以前、ノーズワークの体験会をしたことがある。
犬が匂いのある箱の上に鼻を持っていけるようになったのだけど、「(犬が箱のところに行ったら)箱の上でオヤツをあげてください」と言うと。。。
「学習の原理として三角形にした方がいいんじゃないかなぁ?」とおっしゃる。
どうするのが良いと思っているのかと聞くと、写真のように箱、人、オヤツが三角形を描く位置が学習を促進させると。
あー、確かに。
オヤツを三角形であげることで、犬は一旦箱から離れる。
再び箱に戻って来てクリック。
オヤツは三角形の別の位置で。
箱に対するレスポンスが良くなる。
ここで私が犬に求めているのは、オヤツを使って匂いと報酬をペアリングして、犬に匂い=報酬と印象付けたい。
これはただ単に見つけたらオヤツがもらえるというような単純なものではない。
匂い自体を報酬にするということです。
つまり報酬を探す、探すように作る。
報酬を探すので犬は真剣になるし、最高に楽しい。
ここで大まかにペアリングの仕方を説明します。
第一段階では、箱に匂いとオヤツを一緒に入れてオヤツを探すというゲーム。
第二段階では、箱を増やす。
第三段階では、箱は一つに戻して、箱の中は匂いだけにして犬が箱に行ったら箱の上でオヤツ。
この飼主さんと犬は第二段階まで順調に進んできました。
第三段階になり、最初はオヤツがあると思い込んでいるので元気に行きますが、3回もやればないことに気づく。
オヤツは飼主が持っているのだと。
犬は慎重に何をすれば良いのかを考えていました。
先程まで良かったレスポンスが悪くなる。
少し考えてから匂いの仕込まれてる箱に行きました。
「箱の上でオヤツをあげてください」と再びいうと、
飼主さんは上に書いた説明をしはじめました。
『うーん、ここはすぐにオヤツをあげてほしいところだった〜。
このタイミングを外すか掴むかで学習の進み具合が変わってしまうから。』
ご褒美の出口は犬の学習においてものすごく重要です。
何を教えているのかをハンドラーは冷静に判断する必要があります。
前の記事にも書きましたが、理論や知識は必要だけど、役に立てるためには何を強化したいのかを冷静に分析できる経験が必要になる。
この時、教えたいのは箱に対するターゲッティングではなくて、匂いと報酬のペアリング。
目的地、着地点を間違えないようにトレーニングを組み立てなければならない。
なんとなくのトレーニングはなんとなくできる犬しか作れない。