたのだからよかった」と。

 私は、後者の考え方です。それより大事なことは、乳がん術後10年経過した方であっても、年に一回の検診は無駄ではないということです。

  

広島で乳がんの治療をしているひがき乳腺クリニック院長・檜垣健二でした。