<艶が~る、妄想小説>


再UPさせていただきます!今回は、またまた、elly はんに沖田様と主人公ちゃんを書いていただきましたしゃきんっ(うふっ)


私なりの沖田さんと主人公ちゃんとの物語も、8話目に…。かなり切なくなってきてしまいました涙今回も、相変わらずの駄文ではありますが…良かったらにこっ


※艶がの沖田さんを意識しながら、沖田総司や新撰組の資料などを元に構成して書かせて頂いてますキラキラ

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(続きものにつき、よろしければこちらからお読み下さいませ)



「十六夜の月」 第8話 


「月が?」
「いえ、何でもありません……」
「沖田さん…」
「すみません、こんな話をしてしまって…さ、そろそろ参りましょう」


彼は、いつもの笑顔でそう言うと、すっくと立ち上がり私に手を差し伸べる。


「ありがとうございます…」

「いえ……」


彼の手を取って立ち上がると、作ったような彼の笑顔に不安を感じながら、前を歩く彼の背中を追いかけた…。


そして、玄関で草履を履き終わり立ち上がったその時、

「お前ら、まだいたのか」


背後から声がしてすぐに振り返ると、そこにはほんの少し口元を緩めながら微笑する土方さんの姿があった。


「総司、頼んだぞ」
「……はい」
「こいつに何かあったら、藍屋に何を言われるか分からんからな」
「分かっていますよ…」


私は、二人の会話を聞きながらも、改めて土方さんに一礼しお礼を言うと、土方さんは微笑んだまま私達を見送ってくれたのだった。


そして、屯所の門をくぐりぬけると、沖田さんは私のすぐ横にさりげなく寄り添い、私達は薄暗い夜道をゆっくりと歩き始めた。


「さっきも言いましたが…今日は、屯所に足を運んで下さってありがとうございました……」

「いいえ…私の方こそ。本当なら女の私が居られるような場所じゃないはずなのに…」

「確かに、そうですが…」

「すみませんでした……お邪魔でしたよね…」

「いいえ…そんなことは……」

「……………」

「……………」


話したいことは沢山あったし、こんな機会はそうそう無いと思う反面、いつもよりも無口な彼に話しけることがなぜか怖く感じて…


それから私は、声をかけられずに終始、無言で歩き続けた。


どれくらいの時が流れただろうか。


本当は、もっと話したいことはたくさんあるのに…。


この空気を何とかしようとしたまま、私達はもうすでに置屋を目前にしていた。


「着きましたね…」
「あの、送ってくれてありがとうございました」


しばらくして、どちらからともなく声を掛け合うと、お互いを意識しつつ「どうぞ」と、譲り合う。


「沖田さんからどうぞ…」
「いえ、春香さんから…」


お互いにほんの少し微笑み合うと、私は思いきって胸に抱いていた疑問を尋ねてみた。


「あの、迷惑だったでしょうか…」
「えっ?」
「私が訪ねて行って…」
「いえ、そんなことは…」


また黙り込む彼に、やっぱりこんな変な質問をしなければ良かったと後悔しつつ、その先の言葉を待っていると、彼は不意に立ち止まり、私を見つめながら静かに口を開いた。


「本当は、会いに来てくれてとても嬉しかった。でも、私は…」
「新選組と共に……ですよね」


半ば食い気味にそう言うと、彼は切なげな表情のまま小さく頷いた。


「……はい。あの池田屋での一件で、私達はなんとか京の町を守ることが出来た。けれど、これからも昼夜を問わず警護の目を向け続けなければなりません……ですから…」
「分かっています」


沖田さんとはあまり話せなかったけれど、土方さんや市原さん、そして永倉さんや山南さん達から新選組のことを詳しく聞くことが出来て、改めて、沖田さんが新選組にとってどれだけ必要な存在なのかが分かった気がしたから。


だから……


「あなたが、新選組にとって無くてはならない存在であること…皆さんから話しを聞いて、分かったような気がします」
「春香さん……」
「以前から、言ってましたよね…近藤さんや、土方さん達と一緒に生きられることを誇りに思っているって……。私、その言葉を聞いた時から思っていました。あなたの命は、新選組と共にあるのだと」


私がそう言うと、終始節目がちだった彼は、何かを考えるかのように目線を上げ、眉を顰めながら私を見つめた。


「……その通りです」
「沖田さん…」
「私の命は……」
「でも、それでも私は……沖田さんのことが……」


好きなんです…。


そう言い掛けて彼の瞳を見つめた瞬間、両腕に温もりを感じると同時に優しく抱き寄せられ、戸惑いながらも、彼の胸元にそっと頬を寄せた。



*艶が~る妄想小説* ~もう一つの艶物語~


「沖田…さ…ん……」
「もう、これ以上……私の心を乱さないで下さい…」
「……えっ…」

「私にはもう……あなたとの幸せな時間を夢見ることさえ叶わないんだ…」


そう、耳元で低く呟かれ、思わずそっと身体を離し彼の顔を見上げる。


彼の泣き笑いのような表情に、私は押しつぶされそうな不安を抱えたまま震える唇を噛みしめた。


「それは……もう、私とは会えないってことですか?」
「……はい」


息が出来なくなるほどの動悸に襲われて、思わず彼の胸元にしがみつく。


「どうして?」


私の問いかけに、彼は一言……。


「泣かないで下さい」と、呟いた。


彼は、いつの間にか頬をつたっていた私の涙を拭いながら、いつもの微笑みを浮かべる。


「嫌いですか、私のこと…」
「大好きです」
「なら、どうして会わないなんて言うの?」


流れる涙を止められないまま、立っていられないほどの虚無感に襲われる中、彼は微笑んだまま私の耳元に優しく触れながら囁いた。


「私は、あなたの笑顔が大好きなんだ…。これ以上、あなたを泣かせたくないから…」


(私のことを想ってくれている?それでも会えない理由って何?)


そんな疑問を抱えたままただ俯く私に、彼は苦しげに呟いた。


「私には、あなたを幸せにすることは出来ない…」
「……っ………」
「だから、もう…あなたとは……」
「……!!」


その続きを聞くのが怖くて、私を抱きしめたままだった彼の手を解き距離を置くと、居た堪れない気持ちでいっぱいになり知らないうちに駆け出していた。


「春香さん!」


呼び止められて一瞬、足が止まる。


身体中が震えたまま振り返ることが出来ずにいると、背後から優しく抱き竦められると同時に、耳元に温もりを感じ思わず肩を竦めた。




*艶が~る妄想小説* ~もう一つの艶物語~


「分かって下さい…」
「分かりません…」
「私にはもう!」
「分からないっ!」


彼の手を振り払い後ろを振り返ると、苦しげに眉を顰めたままの視線と目が合う。


「……………」

「どうしてですか?」


私は、苦しくなる胸を抑えながら、声を振り絞った。


それでも、彼はいつもの微笑みを浮かべながら…


「あなたが好きだから…もう、会えないんです」と、言って私に一礼すると、踵を返しその場を去って行った。


「……沖…田さん…」


島原の喧騒の中、その小さな声はかき消され、その場にくず折れるように座り込む。


(好きだから会えない?)


この時の私はまだ、この言葉の意味を理解出来ずにいた。


そして、彼が呟いたもう一つの言葉の意味も…。



【だからかなぁ。月が紅く見えるのは…】



小さくなる彼の背中を見つめながら、私はその場を動けずにいた。



「そこにおるんは、春香はんか?」


優しい声と共に顔を上げると、秋斉さんが暖簾から顔を出しながら、心配そうな顔でこちらを見つめていた。


「秋斉さん……」

「どないしたんや!」


彼は、すぐに私の前に跪くと、心配げに私の顔を覗き込んだ。


「わ…私……」

「何で泣いている…」

「私、沖田さんに……振られちゃいました」


しゃくりあげながらそう言うと、彼は微笑みながら私の肩をそっと抱き寄せ、穏やかな声で囁く。


「……わての胸を貸すさかい、泣きたいだけ泣いたらええ」


柔和な声と温もりを受けて、思わず彼の胸に頬を寄せながら喉が嗄れるほど泣きじゃくると、彼は、「ええ子や」と、言って私の後ろ髪を優しく撫でた。


「………っ…」

「こない、かいらしい子を泣かしはるとは…」


そう言って、微笑む彼を見つめながら小さく頷くと、手を差し伸べられながらゆっくりと立ち上がる。


「何があったのか後でゆっくり聞くさかい、とりあえず今夜はもう休みなはれ…。もし、眠れんようなら、遠慮なく言いや」

「……はい」


それから、私は自分の部屋へ戻り着替えなどを済ませると、寝支度を整えた。


ほんの少し開かれた障子の隙間から、月明かりが入り込む。


「月が…赤い……」


綺麗な満月を見上げながら、また沖田さんの事を思い出し、溢れる涙と共に小さな嗚咽が漏れた。




【第9話へ続く】




~あとがき~


沖田さぁぁあん!!

。・゚・(*ノД`*)・゚・。


沖田さんの誕生日が6月1日という説があるらしく…(正確かどうかはわかりませんが)


6月1日の花は、「紫陽花」ということもあり、紫陽花の花を添えてみました。


そして、続き…頑張って書いてみましたキラキラ


ますます切なくなっていく二人…。


いや、切なくしてしまっているのは私どすがガクリ(黒背景用)


避けては通れない道ですもんね…。


またまた、遊びに来てくださってありがとうございましたハート