[ハワイ] 島暮らし まさかの警察に電話 ! | 婆様のハワイ日記

婆様のハワイ日記

ハワイの片隅で生きるアメリカ人爺夫と日本人婆妻の老夫婦デコボコ日記です。

アロハ



ヤツとの3人での島暮らしも


もう10日を過ぎた。


心底この島が気に入ったヤツ。


島の小さなスーパーが、


夕方6時に閉まることも、


日曜日がお休みなことも、


そこに停まっている軽トラ軍団にも、


「COOL ~!!」と目を細める。


そんなヤツの日本滞在も、


もう後1日を残すだけとなった。




もう今までも爺とあちこち、


自転車でうろうろし、


地理は頭に入っているはず。


たまに一人で出かけては、


いい道を見つけたよ。


坂道だけれど眺めが凄くいいんだ~!!


なんて上機嫌だったそんなヤツも


もう明日にはハワイへと旅立つ。


最後に一人で島々を回りたいと、


自転車で出発したのが朝10時。


こっちは爺と買い物でまた本土の町へと向かい、


帰って来たのが4時頃。


ヤツはまだ帰っていない。


自転車は初心者でもないし、


地理はしっかりと頭に入っている。


まだまだ若い40代。


きっと最後に遠出をしているんだろうと、


気にも止めなかった。


それにその夜は、


お世話になったからと、


ヤツが居酒屋で奢ってくれることになっている。


5時になった。


爺がそわそわし始める。


もしかしたら迷子になったんじゃないか、


と、心配で家を出たり入ったり。


6時になる。


さすがに心配になってきた。


爺がアイツの自転車にはライトがないはず。


暗くなったら帰ってこれないと、


電話とメールをしてみるが、


全く応答なし。


もしかして事故に巻き込まれたんじゃないか...


と、気が気じゃなくなった。


2人で近くの道まで出てみる。


警察に電話してみようか....


一応、電話番号とここの住所を書いたメモは


持たせてある、、、


が、もしかしたら、


怪我して意識がなくなっているのかも...


と、悪い想像ばかり、、


倒れて苦しんでいる、ヤツの顔が浮かんでくる。


ヤバい. .... 


心臓がバクバクしてくる。


警察に電話だ!!


事故があったかどうかとにかく聞くしかない、


ヤツが向かった本土の警察署を検索、


ドキドキしながら電話。


こういう外国人が自転車で向かったけれど、


まだ帰ってこない。


そこの管轄内で、


なにか自転車の事故があったかどうか、


調べてもらいたい。


彼は日本語話せないんです...


係官は冷静に、確認する。


氏名、婆の名前、間柄、、、


それでは調べます。少しお待ちください。


と、待っている間、


ヤツの笑顔が浮かんで、


そして、消えて行った、、、


ごめん。ウザイって思って。


ごめん。気使って便秘になるって言って。


ごめん、海鮮食べられないから面倒だと思って。


ごめん、、


ごめん、、


どうか無事に帰ってきて、、、


お願い...


祈るような気持ちで待つ。


係官が、えーっとですね、、


もう心臓が爆発しそうになる、、、


今現在、自転車事故の報告はないです。


肩の力が抜ける。


よかった.....


とりあえず事故には巻き込まれてない。


もしこのまま帰らなかったら、


もう一度電話しますので、


よろしくお願いしますと、


丁寧にお礼を言って電話を切った。


後は迷子か、、


いや、もしかして谷底に落ちて、


動けないのかも、、


そんなことを悶々と考える。


薄暗くなってきた、、、


爺にちょっと車でその辺探してくるよと、


キーを持って車に乗り込もうとした時、


外でじっーと帰りを待っていた爺の、


叫び声が聞こえた。


婆!帰ってきたよ、 帰ってきた!!!!


きょとんとした顔で、


あー楽しかった!!って、


ケロっと帰ってきたヤツ。


お、お前.....


心配させやがって!!!!


ほっとしたら何故だか涙が出てきた。



その夜、


島の小さな居酒屋で乾杯した。


3人で過ごす最後の夜。


そんな穏やかな夜はゆっくりと更けていった。



そうだよねって、


空の向こうのダイヤモンドヘッドに、


問うてみるが、


あまりにも遠すぎて、


返事はまだない。


続く。