農産物の効用と価値 | 作家 福元早夫のブログ

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ナス 」について

 ナス(茄子、茄、ナスビ)は、ナス科ナス属の植物で、また、その果実のことである。別名で、ナスビともよばれる。

 インド原産で、淡色野菜として、世界中で栽培されている。果実は黒紫色が多いが、色や形は様々で、多数の品種がある。

 クセのない味わいと、火を通したときの、なめらかな食感が特徴で、品種によって様々な調理法がある。

 料理のジャンルを問わずに使えるために、定番の野菜として欠かせないものとなっている。

 

「栄養素」について

 ナス果実の93%以上は、水分である。他の野菜と比べると低カロリーで、脂肪燃焼ビタミンといわれるビタミンB2などを、バランスよく含んでいる。

 ビタミン類はほとんど含まれていないとする意見はあるが、ビタミンCや、カリウムカルシウムなどのミネラル類は、比較的少ないながらも、まんべんなく含まれている。食物繊維は、淡色野菜としては平均的な量である。

 

 またナスには、コリンという機能性成分が含まれている。このコリンは、無色の強アルカリ性物質で、血圧コレステロールを下げる、動脈硬化を防ぐ、胃液の分泌を促す、肝臓の働きを良くする、気分改善効果などの作用が認められている。

 

「茄子紺」とよばれるナス果皮の、暗紫色の色素成分は、ポリフェノールの一種で、アントシアニン系の色素ナスニンである。

 ナスニンには抗酸化作用があって、動脈硬化予防や老化予防などに効果があるとされている。

 

 また、ナスニンは水溶性で、加水分解によってデルフィニジンとなり、ニッケルイオンが存在すると、安定した(えん)をつくるという特徴がある。

 ナスの漬物を作るときに、鮮やかな色を保たせるために、ナスと一緒に鉄くぎなどを入れるのはこのためである。

 

 栄養的にはさほど見るべきものはないが、東洋医学では体温を下げる効果があるとされている。また皮の色素ナスニンは、抗酸化作用があるアントシアニンの一種である。

 2024年1月には、ナスのヘタに含まれる天然化合物に、子宮頸がん細胞に抗腫瘍効果があることが、名古屋大学の研究チームの実験で明らかになった。

 

「薬用」について

 ナスの果実、茎、へた、根、花などは薬用にできるために、民間療法で、打ち身捻挫やけどしもやけ腫れ物イボあかぎれ二日酔いなどに薬効があるといわれている。果実は茄子(かし)、へたは茄蔕(かてい)とよばれて生薬になる。

 

 打ち身、捻挫、軽いやけどには、十分に冷やした果実を、縦切りにして、切り口を患部に当てることを何度も繰り返すと、効果があるといわれている。

 しもやけには、乾燥した茎10 - 20グラムを水、600 ccで煎じた液(水性エキス)で、患部を洗う。

 

 腫れ物には、乾燥したヘタ10グラムを、600 ccの水で煎じた液で患部を湿布する。イボには、切り口で直接患部をこする。あかぎれでは、乾燥した根10 - 20グラムを同様に煎じた液を患部につける。

 二日酔いの場合では、乾燥した花とクズの花を、各5グラムずつ入れた水400 ccを煎じて、服用すると良いといわれている。

 

 ナスのへたの黒焼きを作って、粉末状にして食塩を混ぜたものは歯磨き粉代わりになり、歯槽膿漏歯痛口内炎に効果があるといわれている。

 には、果実を黒焼きにして粉末にしたものを1回量1グラム、1日3回服用する用法が知られている。

 

 2024年1月には、ナスのヘタに含まれる天然化合物が、子宮頸がん細胞に抗腫瘍効果があることが、名古屋大学の研究チームの実験で明らかになった。

 

 同じウイルス性疾患尖圭コンジローマで効果が確認されて、ヒトの子宮頸がん細胞に応用し投与した結果、細胞死を誘導することが確認された。将来的に作用が強すぎない抗がん剤などの創薬が期待できるとしている。

 

 ナスには鎮静や消炎の効果があると考えられてきたことから、日本では昔から、茄子を食べると体温を下げて、のぼせに有効とされてきた。

和漢三才図会』では、ヘタにしゃっくり止めの効果があるとされるが、俗信の域を出ない。