アロハ
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240606/06/hawaiioobaba/38/9e/j/o0809108015447989657.jpg?caw=800)
念願の古民家を遂に購入し、
1年間伸び放題だった草を刈り、
畳を襖を新しくし、
電気製品や、布団、鍋
身の回りの細々したものを買い続け、
何とか生活できるとこまでにやっとなった。
愛着が日々沸いてくる、
この小さな古民家。
そして、今日が島で暮らす最後の一日となる。
今夜のフェリーで、
大阪へと向かい、
明日関西空港からハワイへと戻るのだ...
最高のお天気の昨日。
お互い各々最後に島を味わうべく、
別行動。
爺は朝から支度をし、
自転車で島の隅々まで走り回った。
婆は、お昼過ぎまで庭に出たり、
入ったりと、
ウグイス達のさえずりを聞きながら、
家でボーッとしてたが、
ふと思い立ち、
本土へと車を走らせる。
この20年ずっと食べたかった、
故郷のラーメンを食べに行くべき向かう。
何故なら、
ここが食べたいものリストに、
最後まで残っていたから。
老舗のラーメン屋さん。
子供の時、学生の時、ことあるごとに、
ずっと食べてきたラーメン。
それは狭い路地に佇む、
小さな小さなラーメン屋さん
20年ぶりに見た外観は、
全く何にも変わらず、
入っただけでタイムスリップする。
一人で感動する、
全く何にも変わらない懐かしい味....
お金を出せば、
いとも簡単に何でも新しくできるけれど、
変わらずに、
そのままいることは本当に難しい。
ありがとうございました。
美味しかったです!とお礼を言い、
そして、帰国する度に通っていた、
海辺の小さなカフェにも寄った。
海を見ながら
ほっと一息。
もうこれで思い残すことはない。
最後までリストに残っていた、
行きたいとこに行き、
食べたいものを食べ尽くした。
そんなことを思いながら、
ボーッとコーヒーを飲む。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240606/06/hawaiioobaba/4e/8a/j/o0809108015447989662.jpg?caw=800)
夕方、家に辿り着く。
町のスーパーで買ってきた、
爺の大好きな物、
そう、鰹のたたきが晩御飯だ。
炊飯器のスイッチだけを押して、
5時過ぎ、今度は一人で散歩に出る。
爺はなにやら帰る支度をしている。
歩いて3分ほどで、
着いた海。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240606/06/hawaiioobaba/3e/d9/j/o0810108015447989665.jpg?caw=800)
目の前をゆっくり進んでいく小舟。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240606/06/hawaiioobaba/88/3f/j/o1080081015447989668.jpg?caw=800)
そんな穏やかな海を風を、
この島の景色を、
しっかり心に焼き付ける。
そして、ムラムラと気合いが入ってくる。
よっしゃ!!頑張るぞ!!
ハワイで頑張って働いて、
また来年必ず戻ってくるんだ!!!
そう誓い、
家に帰る。
2人で炊きたてご飯と、
鰹のたたきを食べていると、
誰かが玄関に。
なんと、島の友達の知り合いの、
お世話になったイケメンのガス屋さん。
もう帰られると聞いて来ました。
よかったらこれ、
食べて下さいと、
庭で採れた大粒のビワと、
漁師さんから貰った朝採れの茹で海老を、
わざわざ持ってきてくれたのだ....
嬉しくありがたくて胸がキュン♡とする。
では、また来年!!と
爺と握手して笑顔で別れる。
みんななんでこんなにも優しいんだ....
ヤバいじゃないか、、、
ここを離れるのがより一層つらくなるじゃん。
大好物の海老を頂きながら、
爺と無言で酒を交わす、
そんな島の夜は、
静かに更けていった。
そうだよね、、、
って空の向こうのダイヤモンドヘッドに、
問うてみるが、
あまりにも遠すぎて、
返事はまだ、ない。
続く。