その①からご覧になったほうが問題点がわかりやすいと思います。
【辺野古転覆事故】検査規則の欠陥 その②
沖縄・辺野古沖での2隻の転覆事故。
なぜこれほど容易に「船体検査に合格した」船が波に呑まれたのか?
「合格」の裏に隠された検査規則の欠陥を考えずにはいられません。
■ 旅客船への特別な復原性の要求はない
今回の事故を読み解く鍵は、『小型船舶安全規則』第102条 (沿海区域を航行区域とする小型船舶の復原性)にあります。
5トン未満の小型船の場合、旅客船への復原性の追加要求はありません。
驚きです。 ヨットの場合、旅客定員がつくと、厳しい復原性の要求があるのですが。
第102条には、最大乗員数を計算する式が並んでいますが、その意味は、
- 最大搭載定員(70kg/人)が片側に寄っても20度以上傾かないこと
- その状態で、船の縁が水面から9センチ以上出ていること
■ 「9センチ」の余裕で合格
満載状態で水面からわずか9センチしか余裕がなくても合格です。
ヨットであれば、9センチの傾斜など日常茶飯事ですが、和船にとっての9センチは、波一つで船内がプールになることを意味します。
「法的には合格」であっても、「物理的には海に出してはいけない」船が、この第103条によって公認されています。
JCI(日本小型船舶検査機構)の公式サイトにある「検査 Q&A」のページに、この第103条の意味を平易に書いています。
■ 小型船舶検査機構(JCI)の復原性要求の大きな盲点
- 「静水面」: 要求はあくまで穏やかな水面を仮定しています。「定員13人が片側に寄っても、船縁が水面から9cm 残れば合格」という基準ですが、これは波があれば、どうなるでしょうか。 海を走るのです。
「静かな水面での理論上の安全」を証明していましたが、実際の海(波がある状態)での安全性を保証するものではなかったのです。 - 「動的な力」の無視: 海の上では、波による揺れ、風の圧力、旋回時の遠心力が同時にかかります。満載状態で乾舷が著しく減少した船にとって、わずか数十センチの波は「波」ではなく「浸水の牙」となります。
おそらく事故の経過は、波による大傾斜 → 旅客のパニックの移動 → 大浸水 → 復原性喪失 →転覆だと思われます。
これを「規則に合格しているから安全な船だ」と言い切る制度には、無理があります。
■ 現場の「過信」を生んだのは誰か?
ネットやマスコミは現場の判断を責めますが、船長に「13人乗っても大丈夫だ」というお墨付きを与えたのは、国が認めた規則に基づく「船舶検査証書」です。
長年の運行経験からくる「これくらいなら大丈夫だろう」という慣れが船長にあったとは思います。しかし、その慣れを技術的に裏付けてしまったのは、波や動的なリスクを考慮しない定員算出ルールです。
■ 責任追及の矛先を変えるべき
学校の責任や団体の思想を叩く前に、私たちが問うべきは以下の点です。
- なぜ、7.6メートルのオープンボートに「13人」もの最大搭載人員を国は認めているのか?
- なぜ、実際の海象(波)を考慮しない「平水での船の傾き」だけで安全を担保するのか?
この「定員設定」こそが最大の過ちに見えます。
亡くなった方々の無念を晴らすためにも、感情的な非難ではなく、小型船舶の安全基準そのものへのメスが必要です。


































