ここをクリックすると第1話に飛びます
文末のつづくをクリックしていくと順番に読めますです
大家の奥さんは、小鼻のわきに小豆ほどの大きさのホクロがある人物であった。
部屋の中には大きなコリー犬がいて、僕の手首を何度も噛んでは尻尾を振ってみせた。
卒業式が終わると、ついに僕は浪人生となった。
奇妙な気分だった。
それまでは中学生とか高校生とか、ちゃんとした身分があった。
小僧寿しのアルバイトをしていたときだって、
「○○高校三年生」
という揺るぎない身分があったのである。
それが、卒業式という儀式が終わったとたん、身分を剥奪されたのだ。
一人、荒野に立っているような心境だった。
世界はこんなに広かったのか、とも思った。
(自由とは、存外恐ろしいものだ)
僕はすぐさま上京の準備を始めた。
ともかく動き出さないと、何かが崩れてきそうな気がした。
つづく
文末のつづくをクリックしていくと順番に読めますです
大家の奥さんは、小鼻のわきに小豆ほどの大きさのホクロがある人物であった。
部屋の中には大きなコリー犬がいて、僕の手首を何度も噛んでは尻尾を振ってみせた。
卒業式が終わると、ついに僕は浪人生となった。
奇妙な気分だった。
それまでは中学生とか高校生とか、ちゃんとした身分があった。
小僧寿しのアルバイトをしていたときだって、
「○○高校三年生」
という揺るぎない身分があったのである。
それが、卒業式という儀式が終わったとたん、身分を剥奪されたのだ。
一人、荒野に立っているような心境だった。
世界はこんなに広かったのか、とも思った。
(自由とは、存外恐ろしいものだ)
僕はすぐさま上京の準備を始めた。
ともかく動き出さないと、何かが崩れてきそうな気がした。
つづく