愛、アムール - この結末はハッピーエンドなのか | 39歳、KLC通ってます→41歳、再開しました→46歳、最後の移植

39歳、KLC通ってます→41歳、再開しました→46歳、最後の移植

2015年第一子を出産、2018年第二子出産。現在凍結胚移植のためklcに通院中です。

2012年のカンヌ映画祭でパルムドール、そして先日のアカデミーでは外国語映画賞に輝いた作品。
ちなみに、同監督のミヒャエル・ハネケは、前作に続き、連続でパルムドールを受賞しています。
前作白いリボンは、悪意むき出しの衝撃的な作品でしたが(興味があれば、読んでみてね→ )
今回はまた全く違うテイストの作品でした。

いわゆる「老老介護」が主軸となっていますが、それを問題としているわけではなく
メインテーマはあくまで、タイトルにもなっている、愛。
とは言え、介護する側、される側含め、誰もがいつ自分の身に降りかかってもおかしくないシチュエーションに
つい自分だったら、と思いを馳せずにいられない。
そしてこれを「至高の愛」と呼んで良いのか。堂々巡りの思いが止まらない。 

ぜひ夫婦で観て、観終わった後、二人で色々話して欲しい作品。
わたしは友達と観たんだけど、ハチサンと観に行けば良かったなーと思った。


※ネタバレはありませんが一部展開が想像できるような記述あるかもです。
                                                             
                                                                       

maoizm


物語は、いきなり結末と思われるシーンから始まります。
そこから時間軸は遡り、その結末にいたるまで何があったのか、を観客は見守っていくことになります。

突然病に冒された妻、アンヌ。病院には戻りたくない、という彼女の願いを聞き入れ、夫ジョルジュは看護師のヘルプを受けつつ自宅介護に踏み切る。

この夫婦が、これまでとっても仲睦まじく、深い愛情で結ばれていたのだろうなということは、病に倒れる以前の二人の様子からくみ取ることができ、だからこそ自宅介護という道を選んだということも、理解できます。

maoizm

                                                      
実の娘でさえ、立ち入ることの出来ない二人だけの世界が、そこにはある。
それとも、娘には本気で母親に向き合うことはできないとジョルジュは感じ取り、娘を拒絶したのだろうか。

基本的に、夫が寝たきりの妻と対峙する、同じようなシーン中心に構成されており、起伏のない、一見単調な展開です。 実際一緒に観に行った友達は、二人とも途中寝てしまったらしい。
説明的な台詞が一切なく、登場人物の心理だとか状況を画で見せる演出は、前作同様。

じとーっとひたすら同じシーンばかり映したかと思えば、その真逆で唐突に切り替わるような<場の転換のしかたとかも、トイレやお風呂など、具体的な介護の様子を唐突に差し込んで見せるのも、ただただすげーと思わせられることばかり。 
そんなんで、地味な作品だけど個人的には全然退屈せず、引き込まれてしまいました。                                                                

maoizm


決断の時は、不意にやってきました。
この決断を、諸手を挙げて支持することはできないけれど、それではどうすれば良かったのか。答えは出ません。

そもそもジョルジュの決断は、純粋に愛ゆえのものだったのだろうか。
それまでのシーンなどを観ていると、彼にも介護による疲れが見える。

もちろん、妻に変わらぬ愛情があったことは間違いないし、アンヌ自身もそのことを希望するかのようなことを口にしたこともあるけれど・・ 

こうやって幾重にも解釈できるような余韻を残し、最後の最後に観ている側を突き放して迎える無音のエンドロールも、相変わらず。

そしてやっぱりハネケ作品はわたしには難しい。
前述のように、台詞とかナレーションとかで具体的な説明ってのがなく、登場人物の表情であったり、間接的な台詞だったり、場面の状況とかで解釈するしかないので、すぐに理解できないような部分もあります。

鳩が意味しているのは結局なんだったのか、とか、絵画のシーンは?とかまあいろいろ。
だけど観終わった後で、それぞれのシーンを反芻し、あれこれ考える作業も、決して嫌いではないです。


主演のお二人が素晴らしい。
特にアンヌ演じたエマニュエル・リヴァ。
徐々に人格を失っていく、老いた女性を全てさらけ出して演じていて、凄まじかった。
夫の ジャン=ルイ・トランティニャンも良かった。
この二人、ほんとの夫婦みたいに見える。
まだアンヌが元気だった頃の、二人の日常のやりとりは、とても素敵だった。


maoizm

                                     

                  
エマニュエル・リヴァはアカデミー主演女優賞にも史上最高齢でノミネートされた。 
プレイブックは観てないから何とも言えないけど、ジェニファー・ローレンスより彼女にあげて欲しかったと、この作品を観るとどうしても思ってしまう。 





それにしても、アンヌはある意味幸せだな。あんなに夫に尽くされて。
ハチサンだったら、ここまでしてくれるだろうか。
今はわたしにぞっこんLOVE(古い&自分で言うか)なハチサンだけど、ずっとこうとも限らないだろうし、基本的にめんどーなこと嫌いだからなぁ。

ていうか、そもそも自分が逆の立場だったら、あそこまでできるか。

自信ないかも。



ちょっと話はそれましたが、つらい現実が描かれつつも、長く連れ添った二人の夫婦愛が、深く心に染み渡る作品でした。
わたしも、こんな風にいつまでもお互いを尊重し合って寄り添える夫婦でありたいな。

maoizm
愛、アムール 
原題:AMOUR(仏・独・オーストリア)
監督:ミヒャエル・ハネケ
出演: ジャン=ルイ・トランティニャン、エマニュエル・リヴァ、イザベル・ユペール、アレクサンドル・タロー、ウィリアム・シメル 他
字幕翻訳:丸山垂穂

記事が少しでも気に入っていただけましたら、クリックお願いします。
にほんブログ村 ファッションブログ 大人カジュアル系へ
にほんブログ村

皆様の応援が力になっております。どうぞよろしくお願いいたします^^