アロハ
五月晴れの昨日、
前回初めて釣った鯛に気を良くして、
今日もまた釣りに行くと騒ぎだした爺。
小さくても鯛は鯛。
魚の王様、キングだよ！凄いじゃん！！！
と、みんなに褒められ、
よっぽど嬉しかったんだろう。
今回は小さなホームセンターで買った、
クーラーに氷とノンアルビール2本入れ、
椅子も持ち、
準備万端で出発。
家から車で3分の波止場に着く。
この前、鯛２匹を釣り上げた場所だ。
今夜のおかずをゲットするぞ！
と張りきっている爺。
こっちは椅子に座り、
氷の入った冷え冷えの、
ノンアルビールをクーラーから取り出し、
深呼吸をしながら穏やかな海を眺める。
飛行機雲がまっすぐ伸びる空を、
トンビが悠々と舞う。
宝石をちりばめたように、
キラキラ光る、
ハワイとは全く違う穏やかで静かな海。
聞こえてくるのは、鳥の囀ずりと、
波の音だけ.....
そうそううまくいかないのが、
人生と釣り（笑）
１時間ほど粘る、爺。
心の中で思う。
こりゃ今回はダメだな。
まぁ、それでも良いのだ。
何も考えず、何も心配せず、
ぼぉーっと、
自然の中で頭を空っぽにして集中する....
エサを買いに島の小さな餌屋さんへ行った時、
おばあさんが、
ハワイから来たと言うとびっくりして、
コレ食べなさい、と、バナナのタルトをくれた。
そして、魚もな、偉いんだよ。
人間との真剣勝負や。
そう言って、わっはっはと笑う、おばあさん。
この島はエエとこや。最高や。
そんな事を思い出していた時、
きた～！！きたぞ～！！と騒ぐ爺。
なんか釣れたらしい～
おぉ、まさかの見事な鯛！！
しかし鯛ってこんなにカラフルで、
綺麗なピンク色だったんだ....
見惚れるほど美しい...
自然の恵み。
それから粘ってもう一匹、
小さな鯛を釣り上げてご満悦の爺。
近くで釣っていた中年のご夫婦は、
大きなアジを４匹、連続でゲット。
その向こうの３人の若者達は、
サヨリの群れに当たったのか、
20匹位釣りまくっている。
帰り際、若い彼らと話す。
ハワイから来たと言うとびっくりし、
よかったら、食べてくださいと、
５匹のサヨリを貰う。
みんな優しいな....
泣けるほど優しい。
礼儀正しい、日本の若者達よ。
これからの日本を背負っていっておくれ...
さぁ、晩御飯だ。
天ぷらに。
サヨリの天ぷら、
スーパーで買った、糠漬けと中華肉団子を
暖め直し、
今夜の晩御飯完成～！！
自分で釣った魚を食べるのは、
初めての爺。
ビールを飲みながら堪能する。
コレって、ある意味自給自足なのかな？？？笑
それから、
今度は日本酒でまた乾杯する、我ら老夫婦。
島で暮らせたらのんびり釣りがしたい...
そんな夢も叶った。
良かったな、爺よ。
老夫婦の島暮らし。
そんな夜は、静かに更けていった......
そうだよね...
って空の向こうのダイヤモンドヘッドに、
問うてみるが、
あまりにも遠すぎて、
返事はまだ、ない。
続く。
