ULTRASONE
IQ PRO
Beyerdynamic
XELENTO WIRELESS
主がイヤホンに興味を抱くきっかけとなったのは以前、職場の先輩からShure SE215を借りた事に端を発する。
それまではiPod付属イヤホンで充分事足りていたのだが、SE215の齎す迫力ある音や遮音性の威力は凄まじく、イヤホンに対する認識を著しく改めさせられた。
約1万円のSE215(ダイナミック型)でこの音質ならもっと上の価格帯だとさぞ素晴らしいのだろうと思い、SHURE SE425(Balanced Armature 2基)を購入した。期待が大き過ぎたのもあるが、実際聴いてみると音質は極めてフラットで正直SE215程の感動はなかった。更に追い討ちをかけるかのように、SE425はプラスチック製筐体であるため、左右ケースの接合部にクラックが生じたのだ。
販売元に交換してもらっても暫くすると同様の症状が再発したため、今後いくら見た目がカッコよくてもプラスチック筐体は一切手を出さない事を固く心に誓った。(SHURE SE846やWestone X50等のマルチBAにも興味はかなりあったけれども...)
そんな悲しい出来事もあったため、次のイヤホンはもっと頑強なモノを!という思いで探し出した結果、Etymotic Research ER4XR(Balanced Armature 1基)に行き着いた。
ケースが金属である影響か全域に亘り、音の鳴りが良く、通勤用イヤホンとしてリケーブル(onso 04)するなどしながら暫く愛用していたのだが、歩行中タッチノイズが生じやすいのがどうしても気になり、耳掛け(通称SHURE掛け)のものを入手すべく下記要件に合致するものの調査に乗り出した。
要件
- ケース素材がプラスチック製以外
- PRC、アジア諸国製以外
今時米国、欧州メーカーで本国生産じゃないイヤホンを見つけるのは至難の業で、10万クラスのハイエンドイヤホンと呼ばれる価格帯のものでもPRC製やアジア諸国製が当たり前なご時世なのだ。
だがしかし、そこは自他ともに認める偏屈中年、目的のモノを得るまでは決して妥協しない不退転の決意で調査を進めた結果、ULTRASONEに辿り着いた。
ULTRASONEはドイツの音響機器メーカーで高価格帯のヘッドホンを取り扱う好事家御用達メーカーという認識で全くのノーマークだったが、少数ながらイヤホンも販売しており(大半は既に終売...)、中でもプロ用に音質調整を施されたというIQ PRO(2014.11月発売)はダイナミック型とBalanced Armature1基の所謂ハイブリッド型で、リケーブル不可と中々割り切った仕様である。
なお、上記正規代理店HP記事のとおりIQ PROはドイツで職人が手作業で組み立てているらしい。ヨシ❗️
所感
で、現物なのだが、まずフォルムが独特。一見するとフィットしなさそうな筐体形状だが、意外と装着感は良い。ベースモデルのIQ(2012.10.27発売)が豪奢な装い(シルバーのベースに外側の縁に沿う形でゴールドの配色)なのに対して、本機はオールブラック塗装が施されており、控えめに言って地味だ。
徹頭徹尾、プロ向けといったプロダクトコンセプトを貫く姿勢が窺える。
音質はダイナミック型とBAの組み合わせであるハイブリッドタイプ。低域をダイナミックドライバーが、中高域をBAがそれぞれ担う。高音が若干強調される味付けに思えるが、中〜低音もしっかり聴こえるため、リスニングやイヤモニの用途においても役割をきっちりこなしてくれそうな感じだ。
因みに購入後に判明した事だが、何気なく箱を見たらなんとMade In PRCの文字が...詳しく公式HPの製品仕様を見ると、IQ PROはPRC製で組立がドイツの模様...ベーシックモデルのIQが完全なMade In Germanyだったため、早合点してしまっていたようだ😥リサーチの詰めが甘かった...反省せねば。
欲には勝てず...
そんなちょっとモヤモヤ感を抱きつつ日々を送っていたが、ある日某楽器通販サイトにてBeyerdynamic XELENTO WIRELESS(以下、XELENTOという。)が特価販売しているのを目にした。
コイツは以前から脳内「いつか欲しいモノリスト」に書き留めていたのだが、如何せん通常価格が10万超過の高級品であるため、おいそれと手を出せる訳もなく、指を咥えて見てるだけの高嶺の花だったのだが、それが今だけ射程距離範囲内の価格に!しかし主の手元には既にIQ PROという存在があるし、複数持ちはしたくない性分でもあったため、諦めようと思った丁度その時、我が身に宿りし「物欲様」が覚醒なされ、XELENTOを我に献上せよとお告げになられたのだ。ほんとタイムリーだなぁ。
そんなこんなで甚だ不本意ではあるが購入するはめになってしまった。
所感
んで、XELENTOが手元にやってきた。
宝飾品かと見紛うばかりの鎮座具合。「あなたののリスニング体験を向上させます」BeyerdynamicのXELENTOに込めた自信の程が窺える。
1つずつ職人の手によるハンドメイドというがもうこの時点でほぼ満足。美し過ぎて主に釣り合わない。でも使っちゃいます。
内側に左右表記あり。左だけXELENTOが印字されている。
本体の下にはキャリングケース、ワイヤレスケーブル、クリップ、イヤーチップ、マニュアルがある。
イヤーチップはアシンメトリーの通称:ベイダーイヤーチップ(スターウォーズのダースベイダーのマスクみたいな形状から名付けられようだ)が7サイズと一般的形状(Comply製)なものが3サイズ用意されていた。
色々試した結果、主はベイダーイヤーチップのMがサイズ的に適しているようだ。→暫く使ううちに右耳だけフィッティングがイマイチで非常にイライラするため、以前IQ PROに付けるために入手していたAZLA SednaEarfit XELASTECを付けてみたら遮音性が別次元レベルで向上した。これにより漸くXELENTO本来の音が聴こえてきたように思う。
語彙力が無いため上手く伝えることが出来ないが、取り敢えず低音がすげぇ出る。音の奥行き感?立体感?iPodから3次元で音が吐き出されている事に驚いた。イヤーチップの大切さが身に沁みた良い体験であった。
余談だが、IQ PROはAZLA SednaEarfit Crystalを装着している
キャリングケース内部にはワイヤードのケーブル、ワイヤレスの充電ケーブル、交換用保護グリル×2が入っていた。
ワイヤードのケーブルはMMCX端子付近にガイドの針金が入っていないため、根本から柔らかいのだが、ガイドが無いことで耳輪の裏辺りでケーブルが浮き、甚だ不快だ。速やかにFINAL Ear Hooks TYPE Bを調達し、装着。このシリコン製の縁の下の力持ちのお陰でケーブルが固定され、やっとこさコンフォートなイヤホンライフが送れそうだ。➡︎その後暫く使用しているうちにガイド無しで快適な装着のコツが掴めたので現在はガイドを外している。
イヤホンの性能はダイナミック型だが、同社ご自慢の「テスラテクノロジー」をイヤホンサイズで搭載。以前紹介したAventho Wired(下記リンクを参照)と同じ技術が試行錯誤の末、小型化に成功したんだそうな。
音質は先述したとおり、イヤーチップを換装したことにより、iPod直挿しAAC音源という貧弱な環境でも高音〜低音キレイに出てると思う。主のバカ耳では充分すぎる程の良質な音が堪能できる。若干高音強めなIQ PROとは異なり、どの音も刺さることもなく如才なく仕事を熟す様はまるで50代のカイゼル髭を貯えたロマンスグレーのどこぞの貴族様お抱え筆頭家宰みたいだ(見た事ないけど)。
今回、ユニバーサルイヤホン(既製品)のダイナミックドライバー部門最高峰イヤホンの一つを入手したという事実だけで主は満足だ。
因みにワイヤレス環境では同社が提供する「MIY」なるアプリを使用することで自分に合った設定ができるが、主の用途は専ら有線での運用なので恐らく高確率でお蔵入りとなる。
一時期は音質向上のためにポータブルアンプの導入を検討した事もあったが、先にイヤホンを良いモノにした事で満足できたため、ポタアンは不要との判断に至った。
XELENTOはリスニング専門、IQ PROは本来の使用用途であるイヤモニとして貢献してもらうのが最善の運用方法だと判断した。
今回の買い物で漸く主がハマってしまったイヤホン沼底に足がついた気がする。➡︎足がついたと思ったら気の所為だった。
続く。