《ご無沙汰しておりました。この7月末に3年ぶりに海外旅行へ行くことが出来ましたので、ここに記します。》 南スイス、アルプスに程近いヴェルビエという町で毎年7月に開催されるヴェルビエ音楽祭 Verbier Festival になんとしても行きたいと計画を立てていたのが4年前です。ところが事情があって土壇場にキャンセルすることとなり、その後も綿密な計画を練ってはみたもののCOVID-19のパンデミックが続いてしまって、2年間涙を呑んだのでした。そして今年こそはと意気込んで、ついに2022年7月22日に第7波で混乱気味の日本を脱出、成田国際空港を飛び立ってカタールのドーハ経由でトータル22時間かけてスイス・ジュネーブ空港に到着しました。
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2022年7月23日(土)午後3時ごろにジュネーブに着き、最初の2泊はフランス・シャモニーに滞在して7月25日(月)の昼過ぎにヴェルビエ Verbier に到着、それから5泊6日間この地に滞在してヴェルビエ音楽祭 Verbier Festival に参加しました。泊まったのはメドゥランというケーブルカーのターミナルに近い、The Lodge Verbier というところです。4年前に初めて利用し次のブログ記事を書いています。
そして4年前に旅行をキャンセルすることになった顚末についてはこちらをご覧ください。
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これは滞在した部屋からの眺めです。ヴェルビエ Verbier はジュネーブからクルマで約2時間半のスイス南西部に位置し、日本ではまだあまり知名度が高くありませんが、冬にはスキー、夏はハイキングやマウンテンバイクなどを愉しむことが出来るおしゃれなリゾート地です。
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The Lodge のエントランス。この山小屋の最上階、4階の左側が私たちの部屋です。お隣はベルギーから来たという男性カップルで、可愛らしいお子さんをふたり連れていました。
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着いたその日はヴェルビエの中心地付近を散策して、音楽祭のチケットショップで名札をもらったり、その晩フェスティバルの事務局よりご招待いただいている音楽祭のポストコンサートディナーの下見にレストラン La Grange を覗いてみたりしました。
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これがその時の招待状です。ヴェルビエに着いた日にいきなりお目当てのピアニスト、リュカ・ドゥバルグ Lucas Debargueや今や飛ぶ鳥落とす勢いの指揮者、クラウス・マケラ Klaus Mäkelä に会えるとは感激至極です。幸先良いスタートとなりました。(リュカくんとはツーショット写真をまたもや撮っています!)ベルリンに住んでいるという藤田真央くんは私たちが東京から来たというと大変驚いていました。ニューヨークから来たというヴァイオリニストのティモシー・チューイ Timothy Chooiともしばし楽しくお喋りしました。こうして興奮の夜は夜中の12時過ぎまで続いたのでした。
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音楽祭の会場はヴェルビエの町の西のはずれにあるメインホールと中心街から北に少し上ったところにある教会です。ほかにもあちこちで様々なイベントがあり、明くる7月26日(火)の朝は早々に朝食を済ませて、午前9時にエクスペリメンタル・シャレー The Experimental Chalet の2階ティールームでクラウス・マケラと音楽評論家の対談を1時間ほど間近で拝聴しました。終了後にクラウスと話すチャンスと追いかけて6月末のサントリーホールでの彼のパフォーマンスを讃えたところ、ぎゅっと手を握ってもらい、この瞬間もう死んでもいいと思いましたが10月にまた来日してくれるので、その日を楽しみにしていますと伝えました。
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7月26日(火)の朝11時からは教会 Eglise de Verbier にて前の晩に会った藤田真央くんのピアノリサイタルです。マスクをしている人はほとんど居ません。昨年ヴェルビエデビューしてモーツァルトナンバーで地元の人たちを魅了した藤田真央の本領発揮、コロコロとした可愛らしい演奏に満席の聴衆が拍手喝采です。応援の声を揚げていましたら、隣りに座っていた女性が自信たっぷりにつれと私に向かって『あなたたち真央くんの両親でしょう?』と云ったのも楽しい思い出です。
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同じ日の午後4時からはリュカ・ドゥバルグのピアノリサイタルです。こちらは指定席ではなかったので早めに行って一番前の座席をGETし、生で心ゆくまで彼のピアノを堪能しました。この2日後には南フランスのラロックダンテロン国際ピアノ音楽祭に参加予定の彼とは、前の晩に沢山お喋りできてヨカッタです。写真は演奏前のリハーサル風景です。本番でのラヴェル『夜のガスパール』も素晴らしかったですね。
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7月27日(水)朝11時からは教会で辻井伸行くんのピアノリサイタル。このときは舞台に向かって右寄りの一番前で辻井くんに声援を送りました。
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これはメインのコンサートホールと付随する幾つかのテント小屋です。コンサートホールは Salle des Combins といいます。
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奥の四角い建物がホールであるSalle des Combins です。1700席ある階段状のホールです。
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舞台はこの通り。7月28日(木)の19時開演予定で演奏はヴェルビエ音楽祭オーケストラ、指揮はクラウス・マケラ、ピアノはダニール・トリフォノフ Daniil Trifonov。曲は前半がブラームスのピアノ協奏曲第1番。写真は開演前に撮りました。
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メインホールもテント小屋ですので、きちんとした楽屋はなく中休みにはオーケストラの若い演奏家たちが裏手に出てきて思い思いに過ごしていました。
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午後8時過ぎ、ようやく暮れてきました。後半のマーラー、交響曲第1番は開演前に小さいテント小屋のひとつ、カフェ・ペラン Cafe Perin で評論家による解説を聴いて予習していたため、さらに理解が深まりました。そのうえとても佳い席でしたので、クラウスのエネルギッシュな指揮を目の当たりにして感動しました。
これがカフェ・ペラン、そしてほかに同様の小さいテント小屋としてカフェ・シューベルト Cafe Schuvbert とバーがあります。
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終了後は来るときと同様に、宿泊先のスタッフがミニバンを運転して会場まで迎えに来てくれます。ヴェルビエにある主だったホテルからはここメインホールでも教会でも同じようにミニバンで送迎をしていました。
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ヴェルビエ滞在最後の晩となる7月29日(金)は夜7時からメインホールでエフゲニー・キーシン Evgeny Kissin のピアノリサイタルのはずが、腕の痛みが取れないそうで前日にいきなりキャンセルとなりました。代わりに教会で夜8時から開催予定だったユジャ・ワン Yuja Wang、レオニダス・カヴァコス Leonidas Kavakos、ゴーティエ・カプソン Gautier Capuçon の三重奏が急遽メインホールへと変更になりました。
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この日は朝から雨が降ったりやんだりで、開演の時には随分と気温が下がっていましたので皆さんきちんと防寒の体制で臨んでいました。私もカシミアのショールが重宝しました。
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あ、ユジャ・ワンがカヴァコスの後ろになってしまいましたね。
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そして最終日、7月30日(土)の朝は快晴です。2日前にヴェルビエの町でCOVID-19 PCR検査を受けて陰性証明書をもらってあるので、帰国の準備も万端です。こうして一流の音楽家たちに直に接することの出来る夢のような6日間はあっという間に過ぎたのでした。今回はアンドラーシュ・シフとマルタ・アルゲリッチが体調不良のため公演中止となってしまったことと、キーシンもキャンセルとなってしまったことがとても残念でした。
今年のヴェルビエ音楽祭の紹介PVです。
最後に大好きなリュカ・ドゥバルグが初めてヴェルビエ音楽祭に参加した際のインタビュー動画をお出ししましょう。
リュカくんに近々来日するか尋ねたところ、諸事情で日本での公演はなかなか難しいとのことでした。そこで「よし、またリュカくんに会いに必ずヴェルビエ音楽祭に来るぞ!」と新たに決意するいばりこぶたなのでありました。