UNSCRIPTE

強烈なストーリーを紡いできた俳優イム・シワン。彼の次の軌跡はどこへ向かっているのだろうか。役の残像と本来の姿が激しく絡み合う境界の時。その混沌の狭間で初めて向き合った、彼の率直な横顔。

 

 

 

 

 

季節によって独特な空気がありますよね。「夏」ならではの感覚はありますか?

まず、爽やかな青い海が浮かびます。リゾートの透き通った海を思い浮かべると、自然とゆったりした気分になります。僕にとって夏は、ちょっと立ち止まって息を整え、バランスを取り戻す季節のようです。

 

 

世間に認識された清らかで優しいイメージとは違い、最近の作品では複雑で冷たい顔が際立っています。この劇的な落差は非常に興味深いです。その人物の二面性を捉えてスクリーンに映し出す時、自分のどのような内面や経験を重ね合わせのかが気になります。

実際に自分の中にあるさまざまな姿を活かそうとします。例えば、友達に会いたい気持ちと、実際に出かけるのが面倒に感じる気持ちが同時に湧くことがありますよね。そういった相反する感情は誰しもあると思います。僕はむしろその矛盾したところが人間らしくすると感じて、演技をする時もそのような繊細な面を自然に引き出そうとしています。

 

 

 

次回作<私の有罪人間>の「ユン・イジュン」というキャラクターのどのような魅力が心を動かしたのでしょうか?

最初のうちは人間味がなく冷たそうに見えますが、くわしく知っていくと必ずしもそうではない点が興味深かったです。冷たいと思っていた人の温かさを思いがけないところで感じることがありますが、ユン・イジュンがそんな人物でした。表と裏のギャップが生み出す不思議な緊張感に魅力を感じました。

 

 

ユン・イジュンは傍若無人な財閥3世で、殺人の容疑者という複雑な一面がある人物です。前作のキャラクターとは全く違った個性を見せなければならなかったでしょうが、典型的なキャラクターをありきたりにならないように、最もこだわった点は?

最も気を使ったのは、ユン・イジュンがミステリーの中心にいる殺人容疑者だが、ロマンティックコメディの主人公という点でした。どちらに偏ってしまうと、人物の偏った一面しか見えないと思ったからです。そこで善い姿だけを見せず、悪い方向にも傾かないように調整しようとしました。この人物が今どんな感情で、どこまでが本気かを簡単に断定できないようにすることが大事でした。

 

 

 

 

今回の作品のために、ソル・イナさんは大胆なショートカットの男装に挑戦し、シワンさんもまた、繊細な完璧主義者の財閥のクールなシルエットを作りあげました。モニター越しに互いに衝撃的な変身を初めて見た時の第一印象を覚えていますか?

ソル・イナ俳優の変身を初めて見たとき、まず思ったのは「ジェヒはこれで出来上がったな」ということでした。その時、むしろ自分の役にもっと集中しなければならないと思いました。その一方で安心感もあり、同時により良いものにする責任感も生まれました。

 

 

 

 

俳優としてひとりの人物の人生を通して演じた時、完全に振り払えずに自分の中に静かに残ってしまうキャラクターの痕跡や癖はありますか?

今まで演じてきたすべてのキャラクターの感情が自分の中に積もっているのを感じます。以前は作品が終わるとワイン一本飲んで「過去のすべてのキャラクターの感情が自分の中に重なり合うのを感じます……。 そうやって積み重ねた痕跡が今の僕を作っているのではないかと思います」と、キャラクターと良い別れをしたと思っていましたが、振り返ってみると実は完全に送り出してはいなかったようです。自分の中に少しずつ残っていたから、別れが簡単だったようです。そうやって積み重ねた痕跡が、今の自分を作っているのではないかと思います。

 

 

何の予定もなく、人の目もない本当の空きが一日が与えられたら、何をして過ごしたいですか?

水に浮かんでいたいです。海でもプールでも、どこでも。何もしないで身をゆだねて時間を過ごし、そうは思っても少しは休める一日だといいですね。

 

 

 

 

 

 

ウイスキー好きと言われています。一人でグラスを傾ける静かな夜と、気のおけない人たちとグラスを合わせる夜、癒されるのはどちらですか?

全く別の時間だと思いますが、どちらも僕には必要です。一人の時間は思考を深め、人と過ごす時間は良い感情を強く感じさせてくれます。どちらか一方を選ぶより、そのバランスが大事です。

 

 

たゆまず走り続けるランナーでもあります。この暑い時期、ベストなランニングの時間帯と聞いている音楽は?

太陽が少し傾き始める時間が好きです。その時間の空気が余裕を与えてくれるのです。最近はジョニー・スティムソン(Johnny Stimson)の『Gimme Gimme』をよく聴いています。

 

 

 

 

携帯電話のライブラリで、最も多い被写体や風景は?

確認してみたら、ほとんどが「体型」写真でした(笑)。作品のために体を作っていると、1日に何度も習慣のように撮っている気がします。もともと写真そのものにあまり興味があるわけではありません。自撮りもほとんどありません。ただ、写真に無関心な性格も職業上、少しは変わったほうがいいかなと思っています。

 

 


最近、よく笑ったことや、ちょっと刺激された日常のささいな話題は?

美味しい食べ物に急に興味が出てきました。たべものが好きな方には怒られるかもしれませんが、昔は豚肉炒めやとんかつはみんな似たようなものだと思っていました。でも最近、同じメニューでも店によってそれぞれ違うとわかったんです。そんな違いを知る楽しさができたと言ったらいいか。マーラタンもだいぶ慣れてきました。あと一、二回食べたら、自分で探して食べる段階まで行くのではないかと思います(笑)。

 

 

 

 

イム・シワンという俳優のフィルモグラフィーが一つの大きな物語だとしたら、今の章のタイトルは何でしょうか? 自分が考えるイム・シワンという物語の次のシーンを描くとしたら、です。

「ブレインストーミング」というタイトルを付けたいです。プロジェクトを始めるとあらゆるアイデアや試みを投げかけ、その中で必要なものを残すのですが、これまでの時間は僕にとってそんな過程だったと思います。さまざまな方向を経験し、実験する時期です。次の章はその中で少し選び抜き、集中する時間になるのではないかと思います。

 

 

 

編集長 キム・ルビ

ディレクター ホン・ヘソン

エディター チュ・ヒョンウク、ハム・ジス

フォトグラファー パク・ジョンハ

スタイリスト キム・イジュ

ヘア パク・ネジュ

メイクアップ イ・ヨン

セット キム・テヤン

 

 

2026年8月10日

 

 

 

 

 

走りのお供

 

Johnny Stimson - Gimme Gimme (Official Lyric Video)

 

かなりゆっくりめのテンポを聞いているのね。

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

 

神回

 

 

だいぶ元気になりました