アロハ
運動会が終わったと、
日本のお嫁さんから孫娘のビデオが
送られてきた。
誰に似たのか、
運動が超得意な我がお孫。
今回ももちろん、一等賞~!!
そして学年で踊るダンス。
と言っても、どちらかと言えば、
体育会系のヤツ。
音楽に合わせて全く乱れることもなく、
一生懸命踊っている姿に、
何だか胸が暑くなる。
その体育会系の踊りは、
片膝を曲げて、勢い良く、
大きく又を交互に開いたるする、
結構ハードな感じ。
いやいや...こんなことしたら、
完全に骨折するだろうなって言う、レベル。
凄いなぁ。若いって本当に、素晴らしい....
孫とは打って変わって、
何をしたわけでもないのに、
こっちは昨日辺りから、
何だか左の膝が妙に痛い。
さすが60代だ。
歩けるのは歩けるけど、
階段は手すりを持って、
カニさんのように、
そろりそろりと降りる。
順調にお年を召していると感じる、
今日この頃、、、
何だかなぁ...
あーあ、情けない...と、不貞腐れている時に、
ふっと浮かんだのが、
長年のお客さんのミスターMの笑顔。
ブロンズヘアーに青い目の長身イケメン。
ずっとアメリカ空軍に所属し、
何年間かは日本の基地でも働いていた。
若い時は、さぞかしモテモテだったろうに。
そんな日本びいきの彼も90歳を越えた。
結婚は3回。
17才下のフィリピン系の奥さんが、
彼の最後の奥さんとなった。
8年ほど前、
奥さんが病気で、闘病中って話してくれた。
5年ほど前、
奥さんが亡くなったと聞かされた。
まだ50代だった。
17も離れているから、
てっきり彼女が、
自分のコトを看取ってくれるって、
勝手に思っていたよ....
まさか一人残されるなんて、
思いもしなかった....
彼女は自分の一番のベストフレンドであり、
最高のワイフだったよ....
そう言って、静かに目を閉じた、ミスターM。
あれから5年。
一人暮らしの彼は、
歩行器を使いながらも、今でもやってくる。
白内障で手術し、目も見えずらい。
ほとんど歯もない。
補聴器をつけ、
そして、人口肛門にもなった。
でも彼の口から一度も愚痴は聞いたことない。
年を取り、
少しずついろんな物を失っていくけど、
まだ何とか見えるし、
聞こえるし、話せるし、食べられるし、
こうして、歩ける、、、
自分は本当にラッキーだよ!!と、
ウインクし、
最新の真っ赤な歩行器を自慢気に指差し、
どうだ!?
これ、今度の新しい愛車、
新型キャデラックだぞ~!!と言い、
皆を笑わす、、、
そんな明るいアメリカ人が大好きだ。
心から尊敬する、カッコいい、
90才のミスターM.....
そうありたいよね?
と、窓の外に向かって呟いてみる。
が、ダイヤモンドヘッドは、
今朝もまた何も言わず、
ただ黙って佇んでいるだけ....
続く。