一旦待合室に戻り、手術への詳しい流れの説明と手術に向けての血液検査を看護師から受けることになった。淡々と診断と状況説明だけに徹する先生とは反対に、看護師の優しい説明に我慢していた涙が急に溢れてきた。「びっくりしたよね、まさか自分がって。でもまた次、気持ちに整理がついてからゆっくり次の段階に進めばいいからね。大丈夫?個室用意するから休んで帰る?」といろいろ気遣ってくださったが、一刻も早く病院を出て主人の声が聞きたいという思いもあり「大丈夫です」と言って、泣きながら会計を待った。
会計を待っている間、いろんな思いが込み上げてきたが全て自分のおごりが招いた結果だという気持ちになった。私は妊娠がわかってからの週数間、この不妊センターで何年も不妊に悩んで通っている人たちの中で、どこか抜け出したような優越感のような気持ちに浸っていたようなところがあったのかもしれない。最低の人間に下された当然の結果のような気持ちになった。
病院を出てすぐに主人に電話をした。仕事中に電話をかけたことなんてなかったので、主人も察したのだろう、すぐに電話に出てくれた。「赤ちゃん、ダメだった。」と言うとまたたくさん涙が出てきた。毎日不安を口にする私に、希望の言葉で安心させてくれ続けた主人が、かわいそうで仕方なくなった。「ごめんね。」と言うのが精一杯だった。