以前、しつけ教室のレッスン風景を見かけたとき、犬の首が下がるだけで厳しく「No!」と叱っているのを見た。
地面の匂いを嗅ごうものなら、すかさず足で鼻先をめがけて「ダンッ!」と足を鳴らす。
ちょっとでもよそ見をすると、スリップリードでぎゅっと首が絞められる。
犬がトボトボと横を歩くころに、かろうじて「そう!」と褒め言葉がかかる。
その間は「NO!」のみ。
たぶん、犬が犬らしさを表現すると「NO!」なのだ。
犬らしさを消して大人しく従っていれば「そう!」なんだろう。
犬はロボットや人形ではない。
これはポジティブトレーニングに関しても言えることだ。
犬ができるようになってくると、もっとこうしたいこうなりたいと思うようになる。
細かいことや難しいことを要求しなければならなくなる。
思い通りにいかないことに不満や不安を持つようになる。
するとそのことばかりに目が行ってしまう。
不満は不安に連動して不安だから犬を監視してコントロールしようとするようになる。
監視、コントロールされる犬は犬らしい表現を消していく。
強制的なトレーニングで起こることがポジティブトレーニングでも起こるのだ。
ポジティブトレーニングでも犬を追い詰めてしまうこともあるということ。
一緒に楽しめれば犬は幸せなんだと思う。
たくさん褒めてたくさん遊ぶことは犬とトレーニングを楽しむために必要不可欠。