常に新しく生まれ変わるイジョンソクの今この瞬間
「以前と同じ事はほとんどありません」 イ・ジョンソク、今この瞬間。

 

 

 

「ELLE」の表紙ではプラダを纏いました。今日はイ・ジョンソクの軽やかで自由奔放な雰囲気を見ることができました。グラビア撮影後、ファッションフィルムのカメラが回る時はちょっと踊っていましたね。
最後のカットを撮り終えて「終わりました!」の言葉を聞いたらちょっとホッとしました (笑)。本当に恥ずかしがり屋なんですよ。演技をする時も、カメラに録画の赤いランプがつくとすぐに緊張するし、消えるとホッとします。今日の服には少し恥ずかしいのもあったが、撮影されたカットを見ると新鮮でした。ラフ・シモンズのプラダは、常に華やかでありながらも両面的な魅力を感じます。

 


公になっている前作は <ロマンスは別冊付録> です。映画 <魔女2>、<デシベル> に続き、今撮影中のドラマ <ビッグマウス> と、披露する作品を着実に積んでいる今をどのように過ごしていますか。
<ビッグマウス> の撮影が終盤に入りました。体力的には少し大変ですが、終わったらすぐに嬉しい知らせが伝えられると思います。焦ってはいません、不思議なことに。何があっても状況を受け入れる心構えが、いつからかちょっと変わったと思います。
 

 

 

 

以前は難しいと思っていた事でも難なく乗り越えられますか。
そうですね。前とはずいぶん変わりました。体もそうです。最近はビタミン一錠でも元気が出ますね(笑)。20代はそうではなかったです。

 


<魔女2> での役はまだベールに包まれているが、キャラクターが良いというパク・フンジョン監督の一言で動いたそうですね。<デシベル> と <ビッグマウス>、復帰作を選ぶにあたってのテーマは何でしたか。
今までやった事のない役と言うのと、作品をやり遂げたい気持ちは今でも変わらないが、何が何でもやった事のない事を探そうとは思いませんでした。縁に恵まれたチャンスをしっかり掴み、様々な面を見てみようとしました。

 

 

 

 

<ビッグマウス> は、ドラマ <あなたが眠っている間に> を共に作ったオ・チュンファン監督と再会した作品です。どのような気持ちでまた意気投合しましたか?
今回のドラマは監督と僕にとって全てが挑戦です。オ・チュンファン監督は <あなたが眠っている間に>や、<ドクターズ>、<ホテルデルーナ> 等のトレンディーで手の込んだ作品をしてきましたが、今回は新しい作品を作りたかったし、僕も何か違う姿をお見せしたかったです。

 


勝率10%の生計型 (生活の為) 弁護士パク・チャンホが、大きな事件に巻き込まれて陰謀を暴く話です。まだ一度も演じたことのないタイプの人間ですね。
今までは、ほとんどがカッコいい男性像を演じてきましたが (笑)、今回は良く言っても「本当に人間味がある」と言えるような人物でした。そういう役をしてみたかったです。僕の中にある弱さとか少し違った面を引き出したかったです。公には復帰作なので、自分の判断が合っているかどうかはわかりません。

 

 

 

 

今まで選んだ作品は視聴者の好み寄りだったのでは?
今、世間が求めるストーリーがあると思うが、それは時代の流れによって変わるでしょう。すると不安とプレッシャーが襲ってきます。今回の作品は、あらすじナシで序盤の台本4冊を見て参加しました。ドラマの後半は僕には未知の領域だったが、今は終盤を撮影しているところで、すごく大変です (笑)。頑張っています。乗り越える力があると思います。

 


共演のイム・ユナとは古くからの知り合いですね。一味違ったコラボとケミが楽しみです。
ずっと前から見ていますが、本当にすごい人です。最近は、楽で余裕のあるのが一番だと思っている部分もありますね。でもユナさんは、相変らず一生懸命で、熱くて、素敵です。ドラマでは、二人の活動の場は別の事が多いです。ツーショットは、たまにお見せできるでしょう (笑)。

 

 

 

 

<ビッグマウス> の他にも、ドラマ <君の声が聞こえる> の後に <ピノキオ> に出演したように、製作スタッフと何度も呼吸を合わせて印象的な達成を何度も成し遂げました。一緒に働く人たちには、どんなパートナーになろうと努力していますか?
普通は、ひとつの作品を一緒にしたら、良かった現場を覚えておこうと、また一緒に仕事をする事が多いです。いい人達と仕事をするのは本当に楽しいですから。現場で新造語を一つを習いましたよ。「アルジャルタッカルセン」(笑)。「(言われなくても) 自分なりに、うまく、ちゃんと、きれいに、センス良く」。そうしようと努力すればいいんですよ。

 


近況を尋ね合う間柄という <ロマンスは別冊付録> のチョン・ヒョンジョン作家をはじめ、仕事で縁があった人たちと個人的な友情を深めてきました。イ・ジョンソクが良い友情を育む方法は?
あまり連絡はしませんね。でも、必要な時は必要な場所にいて、僕を探している時は駆けつけます。慶弔事にも気を配って。30代になるので、これぐらいが程良いようです。

 

 

 

 

好きな人たちに元気かどうかを尋ねる時に、よく言う言葉は?
顔文字をひとつ送ります (笑)。プレゼントされたものですが、キャラクターが「何してる?」と尋ねる顔文字です。僕は「会いたい」と言って、ただ会うほうです。やりとりは短めです。実際に会って話すほうが好きですね。

 


以前は楽しんでいたフェンシングをインスタラムに挙げていましたが、最近はあまり見かけません。今はどうなんでしょう?
楽しくできたのはフェンシングだけでした。プロテクターをつけてケガをせずに技を競う運動をしたいと思ってきたが、家の近くにフェンシングのクラブがありましたよ。それで始めました。週に3回、フェンシングのクラブに通うくらいすっかりハマりました。
 

 

 

 

小さい頃にやっていたテコンドーのように、「競う」運動に魅力を感じるようです。
そうですね。フェンシングクラブでは本当に様々な職業の人に会いました。一緒に団体レッスンをして、試合をして……。いろんな人と付き合うのが楽しいです。でも、僕はもともと膝の十字靭帯が良くないです。それでもフェンシングは直線で動く運動ができましたが、ドラマ撮影で足をまたケガしました。今回は他の所も問題がおきてフェンシングをこれ以上できなくなりました。本当に残念です。

 


30歳の時、「ELLE」のインタビューで「何もしなければ何も起きない」という言葉が好きだと言っていました。イ・ジョンソクにとって逸脱とは?
その言葉は今では僕の信条になりました。ハプニングのない人生が最も安定していると感じます。いきなりの出来事にビックリします。
 

 

 

 

俳優として生きると決心した事がイ・ジョンソクの人生にとって大きなハプニングだったのかもしれませんね。このことが自分の人生をひっくり返したと感じますか?
もちろんです。自分をずっと見せていなければならないので、180度変わった部分があります。この仕事をしていて本当に自分を責めましたよ。僕に応援を送ってくれる人ができて、その気持ちに応じたいが、生まれつきの性格が壁のようになる事が多いです。してあげたいファンサービスも恥ずかしくてできない時があったからです。

 


舞台挨拶や受賞の感想を言う席でも、赤くなった顔がしばしば捉えられましたよ。
撮影現場でキャラクターをすぐに生かせるアイディアを行動に移そうとしても顔が赤くなってできない事もありました。だからって顔がちょっとくらい赤くなってもいいでしょう。最近は自分にこう言い聞かせています。「そんな事もあるさ。それほど重要じゃない」。
 

 

 

 

これまで数多くの人を演じてきました。ずっとこの人でいたかったと思う人生は?
<ロマンスは別冊付録> のチャ・ウノでしょう。片思いをしている女性が他の男に会いに行く時、「なぜこんなに薄着で来たの」と服をかけてあげる人でしょう。本当に憧れました。そんな男になりたいです。

 


恥ずかしがり屋のイ・ジョンソクにとって演技はどんな達成感を与えますか?
「よくやった」という言葉を聞くと、ただ幸せです。単純です。<学校2013> で「コ・ナムスンそのものだった」という言葉を聞いて初めて幸せな気持ちになりました。僕を応援する人ができた事で達成感も大きいです。よくやったという応援を聞くと誰しも力と弾みがつくでしょう。それに報いたい気持ちが大きくなって。今まで頂いた応援が人生を大きく変えました。
 

 

 

 

演じたシーンを強迫観念のように100回も繰り返してモニターした時期があったと聞いて根気のある人だと思いました。誰も自分の弱い部分を100回も見ることはできません。
克服しようと頑張りました。もちろんその度に苦しくて後悔するが、自分の性格と仕事の間にできた隔たりは広すぎて。それでも次第にありのままに自分を受け入れることができるようになりました。演技する気が楽になりましたよ。

 


以前の作品を見ることも楽しんでいるようですね。自他ともに認めるドラマ「オタク」として自分が参加した作品への愛情からですか?
出来上がった物に愛情もあるが、そのシーンを見ると思い浮かぶ記憶が多いからです。天気や空気、感情のなどが再び湧き上がってきます。前作を見ると、その時の自分が再生されるようですね。
 

 

 

 

本当にうらやましい経験ですね。
「きれいな盛りの年齢の時に作品をたくさん撮っておけ」という言葉が最近は本当に心に響きます。それと……ちょっと待ってください、今日は言いたい事をちょっと書いて来たのですが。

 


言いたい事を紙に書いてきたインタビューは初めてです。
インタビューをとりとめなくする事が多いので。僕も初めてです。メモに書いてきたのは。そういうところも確かに変わりました。最近では演技をする時も思い浮かんだ事を全部台本に書き留めます。
 

 

 

 

言えなかった話があるのですか (笑)。
うーん、心配だという話はさっきしましたよね?(笑) とにかく頑張っています。早くお会いして素敵な挨拶ができるといいですね。
 

 

ファッションエディター パン・ホグァン
フィーチャーエディター イ・ギョンジン
写真 モク・ジョンウク
スタイリスト キム・ジョンミ
ヘアースタイリスト コンタン
メイクアップ・アーティスト カンミ
アシスタント キム・ユジョン
デザイン キム・ヒジン

 

 

 

 

 

 

30歳の時のインタビュー 

ELLE 2018年11月号

 

 寝ようと横になった時、次の日に心配なことが一つもなければ幸せじゃないかと。

それなら僕は、この頃、眠りにつく前にいつも考えることがあります。明日は何も起きなければいいなという事です。予想できない事が起きるのが怖くなります。僕がこの頃いちばん好きな言葉が何かわかりますか? 「何もしなければ何も起きない」です。