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デビューLIVEは15分の持ち時間で3曲を披露した。

以前のアイドル活動時代に応援してくれていたファンの人や

知り合いの顔が見えるとなんだか安心した。

 

デビューLIVEということで来てくれた人もたくさんいるだろうから

これが私たちの人気ってわけではないことは分かっていたが

まずは無事にデビューLIVEを終えることができたことが嬉しかった。

 

 

LIVE後の反省会では、

曲中にぶつかってしまうことや

音程が外れてしまったことなどが話し合われた。

 

 

デビューしたばかりで反省することばかりだけど

LIVEが楽しかったという気持ちが強くて

また早くLIVEがしたいね

と話してメンバーはLIVE会場を後にした。

 

 

 

その後のQ-pitchの活動は

毎週1回か2回のLIVEと月に1回の撮影会というペースが続いた。

 

デビューのときは駆けつけてくれた人も

2回目以降は見かけなくなり

LIVEをやればやるほど

ファンが減っていってるような気がした。

 

そりゃあ、デビューLIVEはお祝いのために

無理して駆けつけてくれていることは分かっていた。

 

でもいざステージに出たときに

私たちを見ている人がほとんどいない景色を見ることはつらかった。

 

見てる人がいないLIVEってなんだろう。

口には出さなかったがメンバーそれぞれの

モチベーションには変化が訪れていた。

 

 

海老原みきはアイドル活動の現実に

アイドルって想像してたのと違うなぁ

という感覚を抱き始めていた。

 

アイドルってもっとキラキラしていて

見ていて元気をもらえるような存在って思っていたけど

レッスンは厳しいし、LIVEも人来ないし、

このまま活動していても本当に人気出るのかな。

 

 

デビューまでの期間は目標に向かって必死に走ってきたから

不安なんて感じる余裕はなかった。

でもデビューして少し落ち着いたときに

このままアイドル続けていて大丈夫なのかなっていう

不安のほうが大きくなっていた。

 

 

撮影会をやっても来てくれる人はやっぱり少なくて

誰も撮りに来る人がいなくて待ってる時間が耐えられなかった。

 

 

どうせ私はかわいくないし、

ダンスもうまくないし、

歌もヘタだからしょうがないよね。

 

 

そうやって自分で自分を慰める日々が続いた。

 

 

同じく高村しずくもモヤモヤした気持ちを抱えていた。

 

過去にアイドル経験はなかったが

撮影会に参加するとすぐに列が途切れることはなくなった。

セッション撮影会では多くのカメラマンが

自分のことを撮ってくれることは嬉しかった。

 

でも撮影会終了後に動員数を確認すると少なくて

まだまだ自分の人気を思い知らされる日々だった。

 

 

しずくはもともとアイドルになるのが夢でアイドルになったわけではない。

声優になるのが夢で、たまたま見かけたアイドルオーディションがQ-pitchのオーディションで気がついたら合格していた。

 

だから、アイドルはいつも笑顔で元気よくファンを楽しませるもの

と聞かされてもピンとこなかった。

むしろ、なんでいつも笑顔を振りまいていなければいけないのか分からなかった。

 

私にだって悲しいときやつらいときがある。

それでも笑っていろというの、

かわいいアイドルを演じていろというの。

 

そんなこと私にはできないよ。

 

アイドルってなんだろう。

早くアイドルを辞めて声優の道に進んだほうがいいのかもしれない。

 

しずくにはこのままアイドル活動を続けることへの迷いが生じていた。

 

 


Q-pitchはメンバー同士の仲はけして悪くなかった。

だからQ-pitchというグループにいることへの息苦しさはない。

それなのに、なぜだろう。

7人が同じ夢に向かっている実感がない。

 

私たちはいったいどこに向かってがんばればいいのだろう。

 

 

 

 

その思いはデビューから半年後のQ-pitch初のワンマンLIVEを終えても拭い去ることはできなかった。

 

Q-pitch初のワンマンLIVEは無料LIVEとなった。

メンバーの中にもデビューから半年間続けてきたことや

チケット代も無料なのだからきっと動員も大丈夫だろう

と見積もっていたが、

動員数は無料のワンマンLIVEにしては厳しい結果となった。

 

デビューから半年間活動してきたのに

無料LIVEでも会場を満員にすることができない現実を突き付けられた。

 

 

そんなQ-pitchにとって試練の時期を経て

季節は夏を迎えようとしていたとき

突如、世界最大級のアイドルイベントTIF(TOKYO IDOL FESTIVAL)

への出場が発表された。

 

 

通常TIFへの出場は有名アイドルグループか、

全国の予選を勝ち抜いて初めて勝ち取るもの。

 

結成1年目でいきなり本選出場は異例のことだった。

 

昨年までアイドルオタクとしてTIFを見ていたえびにとっては

自分がアイドルとしてTIFに出演できることが夢のようだと思った。

 

日本中のアイドルが集まるイベントで

Q-pitchが少しでも広まってくれたらと思うと胸が躍った。

 

 

この思いを少しでもファンの8pitchに届けたい。

そんな思いでTwitterにコメントを載せた

 

 

たくさん素敵なアイドルさんたちがいる中で

Q-pitchが少しでも多くの人に知られて広まって

いけるように見に来てくれた人を楽しませるステージにします。

 

そして8pitchでよかったってこれからもずっと

何年経っても思えるようにもっともっと上を目指していきます。

デビューして1年満たないQ-pitchですが

このチャンスを無駄にせず今後に繋がる最高の

ステージにしてみせます。絶対見に来てください。

 

 

いつもだったら恥ずかしくて言えない言葉も

なぜかこのときだけは素直な気持ちを伝えることができた。

 

 

するとそのツイートを見た8pitchから

応援のメッセージが届いた。

 

そのときえびは気づいた。

こうやって素直に気持ちを伝えても

誰も笑ったりバカにしたりしないんだなって。

 

 

きっと半年前の私じゃ言えなかった。

いや、絶対に言えなかったと思う。

 

 

デビューして1年に満たない私たちでもTIF出られるんだ。

今まで続けてきたからチャンスをもらえたんだ

って思ったら今まで悩んでいたのが嘘のように

アイドルを続けてきてよかったと思った。

 

このQ-pitchがTIF出場が発表されてから

えびは少しずつ変わっていった。

 

LIVEを観に来てくれた人への感謝の気持ち

撮影会に来てくれた人への感謝の気持ちを

ツイートするようになっていく。

 

 

そのことで少しずつだが握手会や撮影会に

来てくれる人も増えてきた。

 

そこにはもうどうせ私はかわいくないと

自分を責める海老原みきはいなかった。

 

 

 

しずくにとってもTIF出場は1つの転機となる発表だった。

 

 

アイドルオタクだったわけではなかったが

アイドルをやっていればTIFの名前ぐらいは知っていた。

他のメンバーの喜び方を見てもすごいことだと伝わってくる。

 

アイドルになることが夢だったていう子と比べたら

アイドルはそこまで強い思いはないかもしれない。

 

でもいつもいっしょにいるメンバーや8pitchが

喜んでくれる姿を見ていたら

まるで自分のことのように嬉しかった。

 

しずくは、なんでもネガティブに考えてしまう自分が嫌いで仕方なかった。

 

すぐに落ち込んでしまうし、

他人からどう思われているのか気になってしまう。

 

 

それでも今まで続けてこれたのは

大好きなメンバーと8pitchがいてくれたからだってことは

自分でもはっきり分かっていた。

 

 

アイドルを始める前、やりたいことも見つからず

漠然とした毎日を過ごしていた自分に

生きる意味を与えてくれたメンバーや8pitch。

 

アイドルを始めたから出会えた仲間のためにも

TIFのステージに立ちたい。

多くの人にQ-pitchを見てほしい。

 

そんな思いがこみ上げてきていた。

 

 

アイドルは声優になるためのステップの場所。

たしかにそういった思いはある。

でも今は自分のためじゃなく誰かのために

アイドルとしてがんばりたいという思いがあった。

 

こんな私でもアイドルやってていいんだよね。

私を見に来てくれる人がいるんだよね。

 

そう思ったら結局今をがんばることが

声優への道に近づいているのかなと思うようになっていた。

 

 

 

こうしてアイドルグループQ-pitchは

1年未満でのTIF出場や地上波番組とのタイアップなど

結果だけを見れば順風満帆に見えながらも

メンバー個々には悩み、苦しみながら

少しずつ大人になっていくというストーリーが隠されていた。

 

 

Q-pitchはTIF出場を機に大きな目標が見えたことで

グループとしてのまとまりを見せてきたころ、

新曲のレッスン中にまたあやりんとひなたが事件を起こすこととなる。

 

 

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この物語は実在するアイドルグループQ-pitchを題材にしていますが、

物語はフィクションでありグループ及びメンバーとは一切関係ありません。

 

Q-pitch

Q-pitch