虹のゆきに咲く  姉妹店 -6ページ目

虹のゆきに咲く  姉妹店

虹のゆきに咲くの姉妹店です!
恋愛小説以外も書いていきますのでよろしければお読み下さい!

山下少尉
お手伝いをすることはありませんか

ああ
実は8月10日
明後日出撃することが決まった

おめでとうございます

今日は特にないよ

いえ
私が用事を作ってあげます

どうしてだ

最後のお願いです
明日はもうお会いできないかもしれません
肩をもんであげます

トントントン

弱いですか
弱いですか・
弱いですか・・

ああ、丁度いいよ
丁度いいさ
小百合さん今まで手伝ってくれてありがとう
一生懸命にさ

やっぱり私は帰ります




おお、山下ついに決まったな

ああ

俺が整備してやる

石丸、お前だけに言う

俺は死にたくない

そうか・・・
前から話していた恋人の成美さんの存在じゃないか

申し訳ないそれ以上は言うことはできない




光明さん

成美さん、ここに来たら駄目だよ

かまいません
じゃあ昨日の小川に連れて行ってください

いや、駄目だ

じゃあ、ここで他の兵から見つかるまで立っています

わかった




俺も辛いんだよ
本当は死にたくないよ
成美さんとまた麦わら帽子を投げたいよ
今度は成美さんが取るかもしれないな

二人で投げたらどうですか

どういう意味だ

私も一緒に突撃させてください

いや、そもそも出来ない

乗れないじゃないか

二人乗りの戦闘機はないのですか

あったとしても成美さんを巻き込みたくない
成美さんは俺がしんでも幸せになるべきだ

いえ、光明さんという存在が私にとって幸せそのものなのです

成美さんの存在もなくなるんだぞ

かまいません
私は光明さんの胸に飛び込むのが一番幸せです
そのためにはアメリカの空母に
飛び込んでいくのが幸せなのです
わかってください
どうしてわかってくださらないのですか

でも、一人でしか出撃することはできないんだ

仕方ありませんね・・・

待ってくれ、成美さん

もう、いいです

いや、待ってくれ



石丸、聞きたいことがあるんだ

どうした

二人乗りの戦闘機はないよな

そうだな
ないことはないぞ
99式襲撃機だ

そんなのがあるのか

それがどうした

実は成美がいっしょに突撃したいと言うんだ

そうか、そうだな

でも無理だな

そもそも上官や他の兵の中で行くことは不可能だろ

そうだよな

待て、10日は深夜の攻撃はあるか

いや

深夜に二人出撃すればどうだ

石丸、無理だろ

いや・・・・
大丈夫だよ・・・・
前に言ったじゃないか

何が

何でもない
ただ、協力者がいるな

どうしてだ

誰か一人でも見られたら出撃できないぞ

そうか
そういうことか

それに協力してくれる者も重大な責任をとらないと行けないぞ

じゃあ、お前

いいんだよ
お前のためなら何でもするよ

本当にいいのか

ああ

とにかく協力者を早く探さないと無理だぞ

わかった

お前のことはどこに行こうと忘れない

女々しいことを言うな
 

成美さん
待っていたかな

いえ、今来たところです

成美さんを抱きしめたくてしょうがないんだ

私もです

よかった、最後に抱きしめられて

よかったとはどういう意味ですか
5日後の8月10日に出撃が決まった

そういえば特別攻撃の意味を教えていなかったね

いえ、一緒に連れてきてもらった方から聞きました

それなら、話が早い

8月10日が僕の命日だよ

嫌です
行かないでください

そういう訳にはいかないんだ
他の兵も家族や子供がいて御国のために突撃するんだ

本当に兵士の方そう思っているのですか

そうだ・・・
妻や子供
僕みたいに恋人がいる
その辛さを乗り越えて行くんだ
僕だけ行かないというのは出来ないんだ

それでも嫌です

仕方ないんだ
わかってくれ

わかりました
その代わり私も死にます
光明さんと同じ日に

駄目だよ
とりあえず、ここに横になってあの時みたいに夜空をみよう
今日はあの時と同じように満天の空だ
久しぶりに星を見た
全て成美さんがそばにいてくれるからだよ

流れ星が見えないかしら

そうだね

前に見た時はなかなか見れなかったね

そうですね

今日は成美さんと話がしたいけど
なぜか言葉にならない

私もです、何と話せばよいのでしょうか

手をつなごう

僕が10数えるから数え終わったら別れよう

嫌です、別れたくありません

僕もだよ、仕方ないじゃないか

3.2.1

あ、流れ星が
しかも二つです

そうだったね
流れ星は一つでいいんだ

消えてなくなるのは僕だけでいいんだ





消えゆく運命のそばに君がいる

はじまりは蜜蜂と花

戯れは永遠を望む

蜜蜂はしょせん花から遠ざかっていく

花は蜜蜂を待つがその日はこない

それでも花は蜜蜂を想い続ける







消えゆく運命と共に私はいる

はじまりは蜜蜂と花

戯れは永遠に続く

花は蜜蜂を追いかける

遠ざかる蜜蜂

花は花の香りを残していく

花は待つことができなかった

遂に蜜蜂と花は同じ運命を





麦わら帽子を投げて成美さんが追いかけてきたよね
結局は僕が取ったけどさ
今、追いかけていたのは成美さんだよね
もう成美さんは追いかけることは出来ないのだよ

でも麦わら帽子は途中で曲がったでしょ

そうだったね

まっすぐ行かなかったじゃないですか
だから、まっすぐ進まなくてもいいのではないですか
まっすぐ与えられた目的に進まなくてもいいじゃないですか
光明さん一緒に逃げましょう

いや、さっきも言ったようにできない

何かいい方法はありませんか

残念ながらない
そろそろ帰らないと怪しまれる
しかし、成美さんと二つの流れ星を見ることができてよかった
明日が・・・・

最後に会う日にしないでください 
 

どうした、石丸

ああ、気にするな

いや、なんでもいいから話せ

恥ずかしい話だが
俺が知人の借金の保証人になっていてさ
知人が逃げたんだよ
取り立て屋が俺の妻のところに来ているとの手紙がきたんだ
お前が俺の立場だったらどうするか
教えてくれ

そうだな
帰れないからな
親戚はいないのか
親戚を頼る方法もあるぞ

それがいないんだ

そうか
借りた金額は大きいのか

いや、さほどないのだが

妻は子供がまだ小さいから
働いて返せないんだ

わかった
少し待て親戚に頼んでみる

本当か

俺の家はまだ小さい子供がいるんだ
お願いだ
頼む

わかった

石丸、大丈夫だ心配するな
俺がお世話になっている方が貸してくれるそうだ

ありがとう
実は俺の母なんだけどな

それは悪い

いや、俺の親友が困っていると言ったら貸してくれた
お前の家族も貧しいだろ
事情を話したらある時に返してくれればいいと言っていたぞ

本当にありがとう
お前は親友だけでなく恩人だ
お前のお願いならなんでも聞くから遠慮なくいってくれ

気にするな




山下少尉

今日もお話ですか

一応、下着を1枚だけ持って行ってくれ
後は、いつもどおりお話だ

今日は何の話しですか

ああ、君の恋人を見てみたいな

できないです、夜に帰ってきますから
忙しくて難しいです

俺よりハンサムか

もちろんです

そうか

小百合さんは俺の恋人がわりかな

山下少尉は成美さんのことをどのくらい想っていますか
私より綺麗ですか

もちろんだよ
今のはさっき言われたことを言い返してあげたんだよ
同じくらいかな

でも、よかったです
恋人がわりになれて

今日もありがとう




散歩にでも行くか

今日は天気がいいけど割と涼しいな

兵舎は暑いからな

「誰だ」

私よ

成美さん

後ろからいきなり

びっくりしたよ

どうしてここに

東京が大空襲にあって

その時知り合った方に連れてきてもらいました

そうか、もう会えないかと思っていた

私は特攻というのを知りませんでした
どうして教えてくれなかったのですか

それは成美さんが悲しむだろ
不安もあるだろ

そうですね

それより
会いたかったよ

私もです

兵隊さんに見られる前に強く抱きしめてください

ああ

今日はキスもしてくれたのですね

もちろんさ
今からどうするのだ

旅館に泊まります

お金はあるのか

一緒に連れて来てくれた方が親切で
少しばかり頂きました

今日の夜に会おう

はい

近くに小川があっただろ気づいたか

はい

そこで待っている
 

ヒュー、ヒュー
バン、バン
ボワー

成美、早く逃げるのよ

あ、お母さん
どこ
お母さん

いいから逃げて
足が挟まれてもう逃げられないから

だめよお母さん
お父さんは

お父さん、お父さん

いいから、あなただけでも助かって
周りが火だらけだから
早く

はい

ヒュー、ヒュー、ヒュー

バン、バン、

おい、こっちだ
こっちに来い

ああ、こっちも駄目か
よし、あっちの方向しかない
行くぞ

はい

なんとか逃げ延びたな

昨日はありがとうございました

昨日のような空襲は初めてだった
家を一応見てくるか

私の家はどこ、どこ
私は一人なの
今からどうすればいいの

おい、どうした

はい、家と家族を見失って
家の場所がわからなくなりました

そうか

俺は近藤という
君は

三島です

よし、一緒に探そう
見つからない
残念だな・・・

なにかあったら、ここまで頼ってきなさい

まずは、食べるものを探さないと
でも、まずは水も必要
雨が降らないかしら

あ、近藤さん
どうされましたか

ハハハハハ
おかしいよ

どうしてですか

今までここで家族で住んでいたんだよ
何もないじゃないか
しかし・・・・

どうされたのですか

いや
ハハハハハハ

三島さん、少しまってください

水はどこ
水はどこ
あ、水筒があった
入っている

三島さん
水を飲んでください

ああ、ありがとう
しばらく、ここにいさせてくれ

わかりました
私も行くところがありませんから
ここにいてもいいでしょうか

わかった、その代りに俺の背中の方で座ってくれ

どうしてですか

一人になりたいんだ

それでは、私は失礼します

いや、背中の方だと見えないだろ
そのかわり話しかけないでくれ

わかりました

三島さん
ここにいても仕方ない
過去を振り返っていても仕方ないんだ
よしどこに行くか

三島さんは下の名前は

成美です

成美ちゃんは家族と会えたか

いえ

そうか・・・

恋人はいるのか

はい、鹿児島の知覧で特別攻撃の訓練を受けております

何、特攻か

特攻とは何ですか

成美ちゃんが言った特別攻撃の略さ
特攻も知らなかったのか
恋人は教えてくれなかったのか
仕方ないか
特攻はな
いわゆる戦闘機でなアメリカの空母に体当たりするのさ
戦闘機には爆弾を積んでいるんだ
だから生きて帰れないんだよ

嘘をつかないでください
光明さんは必ず帰ってきます

成美ちゃん、恋人に会いたいかい

もちろんです
会いたくてしょうがないです

そうだろうな
じゃあ、俺が連れて行ってやる

鹿児島まではかなり遠いぞ
覚悟はできているか

はい

そうか

じゃあ、出発しよう
 

三島 成美 様

これから成美さんには書いてはいけないことが増えてくる
そういう状況なのだ、察してほしい
東京では空襲が頻繁にあるのではないか
君のことが心配で心配でたまらない
僕の心の中では成美さんを助けたいという思いでいっぱいだ
今はすでに手紙も検閲が始まっている
手紙の内容を確認するということだ危険な思想を持っているか否か
そういうことで、以前みたいに手紙は最小限になる
成美さんも同じことだ
くれぐれも体を大事にしてくれ

山下 光明



山下 光明 様

東京では空襲が度々あり怖いです
空襲がはじまりますと防空壕に避難しています
光明さん元気にされていらっしゃいますか
私はそればかりを思っています
光明さん特別攻撃とはどのようなものでしょうか
それも気になって心配しております
手紙も必要最小限に書きますので

三島 成美





石丸、お前は恋人ができたか

いや、女学生がお手伝いをしてくれているのさ
お前こそ隣にいる女性は恋人か

私は小百合です
美代子です

お前達は友達か

いえ、同級生です

それはたまたまだな

はい

二人とも美人だな

からかうのはやめて下さい

それじゃ訓練があるから

いってこい

いってらっしゃい

俺も整備に行ってくる

いってらっしゃい

小百合、小百合がお手伝いをしている方はハンサムな方ね

そうでしょ
でも東京に恋人がいるの

そうなんだ、がっかり

石丸さんも優しい方じゃない

そうよ

美代子の恋人はどんな人

とにかく優しいのよ
いつも私のことを思ってくれて

そうなんだ
あ、雨が降り出した

本当ね
急いで帰らなきゃ


小百合さんこんな雨の日に帰りは濡れて帰るよ
傘もないじゃないか

大丈夫です

小百合さんには本当に感謝しているよ
僕は東京に恋人がいるけど負けないくらい素敵だね

そんなからかわないでください

小百合さんの恋人はどんな人

山下少尉みたいに優しくて男らしくて素敵な人

よせよ

知覧の板金屋さんなのかな

そうです

俺のお世話はしなくていいから
早く恋人のところへ行きなさい

いえ、大丈夫です
後で会う約束をしていますから

そうか、うらやましいな

何かお手伝いできることはありませんか

今日は特にないよ
もし、よければ肩がこっているんだ

いいですよ

トントントン

ははは、可愛いな

弱いですか

そんなことはないよ
そろそろ雨がやんだから帰りなさい

はい