ヴァーツラフ・ハヴェル(1936年―2011年)は、チェコの劇作家で、チェコスロバキア大統領(1989年 - 1992年)、チェコ共和国の初代大統領(1993年 - 2003年)をつとめた。
彼は、プラハの名家で、実業家の息子として生まれた。1948年に、共産主義体制に全財産を押収されたために、勉学を止めて働かねばならなかった。
プラハのカフェで働きながら、文学の土台になる本質を得た。なかでも、演劇に引き付けられた。1954年の中学校卒業後に、映画や音楽芸術アカデミーを受験するが、試験に落ちて、高等専門学校(運輸経済専攻)に進む。
1957年に、他の大学に移ろうとしたが失敗して、1959年まで兵役に就く。軍内では工兵として勤務しながら、劇団を組織して、自身も俳優として活動した。
除隊後に、演劇の批評活動を再開して、「Divadlo」、「Kultura」誌に記事を掲載した。1963年に発表された戯曲『庭の祭り』で世界的に有名になった。
初期の作品である『ガーデン・パーティ』(1963)、『通達』(1965)、『集中の妨げられた可能性』(1967)などが上演された。
1968年の、プラハの春と呼ばれる改革運動が、ワルシャワ条約機構軍によって潰された後の「正常化」の時代に、反体制運動の指導者として活動した。
1977年に、ヘルシンキ宣言に謳われた人権擁護を求める「憲章77」を起草する。以後、幾度となく逮捕・投獄される。
1989年に、反体制勢力を結集した「市民フォーラム」を結成して、共産党政権打破(ビロード革命)の中心となる。
ビロード革命後の1989年12月に、連邦最後の大統領に選出されて、チェコスロバキア解散後の1993年1月に、新たに成立したチェコの初代大統領に就任した。1998年に再選されて、2003年2月の任期満了で退任した。
2011年12月18日に、死去する。75歳没だった。
ヴァーツラフ・ハヴェル(1936年―2011年)は、チェコの劇作家で初代大統領である。
人間の生き方について彼は語っている。
「希望とは世界の状態ではなく心の状態である。希望、この深く力強い感覚は、物事がうまくいっているときの喜びや成功が明らかな企業に投資する意欲などとはまったく異なるものだ。むしろ、価値があるという理由で働くことのできる能力である」