予想と逆? 「利上げ」→「円安加速」&「株価最高値」の背景を専門家解説
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連日最高値を更新するなど株高の一つの要因とされるのが「円安」だ。
日銀の今回の利上げに際しては、異常状態から脱却し日本の経済が成長していると評価され、円高に進む可能性があった。
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この状況について、マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木隆氏は「(マイナス金利を撤廃しても)依然として日本の政策金利は非常に低い。それに対してアメリカはこれから利下げを行っても非常に高い金利だ。そのため日米の金利差はそう簡単には縮小しないという見通しが市場で優勢になり、円安を招いている」と説明。
日銀が多少利上げしたくらいでは日米の金利差は縮まらないという。注目されるのは、今後の追加利上げの時期だ。
広木氏は「今の日銀は2%の物価上昇が続く経済環境を保つための金融政策を基本的な方針にしている。今回は春闘で賃上げが大きく達成された」と、春闘の状況に着目。 今年の春闘の賃上げ率は33年ぶりに5%超えに。一方、経済の好循環に向けては中小企業への賃上げの波及が課題となる中で、追加の利上げについて日銀は慎重な姿勢にならざるを得ないと指摘する。
広木氏は「次の利上げがあるかどうかは『賃金と物価の好循環』が日本経済に根付く確証が得られるか次第だ。日銀には前回のマイナス金利解除が早すぎたために景気が腰折れしたという苦いトラウマがある。そういう意味では早急に次の一手が打てる状況ではないだろう」と分析した。
日銀は「マイナス金利政策」を解除したにもかかわらず、「超々悪い円安」が続く理由は、アメリカの金利が日本に比べて、非常に高い事による。
日銀の「金融緩和策」を続ける限り、また、日本の「金利」を上げない限り、ドル・円相場が変わる事は全くないと言える。
要するに、景気を回復するためには、アメリカと日本の「金利差」を縮める必要性があるのだが、日本の金利を上げる事は、借金をしている人にとっては、苦しい状態となる訳で、そんなに簡単に「金利の引き上げ」をする訳にはいかない。
しかし、この「政策」を取らない限り、日本の「異常インフレ」は収まり様がなく、「デフレ脱却」などできるはずも無い。