Fischer Amps

In Ear Stick

 インイヤーモニター(以下、イヤモニという。)は大音量のステージ上において、自身や他のパートの音を正確に把握するため、従来の「コロガシ」(足元にモニターアンプを置くアレ)に取って代わるスマート且つ耳にも優しいツールとしてここ近年はアマチュア界隈でも楽器店の特設コーナー等を見ると低価格帯のワイヤレスイヤモニが普及しているように感じる。

 主も嘗てライブ中幾度となくタイミングが掴みづらいと思った事があり、その度にイヤモニの導入を検討したが、予算超過で見送ることを繰り返していた。

 あれから幾星霜。若い頃よりほんの僅かだが経済的に余裕がある今、イヤモニ導入に向けて一歩踏み出す決意を固め、購入に踏み切った。


 要件

  • 有線
  • 小型
  • Made In PRC以外(最早恒例)

 

 何故有線なのか。主はエレクトリックアップライトベースを所有している(詳しくは下記記事を参照のこと)

ため、派手に動き回ることを想定していない。よってワイヤードという訳だ。

 すっかりワイヤレス人気の陰に隠れてしまって久しい有線イヤモニヘッドホンアンプで取り敢えず国内流通中の調達が容易なモノをピックアップした結果、以下の候補が挙がった。



 ① Behringer Powerplay P2



 ② PreSonus HP2



 ③ Fischer Amps Mini Body Pack2


 それぞれ上述の選定要件に当て嵌めると、①は最も安価だがPRC製で除外。②は筐体が主にとっては少しばかり大き過ぎるためこれも除外(なお製造国は終ぞ分からず...)。残る③についてだが...有線で小型、且つドイツ製と要件全てが兼ね備わっている。これを選ばない選択肢はないだろう。


 と、いう事で某全国チェーン楽器店でお取り寄せ購入。注文の際にショップスタッフからは非常に珍しがられた。そんなに需要がないのか...


 ​所感


 実際に入手したのはMini Body Pack2ではなく、上位機種であるIn Ear Stickというモノ。輸入代理店長期在庫品だったためか、外箱が若干傷んでいるのはご愛嬌。



 Mini Body Pack2はパッシブで電池不要なのに対し、In Ear Stickは内蔵アンプの駆動に電池が必要となる。価格はMini Body Pack2の倍以上だが、それでもワイヤレスシステムより遥かに安い買い物と言える。

 余談だが、In Ear StickはGerman Innovation Award 2018を受賞したらしい。海外のレビュアーからも概ね好評だったのも購入の決め手となった。


 同梱品はマニュアルと保証書、変換プラグのシンプルな構成。



 実際のモノだが、アルミ製のブラックな筐体は想像通りかなり小さく軽量。長辺はiPhone SE3と同じぐらいといえば分かるだろうか?尻のポケットに差しても行動を阻害しない。

 音質もオペアンプBURR・BROWN社製を搭載しており、全域に亘り不足なく良質な音を届けてくれる(ベースからのフォーンプラグダイレクト接続での確認)。

 筐体中央部のボタンを押しながら黒いボディを上にずらすと外殻を外せるのだが、爪先ではボタンの沈み込みが浅すぎるので何が先の細いモノを使う必要がある。



 内部にはバランス(モノラル)・アンバランス(ステレオ)の入力切替のDIPスイッチがあり、オプションのXLRケーブルを使用することでミキサーからのアンバランス出力に対応することができる。

 駆動には単四電池2本が必要。連続使用10時間とのこと。リチウムイオンバッテリーだと経年による交換が色々と面倒なので乾電池は気楽で良い。

 またリミッターが備わっており、突発的な大音量を抑えてくれるため、聴覚の保護に貢献する。


 内部側面にはイヤホンの感度に合わせて出力レベルの強弱切替が行えるスイッチがある。主の手持ちのイヤホン(XELENTO WIRELESS、N5005、SE535LTD)であればLOWで問題ないだろう。


 上部はOn/Off及びボリュームノブとアウトプット、電池残量を視覚的に知らせるLEDランプがある。なお、表示はFull=緑、40%以下=オレンジ、15%以下=赤となる模様。

 アウトプットは3.5mmのステレオミニプラグ。今手持ちのイヤホンとヘッドホンは全て4極プラグ(マイク出力付き)しかないが、問題なく機能したので3極、4極ともにイケるようだ。ただライブで使う場合4極は不要なのでやはり3極へのリケーブルは後々やろうと思う。


 後日サブ機のSE535LTDにリケーブル(SHURE EAC64CLS)を施し、イヤモニ専用機とした。


 底面はNEUTRIK社のコンボジャック(ロック機能付)。ミキサーからの出力をフォーン(標準)プラグ、XLRプラグのどちらでも受けれる便利なヤツだ。


 ​後日譚

 恥ずかしながら未だにXLRケーブルを所持していなかったため、買ってみた。

KLOTZ

M5FM6


 KLOTZはドイツのブランドで高品質なケーブルを多種販売している。今までケーブル類はベースシールドしか買ったことはなく、それも専らMonster Cableばっかりだったため、今回初の欧州メーカー製品にトライ。

 KLOTZ社のXLRケーブルラインナップは主が知るところでGrayhound、KMK、M1、M2、M5、TITANIUMがあるようだ。Made in Germanyで5年保証付きのM5が主のニーズにベストマッチした。

 主の感覚でいつ使うことになるか分からないイヤモニ用マイクケーブルに¥8,800-は中々の金額だったが、趣味に関しての妥協の買い物は自身の矜持が許さないため、年の瀬で何かと出費が嵩む中ではあったが、なんとか捻出して購入。

 ケーブル素材は耐久性と柔軟性を両立させており、Monster Cableと比較してとてもしなやかな印象(単に被膜の経年劣化による硬化かもしれないが...)。

 In Ear Stickのコンボジャックと同じNEUTRIC社のプラグ。極性もヨーロッパ式と呼ばれる2番ホット(+側)だろうから多分問題ない...筈。


 上で紹介したヤツら(SE535LTD + EAC64CLS + In Ear Stick + M5FM6)を全てドッキングするとこの形となった。機材だけ物凄い玄人感...


 あとはスタジオやライブでの使用となるのだが、現状使用機会の目処はたってない。どうやら2024年はコイツの活躍の場をどうにか作ってやらねばならんようだな!こりゃいよいよバンドメンバー募集に応募する時が来たかもしれん。勇気を出してちょっと頑張ってみるか...