維新の党になってから最初の委員会質疑は、農林水産委員会にて。
今日は結構マニアックな質問でしたが、平たくいうと「しれっと多額の税金を使わないで、お知らせくらいしてください」という話です。
以下、詳しく。
今年は米価の大幅な下落がニュースになってますが、この大きな要因が、昨年産米の在庫過剰が一因。
毎年度末(3月末)にその年度産の在庫を調べるんですが、平成25年度産の米の在庫は3月末で 257万トンと推計。
標準値が200万トンほどとしていて、50万トン以上の在庫があるのはかなり異常。
思いっきり単純化して言うと、在庫を持っている業者が早く売り切りたいなどの理由で米を安くしているので、それにつられて今年度(26年度)産の米は最初から安くなっているわけです。
これじゃ困るよ、ということで、「米穀安定供給確保支援機構」、いわゆる米穀機構という民間団体が、「余っている米を35万トン買い入れる」ということをやったわけです。
市場に出回る米の量を減らして、価格が落ちるのを食い止めよう、ということですね。
米穀機構には、こういうときに使うために過去に農業者から集めた積立基金があります。
(今は積立してませんが、過去に集めた分です。)
この全額、220億円を使って市場から米を買い、それを飼料用などに売るわけです。
ところが、ここでいくつか問題が。
1.機構が発表した買い入れ価格は、1俵あたり9950円。これで35万トン買うと「583億円」必要で、機構のお金(220億円)では全く足りない。じゃあ、残りはどこから調達したのか?
これ、非常に複雑なスキームなのですが・・・
だいたい、以下のようになります。
①政府が持っている「備蓄米」のうち、5年を超えた古い米を、この35万トンの新しい米と『交換』した。
→ 政府は古い米を機構に売り、機構は新しい米(25年度産)を政府に売る。
→ 古い米は飼料用や加工用にしか使えないので、安い。新しい米は主食用なので、高い。
→ この売買の「差額」を、583億円の一部に充てる。
②買い入れた35万トンを、飼料用・加工用として市場で売る。機構はその売却収入を得る。
つまり、不足分は①と②を足したもので賄った、ということです。
2.最初から政府が介入する前提だった?
食糧法により、政府は米を税金で買い支えることはしない、ということになってます。
しかし、上の①は「古い米と新しい米を『交換』する」という名目で、税金で買い支えているようなものです。
加えて、米穀機構が35万トンの買い入れを決めた4月の時点で、国は「特に財政支援などをしようなどとは全く考えていなかった」とのこと。
しかし、上のように200億円以上の不足が出ることはその時点で明らかで、国の支援がない限り、米穀機構も35万トン買おうなどとは言えなかったのではないか?
3.HPや発表資料に、「財政出動します」ということは一切触れられていない
農林水産省HPには、「備蓄米の古いものを、米穀機構が持っている新しいものと交換します」という旨は書いてあります。
しかし、それはあくまで「交換する」ことだけであって、何度読んでも、200億円超の税金が使われるとは思えない書きぶりです。
せいぜい、「古い米が新しくなって良かったね」くらいにしか思わないでしょう。
テクニカルな内容なので、答弁はすべて役人です。
1.について
→ 認識通りのスキーム。不足額は政府備蓄米との交換売買によって生じた差額を用いていることは認めている。
2.について
→ 4月の時点では、米穀機構がいくら自分たちで調達できるか不明確だったので、政府が支援することは特に想定されていなかった。「交換」についても、8月の発表時に確定したものであった。
3.について
→ HPの別の部分に、「詳細は後日」と書いてあるので問題ない。
簡単にいうと以上のような答弁でした。
まず、1.についてはいいとして。
2.は、そりゃそう言いますよね。だって認めていたら、食糧法に反したことになりますし。
しかも、これは「交換」であって、財政支援ではない、ということになってますし。
3.が実は一番問題で、
その該当か所を後で探してみましたが、見つからないので役所に「どこに書いてあるんですか?」と聞いたら、担当者も実は分かっておらず。
結局、よっぽどこの分野に詳しく、かつそれを仕事にしている人(つまり、役所の人)以外は絶対に見ないような場所に しれっとあるんですね。
これをもって「公開しているから問題ない」というのは おかしな話です。
イレギュラーな財政出動も、時には必要でしょう。
だから私も「絶対に使うな」とは言いませんが、200億円を超える多額の税金を使う必要に迫られたなら、せめて「イレギュラーで多額の支払が発生します。金額等は後日発表します」くらいのことは、誰でも見つけられるようなところ(プレスリリースとか)に書いておくべきでしょう。
「なんだか、怪しいよね」っていうお金の使い方をするから、常に疑われることになるわけです。
・・・かなり簡潔に書いたつもりですが、それでも結構な量になってしまいました。。。
今回の件に、西川新農林水産大臣も「できる限り情報を開示する」との答弁。
これはこれでなかなか前向きな答弁です。
ということで、今国会の会期は短いですが、質問主意書なども使ってどんどん質問をぶつけていきます。
何せ、閉会すると何も聞けなくなりますから。。。