虹のゆきに咲く  姉妹店 -7ページ目

虹のゆきに咲く  姉妹店

虹のゆきに咲くの姉妹店です!
恋愛小説以外も書いていきますのでよろしければお読み下さい!

三島 成美 様

現在、鹿児島県の知覧町にて特別攻撃の訓練をうけております
毎日のように成美さんがどのような生活をして
成美さんの笑顔をいつも思い浮かべています
こちらではなんとか頑張って生活をしております
中には厳しい訓練もあり辛い時もあります
成美さん、知覧特攻基地の連絡先をここに記しました
なにかありましたら手紙をください
何もなくても手紙をだされても構いません
私はむしろその方がここで平安に過ごせそうな気がします

山下 光明



山下 光明 様

今日ほど嬉しいことはありません
光明さんと手紙のやり取りができるかと思うと
胸の鼓動が張り裂けそうです
何もなくても手紙を出していいのでしたら
一日百通出します
でも迷惑ですね
そう書く私に可愛さを感じてください
今日は心が踊ります
どうか風邪などひかずにお体を大事にされてください
ところで、特別攻撃とはどのような目的なのでしょうか
きっと、光明さんが優秀ということで他の兵隊さんより
優遇されているのでしょう
安心しました、手紙を待っています




山下少尉
君を六十五振武隊を指揮することになった
大日本帝国のために御国のために命を捧げろ

はい

よろしい



石丸軍曹
今日から君は整備兵として働いてくれ
君みたいな存在があっての特別攻撃だ

はい


石丸、お前もここか

山下、偶然だな
俺とお前は小さい頃から幼なじみで
最近は合っていなかったな

そうだな

山下お前は部隊を指揮する立場か

そうだ

俺は右腕が少し不自由だから整備兵だ
悲しい気持ちだが仕方ない
お前の突撃機は俺が整備する
必ず約束する
親友の突撃機を整備するのは俺しかいない

ありがとう、頼む

ああ、任せてくれ
何かあったら相談してくれ

じゃあ訓練に行く
お前も頑張れ



訓練も終わったし兵舎で休むか

山下少尉
お世話をさせていただく時間です

君は小百合さん

偶然ですね

ああ

大した用はないが
俺の話し相手になってくれ

はい

君の恋人はいくつだ20歳です

ちょうど同じ年か
どのような仕事をしている

板金の仕事をしています

そうか

一週間に何日くらい会うんだ

ほぼ毎日です

それはうらやましいな

僕の恋人とはもう一生会えないかもしれない

それは残念ですね

それでは山下少尉
下着などを洗ってまいります

また話相手になってくれ
君と話していると恋人を思い出して幸せな気分になるよ

そういってもらえると嬉しいです

夜になったか星でも見るか
なぜだ星すら見えない
あれは星なのか
成美さんと見た星はなんだったのか
あの星の存在はなんだったろうか
成美さんがいたからそうみえたのか

成美さん恋しい
誰よりも恋しい

しかしもう会えないのだよ
 

成美さん、列車の中だよ
早く着いて手紙を書きたいよ
でも、手続きや面倒なことがあるんだよ
手紙だけしか書けないからね
俺の頭の中に書くのは
でも、このような時期がいつまで続くのだろうか
その時期はものさしで測れるかもしれない
今日だけは明るい気持ちで成美さんを想うことにしよう
このように書いた時点で悲しみが押し寄せてきたよ
成美さん
あの頃のように恥ずかしいけど抱きしめてみたいよ
今だから言うけど最初の時だけは本当に恥ずかしかったんだよ
次は獣のように変わったけどね
本当にいつまで、ここまでの感情で抑えられるのだろうか
俺は本当に新たな道に突き進むことができるだろうか




蝉が鳴いています
夏を強く感じながらいつも想っていることがあります
光明さん元気にしているでしょうか
私は元気ですが心が病んでいるようです
どうしてかわかりますか
もしかして私が怖い女だからと思っていませんか
やっぱり秘密にしておきます
でも光明さんが帰ってきたら教えてあげますよ
こっそりですよ
東京は暑い日が続いています
蝉の音が私の心のかわりに
早く帰ってきてください
早く帰ってきてくださいとばかりに鳴いています

元気なのですか
本当ですか
無事でよかったです

返事もないのに自分の中で会話をしています
早くこれが本当の会話になれることを待っています






すみません
タオルを落としましたよ

ああ、ありがとう
何かお礼をしないとな

いえ、特攻兵の方には尽くすようにと言われていますので

君は女学生だね

はい

タオルがないと困るからな助かったよ
ところで鹿児島の知覧という町はとにかく暑いな

どちらからお見えですか

東京だよ

東京には恋人が待っているのではありませんか

よくわかったね

顔にそう書いてあります

どうして

だってハンサムですから

そうかな、君も美人じゃないか
ところで恋人はいるのかな

はい

きっとハンサムなんだろうな

そうです

俺よりかい

いい勝負ですね

ハハハ
ふふふ

来られたばかりですか

そうだよ
よくわかったね

そのように顔に書いてあります

君は顔をみただけですぐわかるんだね

そうです、素敵な人には特にそうです
それでは案内しましょうか

君はそこまでわかるのか

私達がいろいろお世話しています

ここが兵舎です
三角形の形をしていますよね

本当にそうだね

ここで数名の特攻兵の方が寝泊まりするのです

こんなに狭いんだね
そういえば名前を言っていなかった
俺は光明

私は小百合です
見かけたらなんでも声をかけてください

ありがとう
 

お母さん

恥ずかしいですが手紙にて書きました
直接声に出して言えないからです
僕の手紙を大事にとっていていただけませんか
決して誰にも見せないでください約束ですよ
お母さん、生を受けて20年の間一人で育てていただきました
感謝の気持ちでいっぱいです
僕はやんちゃでしたからさぞかし苦労したでしょう
何ひとつ親孝行を出来なくて申し訳ありません
馬鹿なことを書いていますね
これじゃ生きて帰ってこないみたいじゃないですか
余計にお母さんを不幸にさせるではありませんか
振り返ると僕が包丁でリンゴを切っていたら
誤って小指を切ってしまいました
お母さんは僕をおんぶして離れた病院まで
連れて行ってくれましたね
どれだけ心配をかけたのでしょうか
小指の先が無かったのですから
それを布でぐるぐる巻いてつないでくれましたね
幸いにつながりましたが今でも傷跡が残っています
しかし、お母さんの優しさの方が遥かに残っています
学徒出陣により戦地に赴きます
お母さんは出征の時は対外的には万歳と言うでしょう
でも、僕のことを心配していてください
無事で帰ってくることを願ってください
お母さんの子供ですから
お母さんに抱きつきたい気持ちでいっぱいです
最後のわがままを書いてしまいました
このような手紙が再び届かないように祈ります
お母さんを悲しませたくないからです
時々、明るい手紙を書きますから読んでください
どうかお体を大事になさって下さい
風邪などひかないように

お母さんの子供光明より



光明、いよいよ明日だね

はい

立派に活躍してくるんだよ
日本人として御国のために戦ってきなさい
お母さんはこれほど嬉しいことはないよ

ああ、わかっているよ

今日の夜は特別にご馳走してあげるから

何がいいかい

お母さんの煮つけでいいよ

もっと豪華なものを作るから
遠慮なく言いなさい

いや、煮つけと
味噌汁
う~ん
じゃあ焼き魚かな

簡単なものじゃない
じゃあ、作ってくるね
ううう

お母さん・・・・
大丈夫だよ生きて帰ってくるから
泣いたら駄目だよ

気のせいよ

お母さん、肩を揉んであげるよ

光明、大丈夫よ肩はこってはいないから

いいよ、出征前にしかできないだろ

帰ってくればいいじゃないかい

そうだね、戦果をあげて帰ってくるさ

でも、肩を揉みたいんだ
じゃあお願いするね
お母さんおんぶして
でも僕の体の方が大きいからできないね

ううう

僕はもう寝るよ

明日、いつもの卵焼きを作ってくれよ

わかった

ううう

母さん、必ず帰ってくるから今日は一緒に寝よう
 

三島 成美 様

忘れ物はどうすべきかな
忘れ物とは木箱に入っているリンゴだよ
やや酸味のする甘さ
リンゴはそのままにしていたら
駄目になっちゃうだろ
だから僕が冷えた部屋にしまってきた
一口もしていない
もったいないというより
大事にしまっておきたかったから
あのリンゴはリンゴのままでいつづけるだろうか

山下 光明



山下 光明 様

私の部屋には時計があります
時々みてはため息をつきます
最初は進むと心が躍るようでした
しかし今はどうでしょう
時計の針を止めることができないか
そればかりを思っております
光明さん、私のそばにいてください

三島成美



どうしました
思いつめた顔をされて

ついに学徒出陣だよ
僕ら若者が戦地に赴くことになったよ

光男さん、必ず生きて帰れますよね

必ず帰ってくるという返事のみしか僕には許されないんだ
今日の夜、成美さんを抱きしめた野原で待っている



光明さん

待っていました

心の準備が必要だったんだ
申し訳ない
とりあえず座ろうか

はい

もう、出生前に二人だけで会えるのは今だけかもしれない

嫌です
言われたことと矛盾しているじゃないですか

そうだね
でも、いずれにしていずれかの選択肢は
訂正が出来なくなるような気がする
思い過ごしであればいいのだけど

とにかく行かないでください

そんなことを言うと余計辛くなるだろ
君を悲しませて申し訳ない

流れ星が

気づかなかったな
横になって今度こそ二人で観てみよう
光明さんの手は温かい

いやそんなはずはない
ここに来るときは氷のような気持ちだった
しかし、そうせざるれえなかった
同じ氷でも子供の頃に食べたかき氷を
食べるような気持ちで来たかった
成美さんと一緒に食べることができれば
そう思うと
何を言っているんだ
自分が何を言っているのかわからなくなるほど
僕の気持ちと心は乱れているんだ

ごめんなさい、私が余計なことを言ったばかりに

そんなことはないよ

流れ星が

光明さん、今度は私が見落としてしまいました

なかなかタイミングが合わないね
考えたり話したりしているうちに
二人が気づかなかった星が多いのだろうね

そうですね

二人が見落としていたことも多いだろうね
様々な価値観
お互いの気持ち
些細なことでもめたり
それらに書けていることかな

そうですね

気づいてもっと丁寧に話あえばよかったね
その点について
二人とも気づいていなかったんだと思う

二人が見落としていたことも多いだろうね

そうですね
光明さんは私が髪を切ったのも気づかなかったし

どうして笑ってくださらないのですか
どうして何も言わないのですか


あ、流れ星が

本当ですね

やっと二人で観ることができたね
 

三島 成美 様

死という行為から結果に僕は怯えている
それは生を受けてから誰にでもあるのだろうか
僕は生を受けた
僕にはそのような気持ちが存在する
成美さんに出会えて幸せだった
おそらく幸せだったという結果になるだろう
幸せを与えてあげたいという気持ちは
もはや夢として消えていくのだろうか

届かない手紙が成美さんの心に届かないように祈る

山下 光明 


山下 光明 様

光明さんと出会ってからよく思います
出会いと別れという言葉はよく聞きますよね
私達は別れから始まった方が
辛い思いをしないですんだかもしれません
でも確かに辛い思いはしなくても
出会ったことでいろいろな思い出があります
光明さんと出会えて幸せだったことです
でも、これからのことを思うと辛いですね
出会いからのみ存在するからです

三島 成美 




途中まで送っていくよ

ありがとうございます

僕は、最近よく死について考えてね
成美さんはそういうことを考えたことはないかな

そうですね
戦時中の厳しい制限や行われている状況を考えますと
死ということより不安を感じます

僕も学徒出陣として戦地へ赴かないとと行けないことになる
そうすれば、当然にして死とは隣り合わせだ
正直なことを言えば死は怖い

何が怖いのですか

成美さんと会えなくなることに尽きる
もはや、この世から僕という存在がなくなるわけだ

私の不安も全く同じです 
気づきませんでしたが死に対する不安なのかもしれません
私も同様に光男さんに会えなくなる不安
いわゆる死に対してです

なんだか暗い話になったからやめよう



北風が強いと思いましたら、うっすら雪が降ってきましたね

そうだね

雪は綺麗ですけどはかないですね
地上に届いたらすぐ消えてしまいます
もし、私と光明さんの繋がりが、そうだとしたらどうしますか

そうだね、消える前に温めてあげるかな

本当ですか
本当に温めてくれるのですか

もちろんだよ
でも、そんなに簡単に解けはしないよ
右の手のひらを空にむけてごらん

こうですか

少しだけ集まってきただろう

はい

僕の手を重ねるよ
すぐ溶けたよね
じゃあ、ちょっと待っていて

はい

おむすびみたいな雪の塊ですね

これを成美さんの手のひらにのせて
僕が手を重ねるよ
すぐには解けないよ
僕と成美さんの心の中にあるものも
このように多く集めていけばいいんだよ

はい

成美さん愛しているよ

私も愛しています