ゲーテ(1749年―1832年)は、ドイツの詩人、劇作家、小説家、自然科学者、博学者(色彩論、形態学、生物学、地質学、自然哲学、汎神論)、政治家、法律家である。
ドイツを代表する文豪であって、小説『若きウェルテルの悩み』『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』、叙事詩『ヘルマンとドロテーア』、詩劇『ファウスト』など広い分野で重要な作品を残した。
その文学活動は大きく、3期に分けられる。初期のゲーテは、ヘルダーに教えを受けたシュトゥルム・ウント・ドラングの代表的詩人であって、25歳のときに出版した『若きウェルテルの悩み』でヨーロッパ中にその文名を轟かせた。
ヴァイマル公国の宮廷顧問(その後枢密顧問官・政務長官つまり宰相も務めた)となって、しばらく公務に没頭するが、シュタイン夫人との恋愛や、イタリアへの旅行などを経て、古代の調和的な美に目覚めていき、『エグモント』『ヘルマンとドロテーア』『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』などを執筆して、シラーとともにドイツ文学における古典主義時代を築いていく。
シラーの死を経た晩年も、創作意欲は衰えずに、公務や自然科学研究を続けながら、『親和力』『ヴィルヘルム・マイスターの遍歴時代』『西東詩集』など円熟した作品を成した。
大作『ファウスト』は、20代から死の直前まで書き継がれたライフ・ワークである。
ほかに旅行記『イタリア紀行』、自伝『詩と真実』や、自然科学者として「植物変態論」、「色彩論」などの著作を残している。
ゲーテ(1749-1832)は、植物、動物と骨、天気、光と色などの新しい考え方を発見したが、科学者として認めらなかった。
実験より人間が受け取る「感覚」にこだわりすぎた。
人間の生き方について彼は語っている。
「この動揺する時代に自分までぐらつくのは災いを増すばかりだ。おのれの志を守ってゆずらぬ者だけが世の中を作り上げて行くのだ」