「モモ 」について
モモ(桃)は、バラ科スモモ属の、落葉低木から小高木である。また、その果実や花のことをいう。
中国原産で、果樹や花木として、世界各地で品種改良されて栽培されている。春には五弁または多重弁の花を咲かせて、夏には水分が多く甘い球形の果実を実らせる。
未成熟な果実や種子には、アミグダリンという青酸配糖体が含まれる。観賞用は、ハナモモという。中国では、邪鬼を払う力があるとされた。
「栄養素」について
代表値で、可食部100グラム (g) あたりのエネルギーは、40キロカロリー (kcal) で、水分は約89 g、タンパク質は0.6 g、脂質0.1 g、炭水化物10.2 gが含まれている。
その他の成分として、腸の調子を整えたり便秘解消に役立つ食物繊維のペクチンが多く含まれている。
ほかには、高血圧予防によいカリウム、コレステロール改善によいナイアシン、抗酸化作用があるカテキンやビタミンCが含まれている。
「薬用」について
薬用とする部位は、種子、葉、花、成熟果実である。種子の内核は、桃核(とうかく)あるいは桃仁(とうにん)とよばれて、成熟果実の中の核を割って、種子を取り出し、天日乾燥させて調整する。
葉は桃葉(とうよう)、花は桃花(とうか)とよばれて、葉は6月から7月ごろ、花は開花期に採取したものを、天日乾燥して調整する。
また成熟果実は、桃子(とうし)ともよばれて、市販のものが使われる。
種子(桃仁)は、生理痛、生理不順、便秘に対する薬効があるとされて、漢方においては血行を改善する薬として婦人病などに用いられる。
民間療法では、桃仁1日量2 - 5グラムを400 ccの水に入れて煎じて、3回に分けて服用する方法が知られる。
生理初期に刺すような痛みがあり、塊が出ると楽になるような人、ころころ便の便秘によいといわれる一方で、妊婦や貧血気味の人への服用は禁忌とされる。
また、花(桃花)はむくみ、尿路結石、便秘に対する薬効があるとされて、利尿薬、便秘薬に使われる。
民間療法では、利尿やむくみとり、便秘の改善に、1日量2 - 3グラムの桃花を400 ccの水で煎じて3回に分けて服用する方法が知られる。
ただし、妊婦への服用は禁忌とされる。
果実もまた便秘によく、のどの渇きを潤して、腹部を温める効果があるが、妊婦や胃腸に熱がある人は多食しないよう注意が呼びかけられている。
葉(桃葉)は、あせも、湿疹に薬効があるとされて、乾燥葉を布袋に入れて浴湯料とし湯に入れた桃葉湯は、あせもなど皮膚の炎症に効くとされる。
ただし、乾燥していない葉は青酸化合物を含むので、換気に十分注意しなければならない。
なお、シラカバ花粉症を持つ人のうちの、一定割合の人がリンゴやモモなどバラ科の果物を食べた際に、舌や咽喉(のど)にアレルギー症状を起こすことが知られている。