<艶が~る、妄想小説>
私なりの俊太郎様、花エンドの続きも7話目どす
※俊太郎様、花エンドを迎えていらっしゃらない方や、俊太郎様を攻略していらっしゃらない方にはネタバレになりますので、ご注意下さい。
【第6話のあらすじ】
遠距離恋愛中の二人…。土日をかけて会いにきた俊太郎さんとの再会。そして、藍屋秋斉という俊太郎さんの幼馴染との出会いがありました。それから、三人は秋斉さんの家に行く前に川崎大師へ行くことに…。
現代版ですし、私の勝手な妄想ではありますが…少しでも、俊太郎様を感じて貰えたら嬉しいです…。
そして、今回は…。
「俊太郎様と秋斉さんの私服姿が見たい!」とのお声をいただいたので、またまた、Kana(旧@けろりーな)はん
に、二人の私服姿(6話で書いた通りの服装)を描いていただく事ができました
もう、さすがどす!私の想像をはるかに超えました素敵な彼らだけでも観て行って下さいぃぃ
彼女のブログでは、素敵な旦那はん達に会えます
イラスト:kanaはん
作:小春
【古高俊太郎~花エンド後~】第7話
差し出された腕にそっと寄り添い、緩く瞬きをしながら横目でチラリと彼の喉元を見つめる。
(本当に、彼の隣りにいるんだなぁ…)
そんなふうに思っていた時、私達のほうに一台の黒い車が近づいて来るのが見えた。
「荷物があるけど、気にせんといて」
運転席の窓がすーっと開かれると同時に、後部座席へ座るように促されると、私達はゆっくりと乗り込んだ。
「黒のランクルか…さすがにええ趣味してはる」
「そうやろ?荷物も結構乗せなあかんから、これくらい無いとな…」
秋斉さんは、俊太郎さんの言葉に答えると、こちらを振り返り優しく微笑んだ。
(なんか、私の持つ秋斉さんのイメージとはちょっと違うけれど、この秋斉さんにはピッタリだな…)
「ほな、まずは川崎大師やな」
そう言うと、秋斉さんはまた車を動かし始める。
この時代に生まれ育った彼には当たり前の行動なのかもしれないけれど、俊太郎さんが携帯を使いこなしていた時に違和感を感じた以上に、秋斉さんが普通に車を運転していることが不思議に思えた。
「私、川崎大師へ行った事が無いから楽しみです」
「そうか、俺もこっちへ来るまでは行ったことが無かったんやけど、ええところや」
秋斉さんは、前方を見つつこちらに意識を送りながら和やかな声で話してくれた。
その時、ふいに左手に温もりを感じて隣りにいる俊太郎さんを見上げると、優しく微笑む瞳と目が合う。彼の大きな手に包み込まれ、私もそっと指を絡めた。
そして、彼は指を絡めたまま視線を窓の外に向ける。
指から伝わる熱を何度も確認し直しながら、私も窓の外を流れる景色に目を向けた。
都会並みの高層ビルやマンションが建っているものの、少しのんびりとした雰囲気がとっても素敵だ。
「川崎って、なんか良いですね」
「せやろ?俺も、最初こっちへ来た時、同じように思いましたわ」
「いつからこっちに?」
俊太郎さんの問いかけに、秋斉さんは、「この間も少し話したが、一ヶ月くらい前からや」と、答えると、これまでの経緯を簡潔に話してくれた。
以前から、東京に住む友人にも相談していた結果、その友人から今の場所を紹介してもらい、新しくお店を出すことになったのだそうだ。まだ、準備段階ではあるけれど、この辺にお香の専門店は無いようなので、これから少しずつ準備をし始めると共に、俊太郎さんのアドバイスも聞きたいとのことだった。
それから、二人は目的地に到着するまでの間、懐かしい…と、呟きながら思い出話をし始めた。
近所の誼みで、子供の頃はよく一緒に遊んだらしく、秋斉さんは、俊太郎さんより7つ年下だけど、昔からその年齢差を感じさせないほどしっかりしていたらしい。
「一人っ子で親の躾が厳しかったさかい、ガキらしくない言うて、近所でもそない評判やった」
赤信号で車をいったん止めると、秋斉さんがまたこちらを振り返った。
「秋斉は、子供の頃から何事にも冷静やったしな…」
「きっと、俊太郎はんとかと常に一緒やったからやろね」
「お二人とも、本当に相性が良いんですね」
秋斉さんは、私の言葉にクスッと微笑むと、「好きな人の好みも同じやったな」と、俊太郎さんに問いかけた。
「そうやったな」
「それに俊太郎はんは、子供の頃からようモテはったよ」
「そ、そうでしょうね…」
私が少し苦笑気味にそう言うと、俊太郎さんは私を見つめながら苦笑交じりに言い返す。
「お前には敵んけどな」
「よう言うわ。まぁ、これだけの色男…なかなかおまへん」
そう言うと、秋斉さんはまた青信号と共に車を走らせた。
(そうだよね…二人ともすっごく格好いいから…子供の頃の彼らもモテたんだろうなと、思うけど…)
「秋斉さんは、彼女とかいるんですか?」
「……いや、今はそない暇おまへんさかい」
なぜか、一瞬。
あの頃の記憶がフラッシュバックのように脳裏に甦る。
【わてにはそない暇おまへん。全ては、生き抜く為に…】
あの頃の秋斉さんは、時々、姿を見せなかったり、慶喜さんと話をしたりして忙しい日々を過ごしていた。
全ては生き抜く為に…と、呟いたあの一言がとても気になっていたから、もしも、俊太郎さん同様、この人が秋斉さんの生まれ変わりだとしたら、いつか、あの時のことを聞くことが出来るかもしれない。
彼が、何の為に必死になって生きようとしていたのか…今でも謎のままだから。
「着いたで。あれがそうどす」
秋斉さんが呟くと同時に、川崎大師がその雄大な姿を現し始める。
車内から見えるだけでも、かなりの広さが窺えた。
「うわぁ~すごい……」
「すごいのは参拝客や」
秋斉さんは少し呆れ気味に言うと、近くの専用パーキング入り口に横付けし始めた。パーキングに入るにも数台の列を成している。
週末だから、というのもあるのだろうけれど、こんなにも賑わっているとは思っていなかった私は、改めて窓の外に見える門構えを見つめていた。
「あそこに見える大きい門は、大山門どす。で、その左側に見えるのが不動門や。今は花祭りの最中らしい…」
「花祭り?」
ここ、川崎大師では毎年、4月8日にお釈迦様のお誕生日を奉祝する為の「花祭り」という行事が、4月1日~8日まで行われるらしい。
右手で天を、左手で地をさしている誕生仏を、様々な花で飾った花御堂に安置し、甘茶を灌ぎかけるところから「灌仏会」といい、また期間中には、参詣者に甘茶が接待されるのだそうだ。
それから、数十分後。
やっと駐車場に車を入れることが出来た私達は、大山門から境内の中へと足を踏み入れた。
「うわぁ~。広ぉぉい!」
「ここには、聖徳太子堂っていうのもあります」
「あの、聖徳太子ですか?」
秋斉さんが見つめる先を目で追うと、そこには小さいけれど立派なお堂が佇んでいた。
大山門右手すぐの聖徳太子堂には、聖徳太子の像が奉られていて、毎年2月22日に聖徳太子年祭が執り行われ、年祭終了後には、太子堂の前にて若鳶の面々によって見事なはしご乗りが披露されるのだそうだ。
そして、大山門前には「経蔵」というお堂があり、平成16年大開帳奉修記念事業として落慶されたのだそうだ。ここ、経蔵には中国最後の木版大蔵経「乾隆版大蔵経」7240巻が収蔵されていて、御本尊・説法釈迦如来の前に置かれた五鈷杵には、金箔の奉納をする事ができ、この奉納によって仏様との強いご縁を結ぶことが出来るらしい。
「まずは、あそこで身を清めんとな」
秋斉さんの歩き出す方へついていくと、そこには立派な瓦屋根の「お水屋」があり、そこで、身を清めた後、真っ先に見上げたのは、「八角五重塔」だった。
「この八角五重塔は、見事やな…」
「そうですね…」
俊太郎さんが、塔を見上げながら呟いた。
この「八角五重塔」だけは、テレビで観た時に印象に残っていて、いつだったか、お母さんと一緒にテレビを観ていた時に目にしたことがあったが、本物はとても大きくて立派に見えた。
この他にも、10箇所以上の見所が満載で、何度か訪れたことのある秋斉さんに先導されながらゆっくりと足を進め始める。
(しかし……さっきから感じるこの視線はやっぱり…)
改めて回りを見回すと、こちらに向けられる何人かの視線と目が合う。
(…やっぱり、みんなこの二人を見ているんだろうな…こんな格好良い二人が並んで歩いているんだもんね…)
自慢したくなるような気持ちを抑え込みながら、それでも、俊太郎さんを見つめる人達の目線を追う度に、やっぱり…自慢したくなる……
私の彼氏なんだと。
「……どないしたんや?」
「えっ?」
余所見していたからか……いつの間にか、二人からほんの少し距離を置いてしまっていた私は、振り返り立ち止まったままの彼らを見つめる。
「あ、ごめんなさい…」
「ぼーっとしとったら、迷子になってしまうさかい…気いつけや」
私は、少し離れた二人の元へ急ぐと、秋斉さんが苦笑しながら呟いた。
「この手を離さんように…」
俊太郎さんは、そっと右手を差し出すとまたいつもの柔和な微笑みを浮かべる。私は、その手を握り締めながら彼の隣りに寄り添った。
それから、私達はまず大本堂の前でお参りを済ませ、俊太郎さんが、第11代将軍・徳川家斉がここに参拝してから、厄除けとして有名になったと言う説を語り出した時だった…。
「徳川家斉?」
そう、私が問いかけた瞬間、俊太郎さんの隣りにいた秋斉さんの顔色がほんの少し変わった気がした。
「相変わらず、俊太郎はんは歴史に強いな。そないなことまで知ってはるとは…」
「秋斉さん?」
どこか不安げな顔が心配になり、彼の顔を見上げながらそう言うと、秋斉さんは何かを考えるかのように一点を見つめてぽつりと呟いた。
「徳川……」
「確か…最後の将軍は、徳川慶喜どしたな」
「最後の……将軍…」
この時の俊太郎さんは、幕末時代の記憶を遡って彼に問いかけているようだった。そして、なぜか徳川慶喜という名前を聞いた途端、秋斉さんの表情が少しずつ変わっていく…。
「そやったな。最後の将軍は、徳川慶喜どした…なんや知らんけど、その名前が急に気になって。それに……」
「……?」
「いや…何でもない」
そう言いながら、秋斉さんはすぐに目を逸らしまた何かを考えるように眉を顰めた。
慶喜さんの名前を聞いてから、少しずつ同様し始めた彼は、やはりあの時代で共に生きた秋斉さんなのではないか…。
何かを思い出し、私や俊太郎様との記憶も少しずつ取り戻し始めたのではないか…。
もしかしてと、思っていたことが確信へと変わった瞬間だった。
~あとがき~
今回は、彼らと川崎大師でデート
ってな感じで書いてみました
お粗末さまどした
そして、今回お忙しいところ、kanaはんに素敵な二人を描いて貰えてすっごく嬉しかったどす
コーディネイトは、前回のお話の設定のまま描いていただきましたが、どないだったでしょうか??
あげな感じで、彼らが迎えてくれたとです
そして、kanaはん、素敵な彼らをほんまにおおきに
あと、「秋斉さんの車は、黒のランクルなんてどう?」という、声をいただき、そのようにしてみました
今後は少しずつ幕末時代の記憶を取り戻して行く秋斉さん
これから、どうなるのか…。
これからも、皆はんの意見を取り入れつつ
マッタリ更新ではありますが…また良かったら、遊びにきてやってください
*川崎大師HP
はこちらです*
川崎大師へまた行きたくなっちゃった