<艶が~る、妄想小説>


私なりの沖田さん花エンド後も、3話目になりました(^ω^)


※沖田さんを攻略されていない方や、花エンドを攻略されていない方には、ネタバレになりますので、ご注意ください!


現代版ですし、私の勝手な妄想ではありますが…よかったらまた読んでやってくださいきらハート


第1話  第2話  




【沖田総司~花end後~第3話】



……翌朝。


誰よりも早く目覚めてしまった私は、布団の中で微睡みながら昨日の出来事を思い出していた。


(昨日出会った彼は、本当にあの沖田さんなんだよね…)


まだ夢を見ているような気がする。


少しずつ思い出す幕末時代での事を整理してみるけれど、それ自体が夢だったんじゃないか……


翔太くんと一緒に、幕末時代へタイムスリップする夢を見ていたんじゃないか?と。


(でも……)


そっと布団から出て、クローゼットに掛けてある制服のポケットに手を忍ばせると、沖田さんが作ってくれた蝶が、微かにくぐもった音をさせる。


(やっぱり、私…あの時代で生きていたんだ…)


今、息をしているここが、現実なんだよね?


だとすると、昨日までの出来事はすべて夢じゃないってこと。


(…沖田さん…)


昨日は、少ししか話せなかったけど、確か…清水寺あたりで落ち合えたらいいと、言っていた。


(今日は、最終日だから…会えるといいなぁ…)


ポケットから取り出した蝶を見つめながら、この後のことを想像し、一人顔を綻ばせた。



……朝食後。


少しだけ部屋でマッタリとした時間を過ごした後、幕末時代にも持って行ってしまった、お気に入りのバッグに必要最低限の物だけを入れて、集合場所へと急いだ。


今日の見学場所は、八坂神社や河井寛次郎という人の博物館へ。そして、お昼を食べた後、清水寺へ行くことになっている。


「神社とか、あまり興味無いんだよね…」


裕香が溜息をつきながら言うその横で、こちらを見つめる真っ直ぐな視線と目が合う。


「…どうかした?翔太くん…」
「え、あ…いや…ちょっとな」


翔太くんは、言い淀みながらも私を見つめたまま顔を顰めた。


もしかして、翔太くんも私や沖田さんみたいに、あの頃の記憶を思い出そうとしているのかもしれない…。


「あのさ…」
「…なに?」
「ちょっと、話があるんだけど…後でいいかな?」
「うん…」


翔太くんも、あの頃の記憶を徐々に取戻しつつあるに違いない。


私は、一つ返事をして自由時間に二人で話すことを約束した。



それから、団体行動での見学を終え、一回目の自由時間がやってくると、翔太くんはすぐに私のもとへやってきて、さっきよりも深刻な顔つきで言った。


「ちょっと、いいか?」
「あ、うん」
「あっちのほうで話そう…」


私たちは集団から離れ、人気の少ない場所を見つけると、翔太くんは待ちきれなかったかのように口を開く。


「俺さ…」
「もしかして…翔太くんも、幕末時代の記憶を取り戻し始めたんじゃ?」
「…やっぱりお前も?!」


彼は、私の言葉に大きく目を見開いた。


私は周りを窺いながら、驚いたままの彼に今までのことを簡潔に話し始める。


とあるお店でカメラをいじっていた私たちは、いつの間にか、幕末時代へ飛ばされて、そこで偉人たちに出会い、命を脅かされながらも無事に帰って来られたこと。


そして、昨日。沖田さんの生まれ変わりだという男性に出会えたこと…。


私が、今までに思い出した事全てを話すと、彼は、複雑な顔のまま伏し目がちに呟いた。


「…なんかさ、昨日からずっと不思議だったんだ。あの時代のことは、授業で習っただけの知識しか無いはずなのに、龍馬さん達のことがとてもリアルに甦ってきて…」
「私も、沖田さんに出会うまでは…なぜ、涙を流していたのか…どうしてあんなにも悲しかったのか分からなかった…」
「沖田総司の生まれ変わりと出会ったことによって、あの頃の記憶を思い出し始めたってことか…。どこかで見たはずだな…」


私たちは、その後も時間の許す限り幕末時代でのことを思い出していった。


翔太くんも記憶を取り戻していくことによって、思い出せなかったことが怒涛のように甦ってくる。


「…今でも、正直…複雑な気持ちだ…」
「複雑?」
「ああ…お前が沖田のことを好きだと知った時、どうしてなんだ?って思った…」
「翔太くん…」
「俺にとっては…憎むべき相手だったからさ…」



*艶が~る幕末志士伝* ~もう一つの艶物語~



龍馬さんと行動を共にし始めた彼は、尊王攘夷派としての志を義務付けられたし、幕府や新選組と、真っ向から対立していたから…。


「それに……」
「それに?」
「いや…何でもない…」


彼は、一瞬悲しげな瞳を見せたけれど、次第にいつもの笑顔になると、『もうそろそろ、みんなのところに戻ろう』と、言ったので、私たちはみんなの元へ戻ることにしたのだった。



それから、お昼を済ませると、私たちを乗せたバスは清水寺へと走り出した。


バスの中では、綺麗なバスガイドさんが優しい声で案内をしてくれる中、窓の外を眺めながら、沖田さんのことを思い出していた。


(本当に、清水寺で会えたらいいなぁ…時間が合ってればいいんだけど…)


「あ、あれそうじゃない?」


隣に座っていた裕香が、小さく見える清水寺を指さしながら楽しげに言った。


私は、それを目にした途端、昨日の沖田さんの爽やかな笑顔を思い出し、胸が高鳴り始める。


「昨日の彼と会えたらいいね」
「え?あ…うん…」


裕香の微笑む顔につられて、私も思わず微笑んでいた。



何台もの観光バスが連なる中、バスを降りた私たちはまず境内に入り本殿へと足を運んだ。そして、二度目の自由時間を得ると、私は沖田さんを探し始める。


(…時間が合えば見つけられるけれど、そんな都合良くはいかないかな…)


どこを見回しても、沖田さんの姿は見つけられず…


裕香や翔太くんたちと共に動きながら、それでも彼を探してしまう。


「見当たらないか…」
「うん…」


翔太くんも、沖田さんの姿を探すかのように周りを見回してくれている。


「自由時間も、あと20分くらいかな…」


裕香も、腕時計を見ながら呟いた。


「二人とも、気にかけてくれてありがとう。でも、もう会えないと思う…」


……そう思った時だった。


「あれ、彼じゃない?!」


裕香の声に驚いてそちらを見ると、遠くに沖田さんらしき人を見つけた。


「あ…沖田さん…」
「やっぱりぃぃ?!」


私よりも喜んでいる彼女に苦笑しながら、翔太くんも、「良かったな」と、言って微笑んでくれる。


「行って来いよ」
「そうそう、向こうの時間も限られているんだから!」


二人からそう促され、私はゆっくりとでも、沖田さんを見失わないように近づいて行った。


(…沖田さん…気が付いてくれないかな…)


人混みに消えそうになる彼に、思いきって声をかける。


「沖田…さん!」
「えっ…」


彼は、私に気が付くと真っ先にこちらへ近づき、手を差し伸べてくれた。




沖田side



「○○さん、いつからここに?」
「さっき、こちらに着きました」


ずっと触れたかった彼女の手を握りしめ、その柔らかい指を絡め取る。


「…良かった。また会うことが出来て…」
「私も、沖田さんに会えたらなって思っていました」
「あと、どれくらいここにいられるんですか?」
「…あと、20分くらいです」
「じゃあ、それまでは僕と一緒にいて下さい」
「……はい」


この少しうつむき加減な笑顔が、たまらなく可愛い。


限られた時間を有効に使いたくて、そこからほんの少し離れた場所に彼女を誘った。



*艶が~る幕末志士伝* ~もう一つの艶物語~


「昨夜は、なんだかんだと…あなたのことを思い出して眠れませんでした…」
「私もです…」
「今までの記憶がどんどん甦り…とても会いたくなって」
「沖田さん…」


見つめ合っていた瞳を逸らしては、また見つめ合う。


それを繰り返しながらも、ふとあのことを思い出し、僕はレッグポーチからメモ用紙を取り出した。


「あの、これを…」
「これは?」


僕が差し出したメモ用紙を受け取ると、彼女は嬉しそうにこちらを見上げた。


「連絡先…ですか?」
「はい。良かったら連絡下さい…」
「帰ったら、すぐに!すぐに連絡しますね」


(…良かった…受け取って貰えて…)


それから、時間の許す限り彼女と話し続け、お互いに触れ合うことによってまた、幕末時代での記憶が怒涛のように溢れ出した。


「ただ…思い出したくないことも沢山あって…」
「沖田さん…」
「どうして、あなたの言うことを素直に聞けなかったんだろう…と」
「ふふ…頑固でしたもんね、沖田さん」


(…そう思われていても仕方がないか…)


確かに、土方さんにも近藤さんにも、同じようなことを言われたことがあった。



『総司、お前も頑固だな…』


『えっ…土方さんに言われたくないですよ』


『ははは…歳に言われたらおしめぇだな、総司』



あの頃、私は幸せだった。


近藤さんや、土方さんたちと共に生きられたこと。


新選組として、沖田総司として生きられたことを誇りに思っていた。


そして、一生知る事が無かったであろう本物の情…。


彼女と出会ったことで、死を恐れるようになったけれど…それでも、出会えて良かったと、心から思えた。



もう、二度と彼女を失いたくない。


今度こそ、この手を離したくない。


けれど、こういう時間はあっという間に過ぎていき、気が付けばもう別れなければいけない時間になっていた。


「もう、時間だ…」
「…ですね。私たちは、今日東京に帰るのですが…沖田さんは?」

「僕らは明日までこちらにいます…」

「そうですか…」


僕は、その手を絡めたまま、彼女の友人達がいる場所まで同伴すると、昨日会った彼女の友人達が僕らを迎え入れてくれた。



ヒロインside



「あれ、彼氏まで一緒?」
「うん…」
「こんにちは…」


沖田さんが、翔太くんと裕香に挨拶をすると、裕香は少し躊躇いながら挨拶を返す。


「こんにちは。あ、あの…昨日は、ごめんね…この子がナンパされたのかと思って、失礼なこと言っちゃって…」
「いいえ。ナンパしたみたいなものですから…」
「俺も…」


翔太くんも少し躊躇いながら沖田さんに声をかけた。


「君は…もしかして…○○さんの幼馴染の…」
「…はい。俺もあなたのことを思い出しました」


二人は、幕末時代でのことを思い出しているようだった。


それぞれが、見つめ合うと、何かを考えるかのように視線を逸らし合う。


「ちょっと…二人は知り合いだったの?」
「え…うん…じつはそうなんだ…」
「なんで?昨日は、二人ともそっけなかったのに…」


裕香のいう通り、昨日は翔太くんも沖田さんに気付いていなかった。でも、記憶を取り戻しつつある翔太くんと沖田さんが出会い、目の前で会話をしている…。


(…なんだか、少し空気が重く感じるなぁ…)


その後も、二人は何かを言いたそうにしていたけれど、担任の一声と共に、今度は沖田さんを見送って、私たちはその場を後にしたのだった。



夕方。


17時24分発の新幹線に乗りこんだ私たちは、沖田さんよりも一日早く帰京した。


帰りの新幹線の中で、みんなが寝静まった頃。


沖田さんから貰った投扇興の蝶と、メモ用紙を交互に見つめながら、さっきまで包まれていた彼の優しい温もりを思い出していた。


沖田さんにお別れをしたその日に、彼の生まれ変わりである、沖田くんに出会った…。


もしも、神様がいるのなら、私たちの小さな願いを叶えてくれた…そう、思わずにはいられない。


こんな出会いが現実にあるなんて…。



その優しい筆跡を指でなぞるようにして、また彼の涼やかな声と、爽やかな笑顔を思い出す。


(沖田さん……)


窓を流れる街頭と、夜空にぽっかりと浮かんだ月を見上げながら、頭の中はまた、彼一色になっていった…。



【第4話へ続く】




~あとがき~


お粗末様どしたガクリ(黒背景用)


数日前から、今まで使っていたPCが壊れて…沖田さんの花エンド後をUPしようとして書き始めたところで、おじゃんに…汗もう一度、新しいPCで書き直しましたぁ泣


保存しておいた素敵な絵や、自分の書いてきた文章も、ネタ帳も(笑)全部おじゃんどす泣こういう時、機械に頼りすぎていると大変ですね…。


私なりの沖田さんとの続き、これからが本番になってきますなぁ~。こちらでは、翔太きゅんの記憶が戻ってきました(笑)敵対していた二人…。今後、主人公ちゃんとどんなふうに関わってくるのかっ。


そして、こちらでは次、誰が登場するのか?!



それと、皆はんご存じかと思われますが!


ゆーゆ様たちが「艶が~る」のPV風動画を作成されたんだそうです!


もう、すごいです!!


いろんな絵師様たちが描かれた絵を構成して、それぞれの旦那はんたちが艶っ艶に描かれています!


艶が~る、PV風動画 第1弾

↑こちらから、ご覧ください!


今回も、遊びに来てくださってありがとうござましたウフフ