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虹のゆきに咲く  姉妹店

虹のゆきに咲くの姉妹店です!
恋愛小説以外も書いていきますのでよろしければお読み下さい!

 


・・・花火・・・

小さき心の中にに小さき炎、どこへ行きどこへ消えて行くのだろう
しかし小さき心の中には、永遠に灯されていくことに


本庄さん、今日の夜に花火しない
たくさん買っておくから



 

はい、嬉しいです

線香花火もあるよ、大きなバーンってする花火もあるよ

楽しみです

バケツを準備していかなければね

どうしてバケツがいるのですか

本庄さんは花火したことないの

はい

父にしてもらいました

そうなんだ

じゃあ、今日は二人で花火しよう

はい

わあ、きれい
線香花火ですね

そうだよ

本当に最後は赤い玉になるのですね

ああ

本庄さんは花火をしたことがないの

はい

大きな街で花火をするような所がありませんでした



今度は少し大きいよ

明るいですね

そうだろ

本庄さん、お願いがあるんだけど

何ですか




中学生になったら俺と結婚してくれないか

できないです

そうか、やっぱり好きな奴がいるのか

いえ、そういう問題ではなくて
まだ、早いです
大人になったらいいです

本当
俺ってさ、こう見えても頭がいいって言われるんだ
東京大学の医学部に入って本庄さんの足を治してあげるよ

でも、折り鶴をもう300羽折りました
1000羽折ったら、足は治ります



 

ああ、俺ってさ見栄をはるくせがあるんだよな
本当は大工になりたいんだ
俺と結婚したら10回建ての家を建てるからお金持ち婦人だよ

健一さん、本当はもう歩けないというのはわかっています
それでも折ります、神様に祈ります
でも

本庄さん、俺がもう一つの足になってあげるよ
そうしたら1+1=2.5で普通の人より早く歩けるよ
俺ってさ、これでも算数は得意だねって言われるんだ
本庄さんどうして、黙っているの

じゃあ、最後に一番大きい花火をあげるね



 

バーン

ほら、笑った
その笑顔だよ

そろそろ帰ろうか

健一さん、やっぱり辛いです

どうして
大丈夫だよ、大丈夫だよ
折り鶴は俺も手伝うから

そのかわり、最後のひとつは健一さんが折ってくださいね

もちろんだよ、約束しただろ

はい

本庄さんが歩けるようになったらさ
二人であるこう
絶対歩けるようになるよ
泣かないでいいよ

健一さん
もう健一さんが私の足になってくれています
私を支えてくれています
どうして、そんなに優しいのですか

まあ、帰ろう
じゃあ背中に乗って

イチ
ニイ
サン

少しずつ歩いて行けばいいよ
大丈夫だよ
大丈夫だよ

着いたよ
じゃあ、おやすみね

はい
おやすみなさい


・・・ラジオ体操・・・



~新しい朝が来た希望の朝だ~



うるさい、昨日は寝不足だったんだよ

ラジオ体操かめんどくさいな
でも、本庄さんが来るな
よし
始まってるか
本庄さんがベンチに

健一、遅いぞ

うるせえ

さっさとしろ

はいはい



ラジオ体操第2

あ、本庄さん
散歩しよう

でも、体操中ですよ

大丈夫、大丈夫

健一、何をしている

ああ、先生
本庄さんが具合が悪いから
家まで送っていってくる

仕方ないわかった

ば~か

クスクスクス



本庄さん、ここのベンチに座ろう

はい

今からラジオ体操をしよう

私はできないです

大丈夫だよ俺が音楽といっしょに腕を動かすから
適当に回せばいいんだよ

じゃあ行くよ
チャンチャカチャカチャカ

ほら、動かそう

はい

あ、腕が本庄さんのおっぱいに当たった

駄目です
恥ずかしいです

たまたまだよ

もうしないでくださいね

あ、当たりそう

キャ、止めてください

おもしろかった

はい

よかった

翌朝

健一、今日はちゃんとしろよ

会長
昨日、足を捻挫して
あ、痛い
うわあ、痛い
頑張ってやるかな

わかったもういい

ベンチで本庄さんと二人で見学していろ



 

は~い

よし、じゃあ
また昨日のラジオ体操をしよう

今日は駄目です

昨日いやらしいことをしたじゃないですか
恥ずかしいです

じゃあ、今日は俺は足だけ動かすよ
本庄さんは手を動かしていっしょにやろう

難しいですね

だいたい合っていればいいよ

そうですか

ああ

健一さんは足を上下に動かしているだけじゃないですか

バレたか

おい、健一

はい

お前は足を動かしているじゃないか

本当にばれちゃった

クスクスクス



・・・水泳の授業・・・


今日からプールで水泳の授業だ
本庄さんはプールに入って足を少しずつ動かしなさい

はい

チャポチャポ
本庄さん、一緒に泳ごうか

できないです

一緒にやるから大丈夫だよ
いつものようにおんぶしてそれから俺が平泳ぎするから

はい

ジャボン

あああ
ブクブクブク

大丈夫か健一

誰か静香さんの手を離してあげてくれ



まあ、最初はあんなもんだよ

大丈夫ですか

ちょっと鼻が痛いだけだよ
やっぱり今は泳げなくていいよ
水の中は足が動きやすいだろ
いっしょに歩こうか
そうだ
手だけ動かして泳いだ真似をしよう
クスクスクス

いくよ
はい
うまくいったね

健一

なんだ、白井

お前はいつ本庄さんと結婚したんだ

うるせえ

みんな、お前達のことを見ていたぞ

ハハハハ

恥ずかしいです

そんなことないよ

今、結婚したんだ
ほら

おお、抱きしめている

やめてください健一さん

いいから

これでいいだろ
白井

ヒューヒュー

後は、結婚お祝いだな
何か花嫁に送る言葉はないのか
そうか
言うのがはずかしいか

馬鹿野郎
そうだよ言うのが恥ずかしいよ
 

…記念の絵…

本庄さん、学校は慣れた

はい、みんな親切で

よかったね

体育の授業が辛いですけど

そうだよね
今日はクラブや学級係を決める日だったね

そうですね

本庄さんはどんな係に入るの

よく、わかりません

学級係は校庭美化係かな本庄さんはきれい好きそうだから

いえ、そんなことはないですよ

校庭美化係にしようか



 

はい

クラブは美術クラブがいいと思うよ
座っているだけだからね



 

そうですね

礼子さん、校庭美化係は失敗したね

そうですね

座って草を取らないといけないからね
ごめんね

気にされないでください

ちょっと待っていてね
ほら、椅子を持ってきたよ
ここに座っていて
俺が全部取るから
それで半分あげるよ
そうしたら、取ったみたいだろ

はい

美術クラブの時間だ、男は俺だけだ
ちょっと恥ずかしいな
よし、本庄さんを書こう
じっとしていていい

はい

う~ん書いたけど全然似てないな

じゃあ、私が健一さんを書きます

どうですか

俺はもっとかっこいいぞ

そうですね
クスクスクス

じゃあ、村井さん悪いけど
俺と本庄さんの二人を描いてくれないかな

恋人同士なの

ん~どうだろうな

静香さんは

・・・・わからないです

わからないということは好きということ

決まっているだろ

健一君、積極的

ああ、俺はこうみえても積極的と言われるんだ
ね、本庄さん

はい・・・

本庄さんをおんぶして帰るしな

ええ、そこまでするの

静香さん、恥ずかしくないの

・・・・・恥ずかしいです

もういいだろ
とにかく描いてくれ
本庄さん、じゃあピース

ピースするのですか
写真じゃないのに

ずっとピースするんだよ

もう、いいからさっさとして

じゃあ、ピース
いい感じで書けたなあ
村井さん、上手いね

そうでしょ

ありがとう

本庄さん、じゃあ帰ろう
おんぶしてあげる

はい


今日は家庭科の日か

男子が編み物か

女がしそうなことをどうしてしないといけないんだ

本庄さんは何をしているのかな

本庄さん何をしているの

 

ポテトチップを作っています

そうなんだ

美味しそう

ひとつ食べてみますか

 

本当

 

いいですよ

 

美味しい、もう一枚ちょうだい

 

そんなに美味しかったら

 

今度作ってあげましょうか

 

本当、礼子さん

 

やったあ

ありがとう

 



お母さん、病院に行ってみようか

そうだね

お世話になります

・・・・・

こんにちは

・・・・

すみません
山村 ひかるの面会に来たのですが

はい、そこの面会簿に書いて

どう書けばいいのですか

前の人のを見ればいいだろ

母さん、ぶん殴ってやろうか

駄目だよ
それより先生の話しを聞かないと

そうだな、母さん

山村さん、どうぞ

先生、ひかるはどうですか

だいぶ状態が安定してきましたね
幻覚、幻聴が改善されました
もうしばらく入院しましょう

はい



ひかる
どう

母さん・・・・

どうしたの

・・・・・・・

ひかる

母さん、もうそっとしとこう
今日は帰ろう

ひかる

母さん、すぐ泣く
お母さんが悪いの
お母さんのせいじゃないよ
自分を責めたら駄目だよ

ありがとう、健一

そろそろ帰ろうか

そうだね

またしばらくして行こう



ああ、あの病院の看護婦さんの態度はなんだ
腹立つな
公園にでも行って気持ちを切り替えるか
まあ、でもひかる兄ちゃんがよくなってたからな

あ、本庄さんどうしたの

少し、散歩に来ました

ここは噴水があるんだ



 

綺麗

そうだろ


お~い
健一、彼女ができたのか

うるせえ

ハハハハ

照れるのか

キスくらいはしたのか

帰れ

仕方ないな
じゃあ、せいぜい仲良くな

俺の親父でさ恥ずかしいけど

アル中なんだ

そうなんですか

ああ

私の父は厳しくて正反対ですね

そうだったね

そろそろサッカーの時間か
じゃあ、またね

はい



親父、酒ばかり飲まずにちゃんと仕事しろよ

うるせえ
お前はいつもそればっかりじゃねえか

だって、そうだろうが
俺の前だったらいいけど
知り合いの前とかで、ああいうこと言うなよ

わかった、悪かった、すまんすまん



…ホタル…

今日は暑いな外に出てみよう


本庄さん

健一さん

どうしたの

暑くて外ですずんでいました

俺もそうしようと思って
そういえばさ近くに小川があるんだけど行ってみない



 

時間が遅いのではないですか
もう5時ですよ

大丈夫、近いから

そうですか、それなら行ってみたいです

段差があるけど支えていくから

はい

じゃあ行こう
ゆっくり、ゆっくりね、30分くらいで着くよ

ここから段差があるから、おんぶするね

はい

もう少し

ほら

怖くない

少し怖いです

大丈夫だよ

ほら、着いたよ
ここに座ろう

はい

サラサラサラ

川の音が綺麗だね

ここはねホタルが来るんだよ



 

そうなんですね

もう少し暗くなってからかな

そういえば帰りが遅くなれば父に怒られます

大丈夫だよ

実ははさっきお父さんから許可をもらったんだよ

健一さん
私は今、折り鶴を折ってるの

そうなんだ、折り紙が好きなんだね

そうじゃなくて、私は自分で歩くことができないから
杖みたいなものを付けているの

そうだよね

悲しくて
どうして、私は普通の人みたいに自由に歩きたいの
杖みたいなのをつけていると時々とても痛いの

そうなんだ

テレビで折り鶴を1000羽折れば
病気などが治ると言っているので
それで毎日少しずつ折っています
今、15羽折ったの
でもまだまだ折らないと1000羽にならなくて

ああ、俺にまかせて
明後日には1000羽、折ってあげるよ

いえ、自分で折らないといけないの
でも、今日は1羽だけ健一さん折ってもらえませんか
健一さんだったら治るような気がするの

ああ、もちろんいいよ
折り紙を持ってきているの

はい

何色で折ってほしい

青色で折ってください

じゃあ、貸して

はい

どうするの

こう折って、それからこう、最後にこうするの

難しいな
出来た

これでまた少しだけ歩けるようになります

よかったね

どうして泣いているの

鶴を折って本当に歩けるようになるのかな

最後の1000羽は俺が作るよ
そうしたら必ず治るよ

自由に歩けるようになるよ



ここの小川はホタルが来るんだ


そろそろ来るよ


ほら来た




肩の上にとまったよ


じっとしていて


ほら




わあ、綺麗




そろそろ帰ろうか

はい

手をつなごう

 

 

 

…折り鶴…


ほら、お母さん



 

どうしたの
あら鶴を折ったのどうして

鶴を1000羽作ると歩けるようになるの
ひとつ作ってみました

明日までに頑張って10羽作ってみます
少しでも動けますように
お母さんどうして泣いているの

なんでもないよ
お母さん食事の準備しなきゃ

ひとつ

ふたつ

みっつ



 

疲れちゃったから、夜続きをしよう

そういえば、静香は明日から新しい学校よ早く寝なさい

はい

お母さん明日から学校でうまくやっていけるかな

大丈夫よ静香、先生に足のことはちゃんと頼んでおいたからね


先生、静香の足はやはり自由に歩くことはできないのでしょうか

そうですね、残念ながら
今までどおり歩行器を使わないと無理でしょう

先生、静香は足は治ると信じているのです
どうすればいいでしょうか

そこは何ともいえません
申し訳ありませんがその辺はご家族で判断されてください


静香・・・・・




…転校…


 

山路小学校にて

今日から新しい友達ができました


はじめまして

本庄 静香と申します

今日からよろしくお願いします


おい、健一
可愛いじゃねえか

本当だな


俺は山村 健一
本庄さんはどこに住んでいるの

山路地区です

実は俺も同じ山路地区なんだよ、一緒に帰ろうか

はい



 

本庄さんはいつもそんなしゃべり方をするの

はい、父がしつけに厳しくて
丁寧にしゃべるようにきつく言われています

そうなんだ

やっぱりおかしいですか

そんなことはないよ、優しい話し方でいいよ

俺なんかしゃべり方が変だって言われて
腹がたったからぶん殴ってやったよ

健一さんは怖い人なのですね

大丈夫だよ
何か嫌なことを言われたりいじめられたら俺に言ってくれ

はい、ありがとうございます

本庄さんは足が不自由だから大変だね

はい、歩くのが辛くて
学校から近いところに引っ越ししてきました

そっか
よし、俺の背中に乗って

いえ、恥ずかしいです

大丈夫だよ、じゃあ座るよ
ほら、背中に乗って大丈夫だから

はい

じゃあ歩くよ

いち・にい・さん

キャア

大丈夫だよ

はい、重くないですか

そんなことはないよ

健一さん、そこの家です

うん、わかった

よいしょ

ありがとうございます
ただいま、お母さん
優しい友達がおんぶしてくれたの

おや、あなたかい

僕ですけど大したことじゃないですよ

ありがとうね
ちょっと待って
サイダーを持って帰って

ありがとう、おばちゃん

また、静香と帰ってくれる

いいよ

静香、良かったね

はい

じゃあ、またね


…ひかる…

母さん、飯

ほら

また、ご飯と味噌汁だけかよ

贅沢を言わないの


瀬川先生、怖い
瀬川先生、怖い
怒ったら、怖い

ひかる、今日は病院よ

瀬川先生、怖い
瀬川先生、怖い

大丈夫よ

ダダダダ

母さん二階にかけあがって行ったよ
どうしようか
俺、学校休もうか

そうしてくれる

ああ、母さんだけじゃ無理だろ

おやじも何か手伝えよ
おやじ、また朝から酒飲みやがって

うるせい

健一、お父さんも会社に勤めた時は
お酒も飲まずに真面目に働いていたのよ
いろいろ事情があるの、わかってあげて

誰がわかるか

ひかる兄ちゃん、病院に行くよ

パトカーが来る、こわい
瀬川先生こわい

大丈夫だよ兄ちゃん

病院に行こう

いかない

母さんどうしようか

往診には来てくれないからね



・・・話すること30分・・・



母さん泣かなくていいからな
やっと兄ちゃんが行く気になったから大丈夫だよ



山村さん

兄ちゃん呼ばれたよ

瀬川先生こわい
瀬川先生こわい

いくよ

状態が悪いですね
幻覚や幻聴などがありますね
受診を拒否されたはずです

はい

特に今日は状態が悪いので保護室(隔離された部屋)に
一時的に入院しましょう
保護室への入院は同意書が必要ですので
ケースワーカーが参りますので手続きをお願いします

手続も済ましたので保護室に案内します
ここになります、それでは同意書により保護室にて入院となります
施錠します

ガチャ

ひかる

母さん・・・・

ううう

泣かないでいいよ

母さんも辛いな

あの子が可哀そうで私が悪いの

母さんは何も悪くないよ
元気だして
そうだ、今日はご飯と味噌汁だけだったから
目玉焼きを作ってよ
ほら、母さん帰ろう

今日は入院の準備があるから学校は休むよ

ごめんね

いいよ


翌日

学校に行かないと
お、本庄さん

おはようございます

おはよう
朝も一緒だね

健一さんの目の前の家ですから

あ、そうだったんだ

気づかなかったのですか

俺ってたまに気づかないことがあるんだよね

クスクスクス



…タンポポ…


よし、じゃあ今日もおんぶだ
ほら、よいしょ

健一さん、ありがとうございます
健一さんは優しいですね

そんなことないよ

ヒューヒュー

お前達は仲がいいな

うるせえ

ハハハハ

今日は体育があるね、本庄さんは見学になるのかな

おそらくそうだと思います

静香さん、今日は体育だから着替えを手伝ってあげる

私も手伝ってあげる

私も

ありがとうございます

よかったね




今日はバレーボールを行う

本庄さんは見学をするかな
それとも後ろで頑張ってみる

後ろで頑張ります

あ、こっちに玉が来たどうしよう

よし、ほら
本庄さん向こうに投げて

拾ってくれたのですね

ああ

ありがとうございます



健一さん、今日はありがとうございます

いいよ

よし、今日もおんぶだね

ありがとうございます

転校してきて、とても不安でした
でも、健一さんが助けてくださって感謝しています

気にしなくていいよ、お隣さんだしな
俺、サッカーしているんだ、ちょっと行ってくるね



 

はい
そういえば、近くにタンポポが咲いていた行ってみよう
わあ、綺麗
タンポポ積んでいいのかな
可哀そうだから3つまでにしよう
1つ目が私
2つ目がお母さん
3つ目が・・・・

お母さん近くの広場でタンポポを積んできました



 

見せてちょうだい
まあ、かわいいね
お母さんに1本あげる
もう1本は私
もう1本は・・・・
お母さんはタンポポは吹けば飛ぶのかな

飛ぶに決まってるでしょ

好きになるということはこういう気分なのかな

静香、あなた誰か好きな人いるんじゃない

いえ・・・



健一さん、受け取ってくれるかな

本庄さんベンチに座って何をしているの

健一さん・・・

どうしたの

タンポポいりませんか

タンポポ・・・・

いらないですよね

いや、実は最近タンポポが流行っているんだ
俺にも頂戴

はい

健一さん、タンポポは吹けば飛ぶのかな

ちょっと貸して

はい

ふうー
ほら、飛んだでしょ



 

はい

半分残ったね

はい

本庄さん残りを吹いてみて

はい
ふうー

どう

はい、飛びました
半分ずつですね

そうだね

あ、おつかい頼まれていたんだった

ありがとう、またね
 

お母さん

知覧の味噌汁は薄くて美味しくないよ
風邪ひかないようにな

お母さんの子供からだよ



小百合さん、さっき説明したけど
本当にいいのか

はい

俺は人形を作れなかったけど
そのかわり小川にさいていた花を摘んできたら
できれば花瓶に刺して大事にしてくれ
君がいてどれだけ俺の心が満たされたか

それでは
幸せになってくれ


成美さん

ごめんなさい遅くなりました
女学生ですか若い女性がいますよ

俺が知覧で僕の身の回りを世話をしてくれた女学生だ


挨拶をしてきます

いや、行かなくていい
僕がお礼をしたから

そうですか

泣いていますよ
やっぱり行ってきます

待て

私の恋人がお世話になりました
泣かないでください
一生懸命してくれたと聞きました

お気をつけて・・行かれてください

ありがとう
それでは、あなたは幸せになってください

はい

石丸、大きな声では言えんがありがとう

俺こそ、お前がいたからこそ
家族が辛い思いをしないですんだ
俺にとってはお前は恩人だ
後はまかせとけ

ああ、頼む

グオオ

よし、しっかり俺につかまっていてくれ

はい

俺の右首と成美さんの右手首と、このシャツで結ぶぞ
そうしたら、離れずに死ねるだろ

はい

敵空母も今日の夜間攻撃は想定していないから
慌てるだろう

最初は揺れるぞ

はい

もういいかな

上空でだいぶ落ち着きましたね

そうだね

二人で見た流れ星はきれいでしたね

もう見れないですね

確かあっちだったかな

全然わかりませんね

そうだね

でも、あっちだよ

あ、流れ星が二つ

本当だね

流れ星の時に願いを込めれば叶うというよね

そうですよね

でも、もう降ってこないよね

そうですね

ああ
いくつもの流れ星が

なぜ、このように
どういう意味なんだろう
僕の成美さんへの想いの数だけだろうか

そうでしょうか

光明さんの前で恥ずかしいですけど
詩を読んでいいですか

ああいいよ



雪の中の二人
手を取り合い温かさを感じます


温かさは君への愛情にますます火をつける


え、光明さん

いいから続けて、成美さん


でも火は心の火だけではありません


時としては災いとなる
悲しみが交錯する


母も父もいない孤独さえ呼んでいます


今の日本を考えた場合


炎につつまれています


今からの行動は炎に包まれる


そんなことを言ったら駄目じゃないですか

いいんだよ
ここは僕と成美さんと二人しかしないから
僕はこの戦争が正しいか間違っているかはわからない
ただ事実として多くの日本人とアメリカ兵が犠牲になっている
確かに高度な国と国のやりとりがあるのだろうがそれは関係ない
僕はこの特別攻撃が正しいかどうかはわからない
ただ、僕は死んでしまうことによって母や成美さんが悲しむ
そうだろ、成美さん
もちろんです
よし、覚悟は決めたね
怖くはない
大丈夫です
もともと私は怖い女ですから

最後に笑わせないでくれよ
涙がでるじゃないか

そろそろ敵空母の近くに接近する
もう一度聞く覚悟はできたか

はい

俺は君のために死ぬ
君は俺のために死ねるか

はい

よし、いくぞ

ゴオーグーン



ナンダ、マタ、キシュウカ

オオ、クレイジー

ウチオトセ

ダダダダダ



左翼がやられた
ブーンガガ
目をつぶていろ

いえ、光明さんだけ見ています


ダダダダダダダ
ダダダダダ


成美さん
つないだ右手をしっかりつかんで


成美さん

 

光明さん

 


 

光明さん、遥か遠いところで元気にされていますか
私も小さな工場で働いています
また光明さんのお手伝いがしたいです
肩はこっていませんか、トントントン
8月10日がくるといつも光明さんを思い出します
優しい笑顔、おもしろい話を聞かせていただきました
いつも下着を洗うのは1枚だけでした
光明さんの優しさですか、それとも私と話をしたかったのですか
どちらもあれば嬉しいです
光明さんから頂いた花は枯れてしまいましたが
大事にとっておいています
知覧の町もだいぶ復興してきました
あまり話すと成美さんがやきもちを焼きますからこのへんで
光明さんのことは忘れません







 

成美さん

光明さん
追いかけるのは私だったのに
どうして

もしかしたら成美さんを追いかけられるかもしれない

どういうことですか

二人用の戦闘機があった

本当ですか

ああ

俺の親友の石丸が協力してくれるんだ
深夜に出撃する
ただ、協力者が必要だ

協力者とはどういうことですか

8月10日深夜に出撃はない
だから、他の兵に見つからないように確認してくれる方だ
ただ、正直なところいない
でもなんとかする
今日、小川で待っていてくれ

はい




山下少尉
何か手伝うことはないですか

ああ
どうした泣いて

山下少尉は優しくて
私の話しをよく聞いてくれました

いや、俺の方こそ小百合さんが僕の恋人のようで
どれだけ心が癒されたことか

泣かないでいつもの笑顔を見せてくれ

じゃあ後ろをしばらく向いていてくれませんか

ああ

「誰だ」

ハハハ
可愛いことするな
その笑顔だよ

山下少尉は何か悩んでいませんか

いや・・・

おっしゃって下さい
私はなんでもしますから

じゃあ、小百合さんと一日だけデートしてくれないか

いいですよ、たやすいことです

どこに行くかな

近くの小川に行きたいです

わかった




ここに座ろうか

はい、何を悩んでいらっしゃるのですか

実は恋人が知覧に来ていて
一緒に突撃したいというんだ

一緒には出来ないのではありませんか

それが出来そうなんだよ
二人で乗る戦闘機があって
親友の整備兵が深夜に整備して深夜2人で出撃できそうなんだ
ただ、協力してくれる兵がいなくてな
見つかったら重大な処罰を受けるのは間違いないからな

それでしたら
私が力に役に立つかわかりませんが引き受けます

いや、それは駄目だよ
それだけは駄目だ
さっきも言ったように重大な処罰を受けるかもしれないのだぞ

いえ
そのかわり

私を優しく抱きしめてくれませんか

どうして

山下少尉がタオルを落としてから
私は山下少尉のことで頭がいっぱいになりました

だけど恋人がいるって言ったじゃないか

私の片思いの恋人は山下少尉です
毎日わくわくしながら山下少尉の宿舎にいっていました
いつも楽しい話と優しい笑顔で・・・・
幸せでした

そうだったのか
泣かないでいいよ
僕の胸に飛び込んでおいで

ありがとうございます

恥ずかしいですけど二人だけですから
お渡しします
山下少尉を想って女の子の人形を作ってきました
できればこれを私だと思って突撃してもらえませんか
私は山下少尉の恋人になれないとわかっていました
恋人がいると聞いて寂しかったですけど
でも山下少尉のことは一生忘れません
それでは
明日宿舎で作戦をおしえてください

待って小百合さん