ポジティブトレーニングの難しさ | Having FUN Workingdog Training

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ドッグトレーニングのことなど綴っています

犬をポジティブな方法で競技レベルに仕上げていく時に必ずぶつかる壁があります。




このやり方で競技に通用するの?しないの?ということ。

確かに、難しい。

たぶん強制した方が犬にも分かりやすく楽な部分もあります。


例えば、クリッカーを使って一つの行動を教えると、犬は意欲的に考えて行動し習得していきます。

しかし、ここには無数の落とし穴があって、その一つが楽しそうではあるけどワチャワチャして節操がなくなる。

もう一つは前述のせいで持続的な状態を教えきれない。

そして前回記事にしたワンコハンドラーのように楽しいという気持ちを折角作ったのだからそれを潰したくないという気持ちから、ステップアップができないなど、次から次へと落とし穴が待ってる時期がやってきます。

もちろん訓練競技レベルまで行かずにトリックなど楽しみながらやるのであれば良いと思います。


そこで必要になるのは犬の気持ちをどう操るか?

よく言われる駆け引きというやつです。


脚側を教える時、犬はハンドラーの左サイドのピンポイントの位置についていなくてはなりません。

ここが曖昧になればなるほど犬は前に出たり離れたりするわけです。

強制の場合はリードを引くなどして位置を調整できます。しかしクリッカーなどポジティブな方法は手のひらに犬の鼻をつけさせる方法などを使用します。

脚側の位置で犬の鼻が届くところに手をかざすわけですが、割とカンタンにここは教えられます。

しかし歩き出すと犬の鼻は前に向くので手に付いてこない。よく見かけるのが犬の鼻の位置に合わせて手を前に出して帳じりを合わせる。

これだと位置を変えて教えてしまう。

では、どうしたらいいのか?

犬が手がどこにあろうと何が何でも手に鼻をこすりつけていたいと思わせる必要があります。

それができるようになって今度は犬が必死になって「やってるよ!やってるよ!」とアピールさせるぐらいな気持ちを作っていきます。

「やってるよ!」と犬がどんなにアピールしてもこちらは「もっと!もっと!」と要求していきます。

私はこれを「静かな強制」だと思っています。

この段階では犬よりハンドラーが乗り換えるべきハードルがあると思います。


日本の犬のトレーニングの世界では、ポジティブでやるのは良いけど「最終的には強制しないとダメ」と言われることが多いです。

犬の資質や環境など様々なことを考えて、その子にあった方法が必要なので全てにおいてポジティブトレーニングが合うとは言えません。

ポジティブでも強制でも、競技レベルのトレーニングが必要なら犬が必死になるぐらいの表現をさせることができないとカタチにはならないということです。