ゼイベッキ | あぶくさぶく

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トルコ語あれこれ

ゼイベッキという言葉を 聞いたことがありますか? トルコ語では "zeybek" ですが、こういう風に -ek/-ik などで 終わる単語は「ッキ」のように 聞こえることがあります. 日本語で「ステッキ」「チョッキ」なんていうのと同じで 面白いです.  今は 「ステッキ」なんて 言わないよ、「スティック」でしょ・・・という声が聞こえてきそうですが、「スティック」でも k の後ろに 母音(u)が ついていることに 変わりはありません :D.

閑話休題、ゼイベッキというのは、かつて エーゲ海地方にいたあるグループの人たちのことで、独特のコスチュームと音楽が 有名です. 現代では トルコの代表的な伝統芸能(衣装と踊り)として 知られています.
「ゼイベッキ」という言葉自体には 諸説あるようです. 古いトルコ語で「強力な守護者」という意味だったという説、ギリシャ語起源説、人名説、地名説など.
彼らの生い立ち、起源についても 諸説あるようで、定住化しそこなった遊牧民という説、セルジュク朝のアナドル(アナトリア)に起源があるとする説、16世紀の「Celali Ayaklanmaları」と呼ばれる反乱のときに 初めて出現し、その後 圧迫や不正に対抗して 山にこもる人たちが ゼイベッキと 呼ばれるようになったという説、など.
ゼイベッキは ネットで 見る限り、<勇敢で義憤に満ちた男たちのこと>などと定義されることが 多いようですが、こういう肯定的な評価は、特に 彼らが 民族解放戦争(Kurtuluş Savaşı、1919~1923)で アタテュルクの側について以後 高まったものらしく、ときに 皮肉な定義をすることで有名なネット辞書 "Ekşi Sözlük" には、「1828年の マフムト2世の勅令で『ならず者』と定義されたグループ」という書き込みも ありました. かつては、必ずしも 義賊と言えない行為に及ぶものも いたんでしょう.
なお、ゼイベッキたちに選ばれた頭領は <エフェ>と 呼ばれたそうです. ただ、<エフェ>は <ゼイベッキ>と 同じような意味で 使われたりも するみたいで 使い分けは よくわかりません.
また、ゼイベッキは ギリシャにも いるらしく "zeybekkikos" と 呼ばれるようです. ただ、トルコの民族解放戦争で アタテュルク側についた・・・ということだと ギリシャからみれば 敵方に加担した輩ということに なりそうですが、ギリシャで どう見られているのか 興味のあるところです.

彼らが踊る踊りや音楽もまた<ゼイベッキ>と 呼ばれます. サズが 使われる場合は 携帯に便利な小型のジュラが 本来 使われたそうですが、今では バーラマで 演奏されることが 多いんじゃないかと思います.
トルコ音楽では 7拍子や 9拍子などの 変則的な拍子が よく使われます. これを 変拍子と 言いますが、ゼイベッキでも よく使われます. 変拍子は 2拍子と3拍子が 合成されたものとみなされ、2+2+3(7拍子)、2+2+2+3(9拍子)などと 数えます. 以下の 2曲が 何拍子か 数えてみてください. ヒントは <ゆっくり>です.

以下のビデオでは 踊り方が 解説されてますので、われと思わん方は 踊りの方も お試しを :D
Harmandalı
Kerimoğlu


参考リンク
http://tr.wikipedia.org/wiki/Efe
http://www.eksisozluk.com/show.asp?t=zeybek
http://www.geldik.com/kulturel-konular/33349-zeybekler-zeybekligin-kokeni-zeybekler-hakkinda.html


アメリカのハンバーガーショップも 開店祝いは ゼイベッキで
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