STARTING OVER

イ・ジョンソクの素敵な三十

誰かにとっては大事なスタートにもなり得る年齢、30歳。イ・ジョンソクはその年齢を無感動に送るより、真剣に意味を持たせる側を選んだ。そこで、今幸せかと聞くと答えは「そうだ」だ。

 

 





 

 

 

ワンカットを撮り終える度にモニターを確認していました。撮影は思ったような姿でしたか。

いいえ。自分が考えていたものと違うものもありましたよ。撮られる事に慣れているのとはまた別のようです。それでも今日の自分の顔は気に入っています。

 


ずいぶん長い間、見ていなかった気がします。

30になったら心構えが変わらなければと思っていました。大人にならなくてはと思うが、まだ大人になりきれていない気持ち。そのうちに頭の中が混乱して旅に出ました。習ってみたかったピアノも始めて、英語の勉強もして。初めての事もちょっとやってみましたよ。気の合う人たちと「隠れ家」兼カフェを開いて、自分の会社も作ったからです。個人的に大きな出来事が色々あって忙しかったです。



30なら、まだ若いと言われませんか?

そうですよ。この時期を終えた方々は、若いと言うでしょう。そこで一人で混乱してしまうんです。今の僕は20代の時と違うのか、そのままだとしたら少し変わらなければならないのか。ところで (エディターさんは) おいくつですか? 33ですか? それでどうですか?



私も先輩から若いと言われます。どうしたら大人になれるでしょうか。

以前は率直さが美徳で、それが自分の魅力だと思っていました。でも今は少しずつ言葉も選び慎重になりました。すると次第にはっきりと応えられるようになりました。振り返ってみると、以前はあえて言わなくてもいい話までしている事が多かったんですよ。

 


それで、あなたとのインタビューを「おもしろい」と言う記者が多いのですね。

僕もインタビューが好きです。会話だと、僕に話をふられる事はあまりないが、インタビューだとテーマが「僕」そのものでしょう。もちろん言葉が文になって誤解を招くこともあります。それでも心から話を交わして気持ちの絆が生まれたら、文を書く人も上手く書いてくれるという期待がありました。最近では「しなくても済みそうな話は最初からしないでおこう」と考えます。シンプルに。

 

 

今も「言おうか、言うまいか」迷っているのがわかります。

わかるようになってから、そんな事が多くなりました。さっきカフェの話をした時も、しまったと思いました。店の宣伝と思われそうで。

 


では、作品の話をしたほうが気が楽でしょう (笑)。今、撮影中のドラマ <ロマンスは別冊付録> は、会社を移ってから初めての作品ということで考え抜いて選んだと思うが。

いつも以上に決めるのが大変でした。それでも、これという基準を一つ選ぶなら、ファンが好きな作品にしたかったです。ラブコメジャンルが初めてなので驚く方が多いです。以前は、色々な要素のストーリーの中にラブコメのようなシーンが混ざっていたけれど、<ロマンスは別冊付録> は全てが愛の話です。



意を決して何かを見せなくてはという覚悟もありますか?

人そのものが魅力的でかっこいい主人公にしたいです。ジャンルがジャンルなだけに実際の自分の姿も反映されるのではないかと思います。ほんの小さな部分まで現実味のある話になるでしょう。

 


好きな作品について話す時、男っぽさが強調された役を主にしていました。では、素敵だと思う女性キャラクターや俳優はいますか?

最近では <ミスターサンシャイン> に登場する女性キャラクターが本当に良かったです。ハム・アンデク (イ・ジョンウン) が亡くなる前に「私たち、手をつないでみませんか」というシーンも引き込まれたし、コ・エシン (キム・テリ) はとても魅力的な人物でしょう。

 


多くの20代男性俳優がラブコメで落ち着いた役を欲しがるが、真逆の路線へ行くとは興味深いです。

演技欲がとても多かったです。僕は俳優になりたいのに、俳優になるには演技が上手くなくてはならないが、自分はどうなのか? そんな悩みを早くから持ちすぎたと言いましょうか。1年に作品を2~3本続けたのも、違う姿を見せたいと駆り立てられたからでした。ところが30になった瞬間「ただ自分が上手くできて、人が喜ぶことをしよう」と考えるようになりました。演技的な成長と変化は、年齢と時間が解決してくれると思います。

 

 

同年代の男性俳優と親しくしているが、最近の20~30代の男性俳優の悩みや共感があるなら。

やはり役に関することでしょう。チャンネルが多様化して作られる作品が増えたが、同年代の俳優に期待したり求めるイメージがそんなに多くはないですね。特に映画は、ひとつ上の世代の先輩たちがするような作品が多いでしょう。以前は、自分が演技できるものを証明し続けていれば、作品の幅も増えると考えていました。「見て! 僕はこんなこともできます」という気持ちで作品を選んだりもしましたし。でも、もうそんな事で悩むのはやめました。悩んだって解決されるものではないですしね。これもまた時間が流れて良くなると信じています。

 

 

 

 

 

 

 

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悩みが多かったと思うが、最も熾烈に生きた時期を挙げるなら。

2014年、26歳の時です。<君の声が聞こえる> が終って急に知名度が上がりました。戸惑う中、<血沸く青春> (邦題 僕らの青春白書) を撮り、<ドクター異邦人>、<ピノキオ>と続きました。今はそうでもないが、その時は世間の関心が僕に集中しているように感じられました。人の目があるので上手くやらなければと苦しかったんですよ。

 


韓流スター、イ・ジョンソクという修飾語もその時にできました。

その言葉について考える暇もなかったです。欲望と熱い想い、強い想いが演技に向かっていましたよ。そのおかげでこれだけは自負できます。「20代を懸命に過ごして来た」と。

 


俳優で生きていくには演技力の他にもあるでしょう。「楽しくできる事」と「大変な事」があれば。

製作発表会、舞台挨拶といった公的な場で話すのがいちばん大変です。ひとこと言うにも耳が赤くなるから。こんな僕の性格を知っているキム・ビョンウク監督 (<ハイキック! 短足の逆襲)> が、「君は、イ・ジョンソク個人を見せるのが好きではないから、『良い俳優』として人の前に立つんだ」とおっしゃいました。今になってその言葉が度々思い出されます。



それでもファンミーティングの時は楽しそうでした。まもなくフィリピンとインドネシアでもファンミーティングをしますよね。

ファンは僕がちょっとミスをしても「大丈夫」と言う人たちですから。「そこでもらったエネルギーのおかげでしばらく生きていけそうだ」とよく言うが、本当にそうです。惜しみない応援の力はものすごいです。

 


あなたにも惜しみない愛と信頼を送ってくれる人はいますか?

真面目すぎるかもしれませんが、会社の人たちです。初めて自分で会社の経営をしてみると、この人たちの責任を負わなければと思えて、愛情と信頼が生まれます。本当に良い会社を作りたいですね、心から。

 

 

どういうものが良いマネジメント会社でしょうか。代表であり俳優の立場で言うと。

簡単です。これからする作品と、しなければならない作品、そして演技面で共に悩んでくれること。共に道を歩まなければなりません。そんなに多くを望んではいないのに、そう簡単ではないです。とにかく上手くやり遂げたいです。先週、厄払いもしたんですよ (笑)。

 


身近な人たちが良い言葉をかけてくれたり褒めてくれたら受け入れるほうですか?

いいえ。全く信じません。信じないほうだと思います。周りの人が僕に「ここが問題で」「ここは直して」などとは言いません。言いにくいだろうしね。それで僕とつながりのない一般の人の判断が客観的な表現だと思うんです。作品が終わったら関連記事やブログレビューを探してみて「よくやった」という表現を見ると信じたくなります。

 


演技を離れた時に耳にして、気分の良かった言葉もありますか?

(しばらく悩んで)「思ったより優しい?」。ふと、自分は意外に優しいんじゃないかと一人で考えたりもします。こんな言葉、自分で言って大丈夫ですか?

 


もちろんです。セルフPR時代じゃないですか。

周りの人が気になる時があります。良くしてあげたいが、僕の心を相手に見せるのは自尊心が傷つくのでできません。プレゼントをする時もあえて他の人を通じて渡します。良い人に見えるのが気まずくて、心からの行動が偽物に見えるようで恐いです。

 


ハハ。あまり素直になれなかったのですね。

僕の善意や好意を他の人に見せるのが恥ずかしいです。これは誰も共感できないでしょう (笑)。

 

 

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年を取れば人として成熟するだろうと期待します。人間イ・ジョンソクを深めていくものは何ですか。

先輩たちが「愛するんだ、恋愛しろ」というアドバイスをよくくださいます。確かに恋愛を終えると感情の幅が変わるようです。演技する時や人間として、ですよ。最近は自分の習慣を変えようと努力しています。

 


どんな習慣でしょうか?

たとえば、僕は29歳まで髭そりも仕事に合わせてしていました。仕事に行く直前まで伸ばして剃ると髭がきれいに剃れるからです。仕事に行く時間に合わせて、(髭が伸びるのを) 待つ時間、(髭を) 捨てる時間と考えたのです。本当に家でじっとしていたら「おうち大好き 집돌이 (チプドリ)」というニックネームもできました。30歳になって何か他のものをやってみようと努力しているところです。

집돌이 「ひきこもり」って根っから暗そうで、ジョンソクくんのイメージではないかと思って「おうち大好き」にしてみました

 


それで、みつけた楽しさや幸せはあるの?

ふぅ……幸せって何でしょうか?

 


寝ようと横になった時、次の日に心配なことが一つもなければ幸せじゃないかと。

それなら僕は、この頃、眠りにつく前にいつも考えることがあります。明日は何も起きなければいいなという事です。予想できない事が起きるのが怖くなります。僕がこの頃いちばん好きな言葉が何かわかりますか? 「何もしなければ何も起きない」です。

 


(その言葉は) 言ってみれば、自分から進んで挑戦しろという表現なのでは?

でも僕はそうではなくて「何もしないでいないと。そうしたら何も起きないから」と寝ますね。色々な面で激動の時期です。

 


そうは言っても、なぜ今に満足しているように見えるのでしょう?

こんな質問を周りの人によくします。「あなたは今幸せ? あなたが幸せならいいさ」と。本来自分が幸せだと感じたのは何度もないです。でも確かに「最近、ちょっと幸せかも?」とは思います。この前は食堂で色々注文したが、食べたいものを食べられるというのがとても幸せだったんですよ。人にもこう言いました。「こういうのが幸せっていうんじゃない?」って。

 

 

ファッションエディター イ・ゴンヒ
フィーチャーエディター イ・マル
写真 キム・ヒジュン
スタイリスト イ・ヘヨン
ヘアー ヒョンチョル
メイクアップ カンミ
セット パク・ジュヨン
アシスタント ユ・ジェヨン

 

http://www.elle.co.kr/article/view.asp?MenuCode=en010302&intSno=22130

 

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