「ミカン 」について
ウンシュウミカン(温州蜜柑)は、ミカン科の常緑低木で、またはその果実のことをいう。鹿児島県が原産とされる柑橘類の一種である。
さまざまな栽培品種があって、産地によってブランド名がある。果実が食用にされて、種がなく、オレンジよりも淡泊な味わいがある。
「栄養価」について
果肉には、プロビタミンA化合物の一種であるβ-クリプトキサンチンが、他の柑橘に比べて非常に多く含まれている。
これには、強力な発ガン抑制効果があるとの報告が、果樹試験場(現・果樹研究所)や京都府医大などの共同研究グループによってなされて、近年は注目されている。
オレンジ色の色素であるβ-クリプトキサンチンなどのカロテノイドは脂肪につくために、ミカンを大量に食べると皮膚が黄色くなる。
これを柑皮症という。柑皮症の症状は一時的なもので、健康に悪影響はない。その他にもクエン酸、食物繊維などが多く含まれる。
白い筋にはヘスペリジンが含まれて、動脈硬化やコレステロール血症に効果があるとされている。
「薬用」について
果皮には精油を含んでいて、精油成分は主にリモネン90%である。その他に、成分としてヘスペリジン、ルチンなど、フラボン配糖体が含まれている。
ヘスペリジンは、毛細血管の透過性を増大させる作用があって、もろくなった毛細血管を回復させることが知られているほかに、抗菌、利尿、抗ヒスタミンなどの作用もある。
従って、高血圧の予防、腎炎、蕁麻疹の予防に役立つ漢方薬の一種でもある。
漢方では、熟したものの果皮を陰干しにしたものを、陳皮(ちんぴ)と称して利用する。
陳皮とは、「1年以上経過したもの」を意味する陳久品(ちんきゅうひん)を使用しなさいという意味で、すなわち「古い皮」の意で名付けられている。
陳皮は漢方で健胃、利尿、鎮咳、鎮吐などの目的で処方に配剤されるほかに、七味唐辛子の材料としても用いられる。
また、製薬原料としても大量に用いられている。なお、中国における伝統医学「中医学」において、みかんは体を冷やす食べ物に分類されるために、風邪を引いた際には食べてはならない食品として認識されている。
民間療法では、風邪の初期症状で、多少熱がある時に、陳皮1日量10 - 15グラムを600 ccの水で半量になるまでとろ火で煮詰めた煮出し液(水性エキス)を、蜂蜜などで甘くしたり、おろし生姜を混ぜて食間3回に分けて飲む用法が知られる。
食べ過ぎ、食欲不振、悪心、嘔吐に、1日量2 - 3グラムを水400 ccで煎じて服用しても良いとされる。
手軽にできる胃腸薬として用いられるが、胃腸に熱があるときは服用は控えるとされる。肩こり、腰痛、神経痛、冷え症の改善に、陳皮を布袋などに入れて風呂に浮かべて、浴湯料に使用してもよい。