Big Bayou 前編 | 馬鹿も休み休み言いなさい

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「Big Bayou」は、Gib Guilbeau率いるSwampwaterの1stアルバム『 Swampwater』

に収録されているGib Guilbeau作の曲の名で、これまで数多のアーティストにカヴァーされてきた名曲中の名曲であります。

Big BayouのBayou(バイユー) とは細くて、ゆっくりと流れる小川を意味します。Bayouは通常低地に位置し、例えばアメリカ合衆国南部のミシシッピ川の三角州地帯に見られます。


Swampwaterは、Gib GuilbeauとWayne MooreのバンドであるThe Reasons(通称Nashville West)の継続として始まりました。

The Reasonsのオリジナルメンバーは、Gib Guilbeau(ボーカル、リズムギター)、Wayne Moore(ボーカル、ベースギター)、Gene Parsons(ドラム)、Clarence White(リードギター)でした。

1968年にClarence WhiteとGene ParsonsがThe Byrdsに加入したため、Gib GuilbeauとWayne Mooreだけが残りました。

代わりに、Gib Guilbeauの義理の兄弟であるStan Prattをドラム、Clarence Whiteの兄弟であるEric Whiteをベースギターとして迎えました(Wayne Mooreはリードギターに転向)。The Reasonsはこの構成を続け、Linda Ronstadtのバックバンドとして雇われることになりました。しかし、唯一の問題は、彼女にはすでにリードギタリスト(当時のボーイフレンド、John Beland)がいたので、4人のうち3人しか必要なかったことでした。Gib Guilbeau、Stan Pratt、EricはWayne Mooreと友好的に別れ、John BelandがいるLinda Ronstadtのバックバンドに加わりました。その後すぐにEricはベースを辞め、ロードマネージャーとして残りました。彼に代わってGib Guilbeauの友人で協力者のThad Maxwellが加入しましたが、彼はそれまでベースを弾いたことがありませんでした。バンドは、当時、発展し始めたカントリーロックの新しいホットなサウンドとGib Guilbeauのルーツであるケイジャンを組み合わせたサウンドを生み出しました。ケイジャンの影響から、バンドはSwampwaterはという名前を採用しました。1970年、彼らはLinda Ronstadtとのツアーを中断し、自分たちのアルバムを録音しました。それが、前述の1stアルバム『 Swampwater』なのです。



Gib Guilbeauはルイジアナ州サンセットで生まれ、フィドル奏者一家で育ちました。彼の父と兄弟はフィドルを弾き、ギブは14歳でフィドルを弾き始めました。


1960年、Gib GuilbeauはギタリストのWayne Moore、Darrell Cotton, Ernie Williams等と

The Four Young Menを結成。カントリーシンガーBobby Edwardsと共に録音し、Bobby Edwards With The Four Young Menとしてリリースした『You're The Reason』

が、1961年にビルボードホット100で11位、カントリーチャートで4位を記録し、大ヒットとなりました。

その後、数枚のシングルを発表した後、ベースのErnie Williamsがバンドを去ったため、代わりにGene Parsonsが加わったのを機に、The Castawaysと名を変え、ヒットメーカーGary Paxtonプロデュースの下、1963年にシングル『Poor Boy's Dream』

をリリースしました。
しかし、ヒットとはならず、シングルを2枚をリリースした後、Gib and Wayneとして1964年にシングル『World Of Dreams』

をリリースしました。


その後、Gib GuilbeauとGene Parsonsは、Rex GosdinとVern Gosdinからなるデュオ The Gosdin Brothersのレコーディング・セッションに雇われました。The HillmenでGosdin兄弟と共にプレイしていたThe byrdsのChris Hillmanがプロデュースしたこのセッションには、Kentucky Colonelsでブルーグラス・ギターを演奏していたギタリストClarence Whiteも参加していました。

その後、Gib Guilbeau、Gene Parsons、Clarence Whiteは、他のカントリー・ミュージック・アーティストのセッションで一緒に演奏し、Gary S. Paxtonのレコード・レーベルBakersfield International Productionsのハウス・バンドとなりました。

その頃に、Guilbeau & Parsonsとしてシングル『Louisiana Rain』

をリリースしています。


余談ですが、これらのセッションの過程で、Gene ParsonsとClarence WhiteはBベンダーまたはストリングベンダーを考案しました。これはClarence Whiteのフェンダー・テレキャスターに取り付けられ、楽器をペダル・スチール・ギターのような音にするシステムでした。


最終的に、Guilbeau、Parsons、Whiteは、the CastawaysでGuilbeau、Parsonsと共に演奏していたベーシストWayne Mooreと合流し新しいバンドとなりました。


このバンドは、The Reasons、Gib Guilbeau and The Reasons、the Gary Paxton BandまたはCajun Gib and Geneなど様々な名前で呼ばれていましたが、昨今、The Nashville Westと呼ばれているのは、彼らがハウスバンドとして演奏していたカリフォルニア州エルモンテのクラブの名前から取られたもので、ParsonsとWhiteが作曲したインストゥルメンタル曲の名前でもありました。


そんな彼らが最後に揃って録音したと思われるのが、前述のプロデューサーGary Paxtonが1969年に変名Rusty Dean名義でリリースしたアルバム『Wailin' Time』

です。
Gary Paxtonのボーカルは置いといて、Guilbeau、Parsons、White、 Mooreの演奏は素晴らしいです。そして、この作品と兄弟のような作品がGib Guilbeauの1stソロアルバム『Cajun Country』

です。残念ながら、Wayne Mooreは参加していませんが、Rex GosdinとVern GosdinのThe Gosdin Brothersが参加していて、ケイジャンとカントリーそしてブルーグラスの良いところだけを詰め込んだような素晴らしい作品となっています。

かつてGuilbeau & Parsons名義でシングルリリースした「Louisiana Rain」「Sweet Susana」が収録されていることからもわかるとおり、この二つの作品は、Gary  Paxtonのレコード・レーベルBakersfield International Recordsで行われたセッションによって誕生した曲をまとめたもので、1968年にレーベルが消滅したために、Alshireに売却されリリースされたと考えられます。


このアルバムの代名にもなっているCajunとは、ルイジアナ州に定住したフランス系移民、ケイジャンによって始められたダンス音楽のことです。主にアコーディオンとフィドル、トライアングルを入れたバンドで演奏され、歌詞はフランス語で歌われることが多かったのですが、1934年ごろから1941年ごろには、当時ウェスタンスイングの王様と呼ばれていたBob Willsらのウエスタン・スウィングの影響を受け、カントリー&テキサス・スウィング・ケイジャンが誕生しました。

そんな環境で育ったGib Guilbeauは当然、本来のCajunではなく、カントリー&テキサス・スウィング・ケイジャン例えばHackberry Ramblersなどに影響を受けたと考えられます。

そこにロックンロールのエッセンスを加えて、更に進化したケイジャン・カントリーロックを創り出したのが、Gib Guilbeaとその周辺にいた仲間達でした。そして、その完成系がSwampwaterだといえるでしょう。


次回は、Swampwaterの作品を中心に、その後のGib Guilbeauの活躍についてダラダラと述べていきたいと思います。