<艶が~る、妄想小説>


私なりの俊太郎様、花エンドの続きも5話目どす汗

その後は……。


※俊太郎様、花エンドを迎えていらっしゃらない方や、俊太郎様を攻略していらっしゃらない方にはネタバレになりますので、ご注意下さい。


少しでも、俊太郎様を感じて貰えたら嬉しいです…。今回も、相変わらずの駄文ではありますが、良かったら読んでやって下さいませウフフ


第1話 第2話 第3話 第4話


(↑続きものにつき、良かったらこちらからお読み下さいませ)



【古高俊太郎~花end後~】第5話

「……やっぱり、夢じゃないんだよね」


枕元に置いてあった携帯の着信履歴を確認して、思わず顔を綻ばせた。


再び、京都へ足を運び、俊太郎様の生まれ変わりである、俊太郎さんと出会い、あの頃の記憶を取り戻した彼と八坂神社へ行ったこと…。


彼がこの現代に生を受け、生き続けていたこと。起き立ての頭をフル回転させながら、昨日までの出来事を整理し直した。これからは、いつも彼を傍に感じられるし、思った事を伝え合えるし、会いたくなったら会いに行ける。誰にも邪魔されず、想いを伝え合えるんだ。


『その時こそは、わての嫁はんになって貰えますか?』


彼に迎え入れて貰える日まで、私なりに頑張って行かなければいけないことが沢山ある。彼の家は、古くから営んでいる呉服屋さんだし、多種多様な趣味を持つ彼に相応しい女性になりたいから…。


きっと、彼のことだから、「無理はしないように」と、言いそうだけれど。


いつだったか、お座敷に足を運んでくれた時。夫が妻を養い、妻は子供を愛し、苦手分野はお互いに助け合っていけばいい…と、言ってくれたから。


でも、彼をいつも傍に感じながら、あの頃同様、精一杯生きて行きたい…そう、思っている。


(あ、もう起きなきゃ…)


今日は、バスケの試合の応援に行く日。


一足先に朝食を済ませたお父さんを見送り、片付けをしていたお母さんと一緒に朝食を済ませ、私は身支度を整え家を後にした。


学校までの道のり、立派な桜並木が顔を出し始める。


ここは、毎年綺麗に咲くとして近所では有名で、すぐ傍には綺麗な川も流れていて、その可憐な花びらを際立たせているように見えた。


「今年も綺麗だなぁ…」


そう呟きながら見上げた瞬間、私の肩に花びらがついたままの桜がヒラヒラと落ちてきた。その可憐な花びらに魅せられ、思わず彼の優しげな顔を思い出す…。


(…そうだっ……)


地面を彩っている桜の花びらを手に取り、携帯カメラで写し、その花びらをそっと地面に置くと彼にメールを書き認めた。


*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*


おはようございます!


今日は、翔太くんが出るバスケの試合があって、今、学校へ向かっている最中なんですけど、途中、綺麗な桜並木に通りかかり、あまりにも可愛くて綺麗だったので…写真、送ります。


出来れば、俊太郎さんと一緒に見たかった…。


そちらは、いかがお過ごしですか?


今日もお仕事かな?

また、何かあったらメールしますね!



○○



*艶が~る妄想小説* ~もう一つの艶物語~



*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*


送信し終わると、時間の許す限り桜を見上げながらまたゆっくりと歩き出し、そして、桜並木を通り過ぎた時、偶然、同じクラスの友達と合流した。


「おはよう!○○」
「おはよう、今日もすっきり晴れて良かったよね」


彼女は、杉田祥子。翔太くん同様、幼稚園の頃からの幼馴染である。サバサバとした性格で、小さいことにはくよくよしないタイプ。翔太くんみたいに、私をいつも励ましてくれたり、時には慰めてくれる大切な親友でもある。


「昨日は、翔太と京都へ行ってきたんでしょ?坂本龍馬と、えーと…あんたがお墓参りに行った人って、何て言うんだっけ?」


彼女は、歩きながら口元に手を置いて考え込んだ。


「……古高俊太郎だよ」

「ああ!そうそう、その人だ。でも、何で二人でその人達のお墓参りに行ったの?」


彼女の問いかけに、私は少し躊躇いながらも修学旅行をきっかけに歴史を学んでから、彼らのことを勉強するようになって、魅了されたことを簡潔に説明した。


「ふーん。翔太なら分かるけど、歴史とか苦手だったあんたがねぇ…」

「うん、苦手だったし…あまり好きじゃなかったから全然分からなかったんだけど、その…彼らの生き様をすぐ身近で感じて……考えさせられたんだ」
「身近で?」
「あ、いや…その…そんな感じがするくらい好きになったってこと…」
「そっかぁ。ま、歴史を勉強することはすごく良いことだもんね。あたしは、苦手だけど…」


私は、苦笑気味に言う彼女の横顔を見つめながら、心の中で思った。きっと、彼女も同じ境遇に立たされたら、彼らに魅了されていただろうと…。


そんな時。

携帯が一通のメールを受信した。


それは、俊太郎さんからの返信メールだった。


「あっ……」
「どうしたの?」
「え?いや、何でもないよ。メールが来ただけ…」


怪しがる彼女を横目に、そっとページを開くと彼からのメッセージをかみ締めるように読み始める…。


*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*


おはようさんどす。


昨夜は、やはり…。
○○はんの温もりを思い出し、なかなか眠れまへんどした。


わては今、店へ向かう前にあんさんと行った、八坂神社へ来とります。ここへ来れば、またあんさんを感じられるような気がしてな…。


また改めてお礼を言い、一日も早う、あんさんを迎え入れられるように…お願いもして来ました。


それと、桜の写真をおおきに。


あんさんのような可憐な花びらどすな。


ほな、わてからは、さっき見つけた子猫を送ります。


まるで、あんさんのようにかいらしい声で鳴いてはりました…。



俊太郎



*艶が~る妄想小説* ~もう一つの艶物語~



*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*


「何をそんなに、ニヤニヤしてるんだぁ?」


思わず顔が綻んでしまっていたのか、彼女から顔を覗き込まれ改めて赤面した。


「ううん、何でもないよ」
「本当に?もしや、あたしに内緒で彼氏とかいたりして?!」
「そ、そんなんじゃ……ないよ」


いずれ、彼女にもじっくりと話す時が来るかもしれないけれど、今は何て言っていいのか分からなくて言葉を濁していると、彼女は、そんな私を横目に腕時計を見ながら言った。


「あっ、なんだかんだ話してたらもうこんな時間だよ。少し、急ごう」
「うんっ」


それから、数分後。

学校に辿り着いた私達は、体育館へ急ぐと、そこにはユニフォーム姿の翔太くんが試合前の最後の練習に汗を流している姿が見えた。


「翔太ぁ~!応援に来たぞぉ~」


彼女が、出入り口から声をかけると、翔太くんは手を振りながらこちらに近づいてきた。


「今日はありがとうな」
「あたしらが応援に来たんだから、今日も負けんなよ!」
「ああ、任せておけ」


そう言うと、彼はまたコートに戻りドリブルからシュートを繰り返した。汗を散らしながらゴールする姿はとても格好良くて、彼のことを応援にきた女の子達もみんな彼に見惚れている。


「しっかし、翔太は相変わらずモテるね…今回も、翔太目当ての子ばかりだ」
「そ、そうだね…」


彼らの発する声が響き渡る中、周りからは女の子達の話し声が聴こえてくる。それは、どれもが翔太くんの事ばかりで、「彼女とかいるのかな?」とか、「誕生日はいつなのかな?」とか、「やっぱ、かっこいいな~」と言う声を耳にする度に、私達は顔を見合わせながら苦笑するのだった。


やがて、コーチの笛の音が響きわたると、二校が集い試合前のミーティングに入った。私達は、ドキドキしながらも体育館の二階へ移動すると、彼らを見守りながら腕時計を見た。


(あと、3分……)


予定の時刻までもう少し。


「おっ、始まるぞぉぉ」
「うん……」


彼らがコートの中で定位置に着くと、審判の笛の音と共に試合が始まった。


さっきよりも大声で掛け合う彼らの声と、応援の声とが混ざり合い、体育館はものすごい熱気に包まれた。そして、翔太くんが敵からボールを奪うと、あっという間にバスケットに走りこみランニングシュートを決めた。


「うわっ、やっぱ翔太は凄い!」


隣りにいる祥子も、大興奮しながら私の腕にしがみついた。私達は、二階の手すりから身を乗り出すかのように、精一杯大声を出して彼らを応援し、点を入れては喜び、点を入れられては落胆してを繰り返していた。


10分ごとに置かれる3回のインターバルを経て、いよいよ残りの10分を向かえ、やがて終了の時間が迫ってきた。


「……あと5分」
彼女がポツリと呟いた。


点差は2点。


ライバル校の選手達も強敵ばかりで、うちがほんの少しリードしているけれど、ゲームはどうなるか分からない…。


そんな時、うちの選手がパーソナル・ファウルを取られみんなが落胆する中、相手チームのフリースローが見事に入り、同点に追いつかれてしまったのだった。


「……あと、2分だよ」


彼女がまた腕時計を見ながら呟くと、次の瞬間、味方からパスを受け取った翔太くんが素早いドリブルでゴール付近まで近づいた時、相手選手からプッシングされ、逆にパーソナル・ファウルを取り、ゴールを狙えることになった。


「……これが最後のチャンスだね」
「うん。これが入れば……」


声援が送られる中、私達は自分の手を組み合わせ胸元で必死に祈った。


そして、シーンと静まり返った中、ゴール前の定位置についた翔太くんは、感覚を掴むかのようにボールを床につきながら、何度もふぅ~っと息を漏らし、真剣な眼差しでゴールを見つめた。


そして、彼は笛の音と共にふわっとボールを投げると、ボールはバックボードに当たりそのままバスケットに吸い込まれた。


その瞬間、体育館が割れんばかりの声援が起こり、それと共に試合終了の笛が鳴り響いた。


「やったあぁぁ!!」


私達も抱き合って喜ぶ中、翔太くん達は相手チームに挨拶をし、それぞれが思い思いに喜びを分かち合っている。その様子を見つめながら、ゆっくりと下へ降り彼らの元へ急ぐと、沢山の女の子達に囲まれたまま翔太くんを見て苦笑した。


「うはぁ…こりゃ、しばらく近づけないね…」


呆れ顔で言う彼女を見ながら私も苦笑すると、翔太くんは私達を見つけ、不思議そうな顔をする彼女達をも気にせず、こちらへ駆け足で近寄ってきた。


「応援、ありがとうな!」
「さすが、翔太~。最後のあのシュート、決めちゃうなんてさ。ねぇ、○○」
「うん、あのシュートは凄すぎだったよ!」


彼女は、照れる翔太くんの顔を除きこむように言うと、私も同じように感歎の声をあげた。


「お前が応援してくれていると思ったら、自然とリラックスできてさ…」
「翔太くん……」
「ちょっと待ちぃ。おまえが…って、どういう意味?あたしも応援してたんですけど…」


少し不貞腐れる彼女に、翔太くんは慌てて言い直す。


「いや、その……間違えた!お前らだよ。お前ら…」
「そんなに慌てて言い直すところが怪しい…。やっぱり、あんたら付き合っているんじゃ…」
「何言ってんだよ…そんなことあるわけ無いだろ」


私は、二人のやり取りに苦笑しつつも、翔太くんの背後にいる彼女達の熱い視線を感じ、いつかまたゆっくりと会って話すように促すと、二人はそれに賛同した。


「じゃ、また今度ね…」
「ああ、今日はありがとうな」


それから、私達は遅めのランチを取る為にフランス料理のお店へと足を運んだ。


午後2時までのランチは、1000円で前菜、スープ、メイン、デザートと食べられる上、ドリンクは飲み放題ということで、何回か訪れていたのだった。お店の雰囲気もとても良く、フランスの一般家庭が暮らすような造りになっていて、飾りもテーブルも、ウエイトレスさんも全てが本格的だ。


そこで、お互いにコースを選ぶと、料理を待ちながらさっきの試合を振り返った。


「しっかし、ハラハラしたよね…さっすが準決勝って感じだった」
「そうだね。翔太くんが決めてくれなかったら…分からなかった」


そう言ってお互いに携帯を取り出してテーブルの上に置くと、彼女は私の携帯を見ながら、またニヤけた顔で言った。


「さっきのメールの相手って、もしかして…翔太?」
「えっ?ち、違うよ…」
「そのうろたえた顔、怪しい…」


じとっとした目で見られ、私は降参するかのように俊太郎さんの事を話した。


「あのね……じつはね…私、好きな人がいてね…その人、京都に住んでるの」
「ええっ!きょ、京都に?!じゃあ、遠距離恋愛…っていうか、あんたいつの間に?」
「ごめんね、内緒にしてて…」


好きな人が出来たら、いつも相談し合っていた仲だけれど、俊太郎さんのことをどう説明すればいいのか分からなかったのでずっと言えずにいたのだ。


「謝らなくてもいいけど、いつどこで知り合ったの?」
「うーん…修学旅行に行った時に出会って…そこで仲良くなって…」


私の好きな人が翔太くんだと思っていた彼女は、俊太郎さんの話しにもの凄く驚いていたが、彼と出会って、短い間でもお互いに惹かれあったことを話すと、穏やかな表情で聞いてくれた。


「そっかぁ。そんな素敵な人がいたとはねぇ」
「……もう、その人無しでは生きていけないほど好きなんだ」
「うはぁ…これまたものスゴイのろけ…ご馳走様っ」


やがて、料理が運ばれそれに手をつけながらも、今度は彼女の彼氏の話しに耳を傾けた。その彼氏は5つ年上の大学生で、福祉の勉強を兼ねている為、今は彼女達も遠距離恋愛中らしい。


「お互いに年上で、遠距離恋愛とはね…。でもさ、遠距離恋愛ってのも悪くないよ」
「そう…かな?」
「離れている時間が愛を育てるっていうかさ…」


そう言いながら、携帯を見つめる彼女の瞳は少し大人びて見えた。


「俊太郎さんって言ったっけ?今度、会わせてよね」
「うん、会ったら吃驚しちゃうよ。マジで格好いいから…」
「おいおい、もうのろけはいらんっ…」


お互いに顔を見合わせて微笑み合うと、今後の学校生活のことや、お互いの彼氏との将来のことなどを話しながら楽しい時間を過ごした。


それから、彼女と別れて家までの距離を歩きながら、また俊太郎さんにメールを認め始める…。今日の試合の結果と、親友に俊太郎さんのことを聞かれ、思わず話してしまったことなどを書き留めて送信すると、すぐに彼から返信メールが届いた。


その内容は、翔太くんが活躍できて良かったということと、私の親友に対してのこと、そして、来週の土日を利用してこちらへやってくるという事が書かれていた。


(……俊太郎さんに会える…)


思わず電話をかけると、彼はすぐに声を聞かせてくれた。


【もしもし…】
「あの、嬉しくて…電話しちゃいました…今、大丈夫ですか?」
【ああ、大丈夫や】
「来週、東京へ出てくるんですか?」
【友人に呼ばれてな……そちらが優先になってまうけれど、あんさんは……】
「会いたいです…」


迷わずにそう言うと、彼はくすっと笑いながら、【やっと会えるな…】と、言った。


「楽しみにしてますね…」
【ああ、それまでは、またこうして声を聞かせておくれやす…】
「そんなこと言ったら、毎朝毎晩、掛けちゃいますよ」
【そうしてくれてもええ…】


ふと、彼の柔和な顔が浮かんで来て、私はまた顔を綻ばせた。


お互いにやるべきことはあるけれど、こうして短い間だけでも声を聞くことが出来る。現代では当たり前のことが、とても幸せに感じられるのだった。


「もうすぐ家に着くので、また夜寝る前に電話しますね…いいですか?」
【ああ、待っています…】


じゃあ、また…と、言い合い、私達は電話を切った。


来週の土曜日に、彼に会えることが嬉しくて…。


また、お母さんに変な顔をされるだろうな…なんて思いながらも、笑みを堪えきれずにいた。



【第6話へ続く】



~あとがき~


以前、遠距離恋愛の体験をこっそりと教えて下った方のことも思い出し、彼女達の女子トークがとても書きやすかったです♪もう、そろそろ…って、まだ昨日の今日…状態なんですけど、二人を会わせたい!と、思い、次回からは俊太郎さんに東京へ出てきて貰うことにしちゃいました☆


今後、翔太くんや祥子ちゃんもどのように関わるのか…ここでしっかりと描きたかったので、今回もまた俊太郎さんの出番は声のみでしたが(⊃∀`* )


メールや電話のやりとりも、なんかいいなぁ…なんて、自画自賛してしまいました(笑)


今回も、読んで下さってありがとうございました!