農産物の効用と価値 | 作家 福元早夫のブログ

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タマネギ」について 

 タマネギ(玉葱)は、ヒガンバナ科ネギ属多年草である。園芸上では、一年草もしくは二年草として扱われる。

 ネギ属の中でも、大きく肥大した鱗茎を持つ種で、玉ねぎの品種によって色、形状、大きさは様々である。

 

 主に鱗茎が野菜として食用とされるほかに、倒伏前に収穫した(葉タマネギ)もネギと同様に調理できる。かつてクロンキスト体系による分類では、ユリ科に属していた。

 リンネの『植物の種』(1753年) で記載された植物の一つである。

 

 和名であるタマネギの由来は、文字通り鱗茎が、玉のように大きくなるのなかまという意味からきている。

 

「栄養価」について

 タマネギの鱗茎部には、水分が約90%含まれていて、可食部100グラム (g) あたりに、炭水化物8.8 g、たんぱく質1.0 g、灰分0.4 g、脂質0.1 gが含まれている。

 

 炭水化物が多めに含まれていて、野菜としては熱量が37キロカロリー (kcal) と高めで、微量栄養素のビタミンミネラル食物繊維はそれほど多くはない。

 それでも、ビタミンB1B2Cや、カリウムカルシウムなどのミネラルや、食物繊維がバランスよく含まれている。

 

 タマネギの糖質には、ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、蔗糖(スクロース)などが含まれて、低分子の糖として貯蔵する。

 調理過程で水にさらすと、栄養成分が流れ出てしまうために、辛味成分が少ない新タマネギは、水にさらさずにそのまま食べた方が、栄養を効率よく摂取できる。

 

 タマネギを加熱して、黄色、あめ色、茶色と褐変が進行するに従って、DPPHラジカル消去能が上昇するとの報告がある。

 タマネギを炒めることによって、メイラード反応が起こり、褐色物質のメラノイジンが生成する。

 

 メラノイジンは、in vitroでは抗酸化作用活性酸素消去活性、ヘテロ環アミノ化合物(発癌物質)に対する脱変異原活性などを有する可能性があるとして研究が続けられている。

 

「薬用」について

「漢方と民間療法

 タマネギの薬用の歴史は古く、紀元前15世紀頃に書かれたエジプトの医学書とされる『エーベルス・パピルス』に名称が登場する。

 

 古代ギリシアの本草書『ディオスコリデスの薬物誌』の中でも、タマネギの薬用について詳細に記述されている。

 伝統中国医学では風邪喘息気管支炎にタマネギを推奨している。

 

 民間療法では、風邪の初期症状のときに、就寝前にタマネギの鱗茎を細かく刻んで、湯飲みに入れて、すりおろしたヒネショウガを少量加えて味噌で調味して、熱湯を注いでしばらく置いた後によくかき混ぜてから飲む方法が知られる。

 

 咳止めには、細かく刻んだタマネギを、タオルのような布の中央に入れて、その部分に熱湯をかけて軽く絞り、のどに当てて温湿布する方法が知られる。

 

「医学的知見

 タマネギには、辛味成分にもなっている多様な種類の硫化アリル類が豊富に含まれている。

 その代表ともいえるアリシンには、「血小板凝集を抑制する」「血圧が下がる」「コレステロールを下げて動脈硬化を予防する」などの効果が期待できると言われている。

 だが、現時点では、人において信頼できる十分な根拠は示されていない。