辺野古事故について、平和丸に旅客12名+船員1名の搭載人員を許可していることが、日本の検査規則の欠陥であると問題提起しました。

 

アメリカではどうなっているのか?

総トン数 100トン未満が対象の「小型旅客船の復原性の検討」を調べました。(以下「REVIEW」)という。)
"REVIEW OF STABILITY FOR SMALL PASSENGER VESSELS (T)  Procedure Number: H1-01 Revision Date: September 25, 2023 "
https://www.dco.uscg.mil/Portals/9/MSC/PRG/PRG.H1-01.Review%20of%20Stability%20for%20Small%20Passenger%20Vessels%20(T).pdf?ver=29WXwrgPVJbWYG7w37O8uA%3D%3D

 


平和丸のように、デッキが張っていない船(Open Boats)については、簡単に波が船内に入り込むため、特別の要求が「REVIEW」の19ページに記述されています。

翻訳すると、

10.5 オープンボート:
46 CFR 175.400 に定義されるオープンボートとは、完全な水密デッキ、または部分的な水密デッキと上部構造物の組み合わせによって浸水を防ぐことができない船舶を指す。

浸水を防ぐデッキのない平和丸は、オープンボートですね。


10.5 オープンボートには、1.から4.までの要求があります。
1.は46 CFR 170.173の要求をみたすことです。  

https://www.ecfr.gov/current/title-46/chapter-I/subchapter-S/part-170/subpart-E/section-170.173


46 CFR 170.173の(b)(6)を引用します。

翻訳:

(6) 各復原力曲線において、30度から40度の間の角度、または船内へ海水が浸入する角度が40度未満の場合は30度から船内へ海水が浸入する角度までの間の角度に対応する面積が、5.6フィート・度(1.72メートル・度)以上であること。

意味がわからないと思いますので、少し説明します。

船は傾いても、元の直立状態に戻る力が働きます。 

その力が、復原力です。

横軸に傾斜角、縦軸に復原力を書いた曲線が、復原力曲線です。 

復原力曲線の下の面積が大きいと、突風や大波で瞬間的に大きく傾いても、突風や大波が去った後、それまでの状態に戻ります。

 

CFR 170.173の(b)(6)では、上図のA2(30度からθ度の間に対応する復原性曲線の面積)が、5.6フィート・度(1.72メートル・度)以上であることを要求しています。

θ度は、40度又は船内へ海水が浸入し始める角度の小さい方です。

 

すなわち、CFR 170.173の(b)(6)は、風波で30度以上船が傾いても、元に戻れることを要求しているのです。 言い換えれば、30度船が傾いたときには、船内に水が入る船では、この要求に適合できません。


平和丸の主要寸法は海上保安庁により発表されていませんので、長さの似たヤマハのボートの寸法を使い、CFR 170.173の(b)(6)を検討します。


平和丸: 長さ 7.63m
ヤマハ W-25DH: 全長7.51m、 全幅2.07m、 全深さ0.8m



喫水は不明なので、0.4mと仮定します。

 

ヤマハ W-25DHは、21.13度以上傾くと、デッキから船内に水が入ります。

船内へ海水が浸入し始める角度は、21.13度です。

 

21.13度を超えて傾くと、船内に水が入るため、復原力が働きません。

復原力があるのは、0度から21.13度の間だけです。

従って、A2の面積は、ゼロ。 CFR 170.173の(b)(6)の要求に不適合ですので、アメリカでは、ヤマハ W-25DHは旅客定員を認められません。

 

 

A2が、CFR 170.173の(b)(6)に合格するためには、デッキを張って、30度以上の傾きでも、船内へ海水が浸入しないように、設計する必要があります。

 

いや、デッキを張っていたら「Open Boats」ではない。船側を上に伸ばし、30度以上の傾きでも、船内へ海水が浸入しないように、設計する必要があります。

 

デッキが張っていない船(Open Boats)に対して、"REVIEW" 10.5には、1から4の要求がありますが、1で不適合になりました。 アメリカの規則では、ヤマハ W-25DHは旅客輸送に使用できません。  

 

平和丸の正確な主要寸法はわかりませんが、同様な寸法のはずですので、同じ結果でしょう。 

アメリカの規則では、平和丸は旅客輸送に使用できません。  

つまり修学旅行生を乗せてはならない船です。

ところが日本では、最大搭載人員は13名(旅客12名+船員1名)。

 

個人の責任だけでは終わらせてはならない

もちろん、事故原因の解明には運航管理や当日の判断も含めた総合的な検証が必要である。

しかし、仮に制度上の安全基準そのものが現実の海象条件に対して十分な安全余裕を与えていないのであれば、問題を個人の責任だけに帰して終わらせるべきではない。

同様の条件を持つ小型船舶は日本各地に存在する。もし制度に改善の余地があるならば、今回の事故を契機として見直しを進めるべきである。

私たちが向き合うべきなのは、「誰が悪かったか」だけではない。

本当に問われるべきなのは、「現在の基準で人命を守れるのか」である。

二度と同じ悲劇を繰り返さないために、実際の海象条件を考慮した実効性のある小型旅客船の安全基準について、社会全体で議論を深める必要がある。

ヨットで走る時に、海図を表示させるAvNav(チャートプロッター)を使っています。

自分の位置、速度、方向、目的地への方向、到着時間、AISの受信など、便利です。

輝度1000Nitsのスマホ(3,000円)で表示させているのですが、直射日光が当たると見えない欠点がありました。  普通のスマホの輝度は、400Nitsぐらいですので、それよりは、ずっと良いはずですが、・・・。

 

この欠点を補うために、いい方法はないかと、ずっと考えていました。

小さな箱の中にスマホを入れて影を作る →  ちょっと使いにくい。

業務用の屋外で使えると宣伝するタブレット → 高すぎる。

電子書籍リーダーに使われているEinkは原理上、直射日光の下でも読むことができます。  これをモニターに使えたらと、注目していました。 

ついに、EinkのAndoroid タブレットを見つけました。それも手の届く価格で。

 

Bigme B751C S タブレットです。 Android 14 OS、4GB+64GB、 7インチの画面。

液晶に比べて、色の鮮やかさはありませんが、ナビに使うのには充分な性能です。

直射日光下では、右の輝度1000Nitsのスマホでは、画面が見えませんが、Bigme B751C Sの画面は、問題なく見えます。 Bigme で、長年の懸案が解決しました。

 

 

LTEやカメラの付いた上級品もありますが、WiFiの受信ができれば、私には十分です。

 

 

 

 



 

船用のチャートプロッターを安く手に入れたい方は、アンドロイドにAvNavをインストールして、DIYするのがお勧めです。NMEAのデータの表示もできます。

 

 

晴天続きだが、風がまったくない日が続いていました。

で、ティラーをニス塗りをすることにしました。

ずっと気になっていたのですが、セイリング優先で先延ばししていました。

直射日光がひどいため、日陰になる午後遅くに3日間作業しました。

 

極細の月ですが、月の形がうっすらと肉眼が見えました。

写真を撮ると、極細感がなくなっていて残念です。

調べると、 新月の翌日(月齢1.6)でした。

久しぶりに江の島ヨットハーバーへ行きました。

19歳から33歳まで、ここでディンギーで遊んでいました。

シーズン中は、2週間に1回は行っていたと思います。

 

ヨットハーバーは、当時とはまったく違う大きさ、配置です。

同じなのは、場所だけ。

 

 

江の島観光は、人生で3回目。

2026/05/04

いつもはレースの翌日に別府へ帰るのだが、天気予報が当たり強い北西の風。

晴天だったが、向かい波と風では、チョットきつい。

ほとんどのヨットは、今日の出港を止めていた。

 

ホテルを10時に出て、ヨットで、濡れたカッパや服を干し、船内の整理。

風と波で、ヨットは大揺れ。 夕食は「ひまわり」と回転寿司。

ホテルは満室なので、宿泊はヨットでした。 

 

道の駅では、連休の催し物をやっていた。

 

2026/05/05

朝5時に出航。

 

別府の「ひまわり」が抜いていった。

 

この時に撮ってもらった写真。 ほとんど風はなく、エンジンで走っています。

 

別府の「Wind Kiss」も抜いていった。 

オーナーとしての初めての正式レース出場でした。 

 

高島。  もうすぐ佐賀関。

 

大分沖で、風太郎Ⅲが抜いていった。

 

別府沖では、ホーバークラフトが横切っていった。

ついに周遊をヨットハーバーのそばで始めた。

 

14時26分、別府北浜ヨットハーバー到着。

Code0を海につけてしまっていたので、水洗い、乾燥と余計な作業で忙しかった。

宇和島を出て6時間すぎのところで、15分ほどスピードが落ちているのは、海に落ちたCode0を回収していたため。

 

楽しい3泊4日の旅でした。

うわじまパールカップ2026

午前8時、ゼッケン付けてレースの準備。

 

10時のスタート5分前。

 

スタート後12分。  後方に大船団。 疾風得意な斜め後ろからの風なので、珍しく。

 

前には10艇ぐらい。

天気予報は、南の風8mの風速。 予報が当たれば、まずまずの成績を期待できる。

毎回成績が振るわないので、甘いハンデにしてもらっているので、チャンスです。

 

雨がさらに強くなったので、カメラは中止。

円瀬灯浮標を回ると前からの風。 残念ながら、どんどん抜かれ始めました。

「南の風8mの風速」の予報ははずれ。 風は落ちていきました。

大雨で全身ずぶ濡れ、寒い。

7️⃣では、ようやく養殖筏をクリアできると思っていたら、風がストップ。

すぐ前にいた「セイラーズ ムーン」と運命の分かれ目でした。

 

 

着順20位、ハンデ修正19位の好成績でした。

「南の風8m」の天気予報が、当たっていたら、もっといい成績だったかも。

 

今年のアフターパーティーの会場は、屋外。

テントは張っているが、最近経験したことのない大雨が降り続いた。

主催者が気の毒でした。

 

しかし記憶に残る楽しいレースでした。

宇和島の皆様、有難うございました。

朝5時半に北浜ヨットハーバーへ。  

翌日のレースに向けて、別府から宇和島へ回航です。

 

6時5分出港

 

風がないので、エンジンで。

AISを受信し、周りの船を確認。 黄色の三角が、AIS電波を発信している船。

黄色の三角は、衝突の可能性があると、赤色になる。

たくさんの船に囲まれているように見えるが、他の船は遠くを走っている。 

赤い矢印の先端が、疾風の位置。 

その周りの赤い円は、ヨットから1kmの距離。


風が吹かないため帆走できず。  セイルは揚げていたが、ずっとエンジンで走った。

平均5.8ノットのスピード(約時速11キロ)で、15時28分到着。 

9時間23分の航海でした。

 

夕方5時から、「Sailors Moon」と「Wind Kiss」グループに加わり、中華宴会。

 


 

私は幸運に恵まれなかったが、セイラーズ ムーンに乗っていたミキチャンは、クジラ遭遇の動画を撮っていた。

 

場所はこの辺。 羨ましい。

その①からご覧になったほうが問題点がわかりやすいと思います。

 

【辺野古転覆事故】検査規則の欠陥 その② 『小型船舶安全規則』第102条

 

沖縄・辺野古沖での2隻の転覆事故。

なぜこれほど容易に「船体検査に合格した」船が波に呑まれたのか?

「合格」の裏に隠された検査規則の欠陥を考えずにはいられません。

 

■  旅客船への特別な復原性の要求はない


今回の事故を読み解く鍵は、『小型船舶安全規則』第102条 (沿海区域を航行区域とする小型船舶の復原性)にありました。

 5トン未満の小型船の場合、旅客船への復原性の追加要求はありません。

驚きです。 ヨットの場合、旅客定員がつくと、厳しい復原性の追加要求があるのですが。

 

第102条には、最大乗員数を計算する式が並んでいますが、その式の意味は、

JCI(日本小型船舶検査機構)の公式サイトにある「検査 Q&A」のページに平易に書かれています。 引用します。

Q 乾舷を計測して何がわかるのですか?

A 復原性基準(小型船舶安全規則第102条、103条)を満たす最大搭載人員を求めています。
基準は、

  • (1) 乗船者全員が片舷に寄っても船が20度以上横傾斜しないこと及び船が20度横傾斜したときの乾舷が9cm以上確保される(甲板が没水しない)こと
  • (2) 波長が船の長さと同じで波高が波長の5%である縦波の上で船が10度横傾斜しても乾舷が確保されること
  • (3) (2)と同じ状況で船尾乾舷が確保される(船尾端が没水しない)こと

を要求しており、(1)(2)(3)(103条は(1)と(3))が満たされる最大搭載人員は何人となるかを逆算して最大搭載人員を決める内容となっています。計測は満載(ただし乗船者がいない)状態で行いますが、そのときの乾舷などから最大何人乗れるのかを算出します。

 

 

■  基準(1)「9センチ」の余裕で合格

静水面での要求です。

満載状態で水面からわずか 9センチしか余裕がなくても合格です。

波がない状態ですので、少しの波で、船内に水が入ります。

 

基準の疑問1: なぜ、波を考えなくて良いのか?

 

■  基準(2)波高38センチの波しか考えていない

  • 波高が船の長さの5%の波の上で船が10度傾斜しても乾舷が確保されること。
平和丸の長さ(7.63m)で計算すると、波高は0.38m(=7.63 x 0.05)にすぎません。 
 
基準の疑問2: 波の大きさは、船の長さによって決まるのではなく、実際に走る海域で決まります。 沿岸においても、波高1mの波は通常の波です。しかし、基準は、船が小さいと、小さい波を仮定しています。
しかし、波高が、0.38mを超えても、航行は制限されません。
 
基準の疑問3:乗船者がパニックで片側に寄るだけで、20度の傾斜する(基準(1))が、波の中では、船は10度を越えて傾かないと仮定している。  波の影響を過小評価しています。 旅客も動きません。

 

 

 

■ 復原性要求の波の過小評価

 

おそらく事故の経過は、大波による大傾斜 → 旅客のパニック移動 → 大浸水 → 復原性喪失 →転覆だと思われます。

しかし復原性要求(基準(2))では、

大波:波高 0.38mのみ

波による大傾斜:船は10度より傾かない

旅客のパニック移動:移動を仮定しない

「小型船舶検査機構(JCI)が行う復原性試験に合格しているから、旅客を運んでも安全な船だ」と言い切るには、無理があると考えます。

 

■  船舶検査証書

 

船体検査に合格した平和丸には、船舶検査証書が発行され、最大搭載人員(旅客12人、船員 1人、その他の乗船員 0人、計 13人)及び航行区域が記されています。 

 

航行区域として港から片道1時間で航行できる範囲と、周辺の海岸から5海里以内の範囲が記されているはずです。 しかし、波高0.3815mまで安全航行できるといった、航行制限は記されません。 

 

 

現場の「過信」を生んだのは誰か?

 

ネットやマスコミは現場の判断を責めますが、船長に「12人客を乗せても大丈夫だ」というお墨付きを与えたのは、国が認めた規則に基づく「船舶検査証書」です。

 

長年の運行経験からくる「これくらいなら大丈夫だろう」という慣れが船長にあったとは思います。しかし、その慣れを技術的に裏付けていたのは、波のリスクを過小評価し、旅客の移動を考慮しない『小型船舶安全規則』第102条 (沿海区域を航行区域とする小型船舶の復原性)です。

 

責任追及の矛先を変えるべき

 

学校の責任や団体の思想を叩く前に、私たちが問うべきは以下の点です。

  • なぜ、7.6メートルのオープンボートに「13人」もの最大搭載人員を国は認めているのか? 
  • なぜ、旅客の乗船に対する特別な要求はないのか?
  • なぜ、実際に起こり得る波高を考慮せず、「静水面での船の傾き」や小さな波だけで安全を担保するのか?
  • なぜ、検査で仮定された波高が「船舶検査証書」に記されていないのか?

亡くなった方々の無念を晴らすためにも、感情的な非難ではなく、小型船舶の安全基準そのものへのメスが必要です

今回の悲劇を、単なる「不注意」で片付けてはならないと強く考えます。