ノボの生き活きトーク 684号: 小沢征爾と江戸京子への感慨(その3) | 生き活きノボのブログ

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水戸芸術館を介して、吉田秀和と小沢に接する機会が生じたことに、ノボは大いに喜びました。なにせ、自宅から水戸芸術館まで、車で10分前後で行けるのです。当然の事、芸術館で催される各種演奏会に、気軽に行けます。しかし、残念なことに、第1回MCOの演奏会は、チケットを入手できず、聴くことが出来ませんでした。この時は、指揮は小沢、ソリストとしてチェロのロストロポーヴィッチが来ました。ノボが初めて小沢指揮のMCOの演奏を聞いたのは、1991年11月12日の第7回定期演奏会です。この時のプログラムは全てモーツァルトの曲で、ピアノ協奏曲第20番も入っていました。ピアノ独奏は、気鋭のアンドラーシュ・シフです。小生は舞台後方の席でしたので、音響効果を心配しましたが、それには及びませんでした。この時のシフの演奏も素晴らしかったのですが、何と言っても初めて生で見る小沢の指揮が素晴らしかった。小生はこのピアノ協奏曲の伴奏を演奏したことがあり、スコアもよく見ています。小沢の演奏はオケとピアノ独奏を対峙させてスリリングというよりも、独奏ピアノも曲の一つのパートとして歌わせ、弦のパートや木管のパートと美しく絡ませて、室内楽的な響きで進行するのです。勿論、ノボは大感激しました。実は、後日、ピアニストのゲルバーが芸術館にやって来て、同じピアノ協奏曲を自分で指揮と独奏を受け持って、MCOと演奏しました。ノボは期待して聴いたのですが、小沢指揮の演奏とまるで異なりました。ゲルバーのピアノ独奏は、燦然と太陽のごとく輝くのに対し、MCOの伴奏が何か萎れたような響きで、オケと独奏ピアノの掛け合いや全体としての響きが、ノボにとっては凄く物足りなさを感じました。この時、小沢の指揮がいかに素晴らしかったのか、思い知らされました。

その後、ノボは芸術館の会員となり、小沢指揮のMCO定期演奏会があると、都合のつく限り聴きに行くようになりました。チケットは、早朝に事前に販売されていましたので、地の利を生かして、買いに行きました。朝6時頃でも、結構行列ができていましたね。料金も3000~4000円程度と驚くくらい割安で助かりました。小沢指揮のMCOの演奏は、いつ聴いても素晴らしく、ガッカリしたことは一度もありませんでした。それもその筈、MCOのメンバーは、安芸晶子、宗、潮田益子、渡辺実和子、名倉敏子などなどのヴァイオリニスト、川崎、店村、今井信子、などのヴィオラ奏者、堀、安田のチェロ、フルートには工藤、オーボエは宮本やホルヒ、後にはホルンにバボラークが加わり、世界中から錚々たる演奏家が集まっていました。そのほとんどは戦後の桐朋学園出身者であり、気心の知れた小沢の仲間でした。勿論、斎藤秀雄の薫陶を受けたメンバーもおり、演奏の何たるかを小沢と共有していたのでしょう。とにかく、楽しくて仕方ないという雰囲気で演奏しているのが、鈍感なノボにも、ヒシヒシと伝わってきましたね。 つづく。 (令和6年2月24日)