どこまで検査は必要か? | 広島で乳がん治療をしているひがき乳腺クリニック院長・檜垣健二のブログ

広島で乳がんの治療をしているひがき乳腺クリニック院長・檜垣健二です。

 

 この度、乳がんの術後10年を迎えられる方にPET-CT検査のお話をしました。その方は、関東の病院で手術をうけられていました。

 「私は一度もPET-CT検査を受けたことがありません。どうして必要なのでしょう」との返答でした。もちろん、私は患者さんが希望されない検査はしないことにしています。

 20年も前のことです。私がステージIの乳がん手術を広島市民病院で行った際、術前の検査はマンモグラフィとエコー検査、そして造影MRIのみでした。

 術後1年目で腫瘍マーカーが上昇したので骨シンチを行うと、全身の骨転移でした。私は、調べてないからわからないが、術前から骨に転移があったかもしれないと申し上げました。

 すると患者さんや家族の方たちから、「どうして調べなかったのですか?」と聞かれました。「一般的には・・・」といいかけた私は、「一般論はどうでもいいのです。重要なのは私個人です」と患者さんにさえぎられました。

 その後、乳がんと診断された場合、(希望されれば)造影MRIとPET-CTを行うようになりました。造影MRIは多発病変などもチェックできるために術式に結果が直結します。

 PET-CTでは、転移や他のがんの存在がわかることがあります。例えば、乳がんはステージIなのにステージIVの膵がんが見つかったり・・・。

 私は、大事な患者さんにメスを入れさせていただく以上、10年後を考えて術式を決めるべきであり、これらの検査は当人が有意義と思っていただければありと思っています。術後10年のときも、本当に転移がないのか、他に病気がないのかを調べる意味で価値はあると個人的には考えています。

 

広島で乳がんの治療をしているひがき乳腺クリニック院長・檜垣健二でした。