<艶が~る、二次小説>


古高俊太郎様、花エンド後の話も、もう11話目です涙


あれから3人はどうなったのかアオキラ相変わらずの駄文ではありますが…良かったら、また覗いていって下さいませキャッ


※俊太郎様、花エンドを迎えていらっしゃらない方や、俊太郎様を攻略していらっしゃらない方にはネタバレになりますので、ご注意下さい。


【第10話のあらすじ】

水族館で初めてのデートをすることになった二人は、幕末時代での記憶が甦る中、限られた時間を大切にしながら新たな思い出を紡いだのだった。


現代版ですし、私の勝手な妄想ではありますが…少しでも、俊太郎様を感じて貰えたら嬉しいです…。


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【古高俊太郎~花end後~】第11話



私達は手を絡めたまま、隣接しているお店に足を運んだ。


店内には、イルカやシャチなどの縫ぐるみや玩具などが沢山並び、その一角に設置されていたアクセサリー達に目を奪われ始める。


「うわぁ、可愛い」


感嘆の声を漏らしたのもつかの間、そのイルカのペンダントは本物のシルバー仕様だった。


「…………」


(…とても手が届かない……)


「それ、気にいったんか?」

「えっ?」


俊太郎さんは、私の肩越しに顔を近づけながらそっと囁いた。


「いえ、ただ可愛いなぁ~って思っただけです」

「…そうか」

「あ、あっちにはラッコの縫ぐるみも!」


俊太郎さんの腕に手を回しながらゆっくり移動すると、今度は縫ぐるみ達に迎えられる。


そんな風に広い店内を歩き回り、また外に出た頃にはもう、肌寒さと共に夜の気配に覆われていた。


「もうそろそろ、帰る時間ですね…」

「そうやな…」


少し早めだけれど、都心の混雑を見越して品川駅へ向かうことにした私達は、その途中で困らないようにトイレタイムを設け、お互いにまたここで落ち合う約束をして別れた。


(うわぁ…混んでる……)


日曜日だからしょうがないのだけれど、こういう場所はどこへ行っても混み合うもの…。溜息をつきながらも、携帯やデジカメで写した写真を再生させた。


当たり前なのだけれど、私の隣で俊太郎さんが微笑んでくれている。


今までは袴姿しか見たことが無くて、でもその袴姿がとっても似合っていて…私は、その姿が大好きだった。


……あの俊太郎さまが私の隣にいる。


一人ニヤニヤしていると、すれ違う人の不思議そうな瞳と目が合う。


(あっ……いけないっ。思わずニヤケてた…)


急いでそれらをバッグにしまい、自分の順番を迎えるとすぐにトイレを後にした。


「すみません!かなり混んでて…」

「こっちも同じやった」

「そうでしたか、良かった」


お互いにふっと微笑み合い、名残惜し気に館内を出て駐車場へと向かった。



車に乗り込んで助手席のシートベルトを締めて間もなく、急に睡魔に襲われた私は、口許に手を置いて小さな欠伸を堪えた。


「…眠そうやね」

「じつは…昨夜はなかなか眠れなくて」


私の言葉にふっと微笑むと、俊太郎さんは、「寝て行ってもええよ」と、言いながらナビをチェックし始める。


「ね、寝るだなんてそんな勿体無いこと…」

「寝たら寝たで、かいらしい寝顔が見られるさかい」


(……っ………)


一言一言に胸をドキドキさせると同時に、柔和な笑顔と声がどうしようもなく私の心を揺さぶる。


「絶対に寝ませんから…」

「はは、そういうところも変われへんね」



なんて言っていた私だったのだけれど…


都心に近付いたあたりから、時々意識を失いつつあった。


(…絶対に寝ないんだから、絶対に…)


「……………」


車内に流れる歌も、街の雑踏も、徐々に聴こえなくなっていく。


「……なんて無防備な寝顔やろう」


結局、私は品川駅にたどり着くまでの間、深い眠りに誘われてしまったのだった。



「……んっ…」


気がついた時にはもう、品川駅の駐車場の中にいた。


「えっ!?ここは…私、寝ちゃったんですね…」

「予想以上のかいらしさどした」

「……っ……」


泣きそうな私の後ろ髪に俊太郎さんの大きな手が優しく添えられ、そのしなやかな指が、そっと髪を梳きながらうなじの辺りまで滑り落ちた。


「…俊太郎…さん」


不意に、俊太郎さんの端整な顔が、ゆっくりと私に近づくと同時にそっと肩を抱き寄せられる。


「もうじき秋斉がここへ来る…」

「……あっ…もうそんな時間ですよね」

「その前に…」


そう言って、後部座席に手を伸ばした俊太郎さんは、レッグポーチから小さな紙袋を取り出すと私の膝にちょこんと置いた。


「これは…」

「今日の思い出に…」

「えっ?」


紙袋の中を覗くと、一つだけ綺麗にラッピングされた何かが入っていた。


(もしかして…)


優しい眼差しに促され、そのラッピングを解いていくと中から小さな箱が顔を出した。次いで、その小さな箱を開けると、さっきのペンダントが駐車場の灯りに照らされその輝きを放つ。



*艶が~る幕末志士伝* ~もう一つの艶物語~



「…いつの間に買ったんですか?」

「さっきな…」


トイレに行く振りをして真っ先にあのお店へ急ぎ、欲しそうな目で見ていた私が気になったらしく、プレゼントする為に用意しておいてくれたらしい…。


こんなサプライズがあるなんて思っていなかった私は、嬉しさと戸惑いに心を震わせた。


「いいんですか…貰っても…」

「勿論や」

「ありがとうございます…」


大切にします…そう言って、ペンダントを身につけようとしたその時、こちらに向き直る俊太郎さんの長い腕がすっと伸びてきて……私の手からチェーンを奪うと素早く胸元で繋げてくれる。


「…似合いますか?」

「ああ、よう似おうてはる」


見つめ合う瞳がまたゆっくりと近づき、彼の端整な唇が私の唇に重なった。


……刹那。


ハンドル脇にある携帯のバイブレーションが、鈍い音を立てながら微かに揺れる。


「…………」


すぐに離された唇から切なげな溜息が漏れると同時に、俊太郎さんは携帯を見やった。


「もう、品川へ着いたらしい…」

「…そうですか…」


手の平に薄らと汗をかきながら、胸の鼓動が動悸へと変わっていくのが分かる。


メールを書き認める俊太郎さんの手元を見つめながら、心の中で離れたくないと何度も繰り返していた。



それから、間もなくして秋斉さんを迎え入れた。


昨日とはまた違った雰囲気の装いで……


カーキ色のブロードカフス(七分袖)シャツを素肌に纏い、少し加工されたカジュアルなブルーデニムに黒のブーツ姿が、これまたとても似合っている。


「やはり門限は破れんかったか…」

「当たり前や」


車を降りる俊太郎さんと入れ替わるようにして秋斉さんが乗り込んだ。私も、同じようにして俊太郎さんの傍まで行くと、俊太郎さんは運転席の窓に手を置きながら口を開いた。


「秋斉、あとは頼んだ」

「分かってる。ちゃんと、送り届けるさかい」

「すみません…何から何まで…」


そう言って、軽くお辞儀すると秋斉さんは、「帰り、迷わんように」と、言って微笑む。


そんな秋斉さんに小さく手を振って俊太郎さんの隣に寄り添うと、私達は駐車場を後にした。



乗車券と入場券を買って改札を潜りホームへたどり着いた私達は、俊太郎さんの乗る新幹線がやってくるまでの間、ベンチに座りながら今日一日を振り返っていた。


「昨日も、今日も…一緒にいられてとても楽しかったです」

「同じく…」

「あ、そうだっ」


バッグからカメラを取り出し、初めから再生させて一緒に画像を見始める。


「これ、良く撮れてますね!」

「ほんまや」


もうすぐ別れの時間がやってくると意識しつつも、自然と笑い声に包まれた。


……あと5分。


「これ、帰ったら編集してメールしますね」

「ああ、楽しみにしとる」


ホームに、丁寧なアナウンスが流れ始める。


なるべく考えないようにして、でも、手は俊太郎さんの腕に触れたまま。


「…………」

「…………」


まだまだ話したいことは沢山あるのに、何を話したら良いのか分からず…ただ、無言で俊太郎さんの温もりを感じていた。


(…ドキドキが…止まらない…)


……そんな時だった。


出発時間まであと、3分。


またさっきのアナウンスが流れ、それから間もなくして新幹線がゆっくりとホームに入って来る。


「また会いに来る…」

「……はい」


立ち上がる俊太郎さんの隣に寄り添うと、今度は優しく指を絡めとられた。


「私も今度、会いに行きます…」

「ああ、ゴールデンウィークを使ってくればええ」

「そうですね…そうします…」


本当は、この手を離したくない。


そんな想いを必死に抑え込みながら、ぎこちない微笑みを浮かべる…。


「…○○」


不意に絡まったままの手を引き寄せられ、俊太郎さまの腕の中で優しい温もりに包まれ始める。


「……何回迎えても慣れへん」

「えっ…」

「あんさんを手離すことは…」

「……っ…」


俊太郎さんの胸元に顔を埋めたままただ、その場に立ち尽くした。


出発の時間を告げる音楽が流れる中……


俊太郎さんはそっと体を離すと、新幹線に乗り込んだ。


一人ホームに残された私は、威圧的な音と共に閉まるドア越しに立つ俊太郎さんを見つめる。


『帰ったらメール下さいね』

『ああ、必ず』


無音の会話を最後に、ゆっくりと動き出す新幹線を見送ると名残惜しげにその場を後にしたのだった。



それから、秋斉さんの待つ駐車場へと急ぐ。


少し迷いながらも無事に辿り着くと、すぐに乗るよう促され助手席に乗り込んだ。


「すみません、少し余韻に浸り過ぎてしまいました…」

「9時までに間に合えばええが…」


シートベルトを締めながら言う私を横目に、秋斉さんがエンジンをかけたその時。


私達の目の前を通り過ぎる、一組のカップルらしき男女に目を奪われた。


「あれっ?」

「…あれは」


ほぼ同時に発せられた言葉に一瞬、顔を見合わせたが、すぐに視線を二人に戻す。


「あの人…」

「…………」


二人は、にこにこ笑いながら右隣に止まっていた車に乗り込んだ。


助手席の女性に隠されてチラッとしか見えないけれど、視線の先に映り込んだ男性は……


髪の色こそ違うものの…艶(あで)やかな長い髪と、端整な顔つきがあの人を思い出させた。


(……慶喜さん)


「…………」


秋斉さんは、無言のまま隣の車を意識し続けている…。


「もしかして、秋斉さん…」

「ああ、俊太郎はんのことも、あんさんのことも…全てでは無いが思い出した」

「慶喜さんのことも?」

「………ああ」


躊躇いながら言う私に、秋斉さんは伏し目がちに呟いた。


そしてまた隣の二人を意識して見ていると、不意に助手席にいる女性の視線を受けて急いで目を逸らす。


「まずいです…」

「せやな…」


お互いに視線を違うところへ置きつつも、もう一度そちらへ目を向けると、今度は男性とも目が合い私は思わず身を屈(かが)めた。


「見過ぎやろ…」

「だって、気になっちゃって…」


痛すぎる展開にどぎまぎしていると、隣の車もエンジンを吹かし始める。


(何なんだろう?このドキドキ感は…)


やがて、その男性の車がゆっくりと動き出すのを見届けると、秋斉さんはその車を追いかけるように車を走らせた。


(さっきの人…慶喜さんにそっくりだった…)


今回は、私だけではなくて秋斉さんも同じように感じていたみたいだ。


ただのそっくりさんかもしれない。


でも、俊太郎さんや秋斉さんのように、他にもこの現代に生まれ変わっている人がいたとしても不思議じゃない。


さっきの男性が、もしも慶喜さんの生まれ変わりだったとしたら…。


前をゆっくりと走る車を見つめながら、そんなことを考えていた。




【第12話へ続く】





~あとがき~


お粗末様どした汗


またまた遠距離恋愛に戻ってしまった二人…。ずっと一緒にいたい……そんな想いが書いている私も込み上げてきました涙


ちなみに、今回の秋斉さんの私服姿は…


*艶が~る幕末志士伝* ~もう一つの艶物語~



↑こげな感じにしてみましたきらハート


それぞれの好みがあるかと思われますがっ涙素肌に1枚!っていうのと、首元がラフでありながらシワ加減がとても色っぽく見えたので、今回はこげな感じにしてみましたきらハート


そして、いよいよ慶喜さん登場?!


今後の展開も、良かったら見守ってやって下さいませはぁと


今日も、遊びに来て下さってありがとうございましたハート