(やっぱり重いなこれは……)
両手に抱えるように持っているのは南蛮銃と言う、西洋から伝わった飛び道具らしい
「やっぱり断っておけばよかったかなぁ……」
『俺のうちの家訓として、助けてもらったら必ず恩を返すと言うのがあるんだ』
『いいよ。僕はお礼が欲しくってやった訳じゃないんだし』
『いや、貰ってくれないと、こっちが落ち着かないんだ。これも何かの縁だと思って是非受け取って欲しい』
と少年は布にくるまれた物を差し出す。そして、丁寧な動作でその布を開ける
『これは……飛び道具?』
『そうだ。家の親父が無用の長物と言って俺にくれたんだ。もちろん俺は使い方も知らないし、手入れも必要だって親父に言われたんだ』
と。つまり要らない物を渡すと言うことらしい
『いや、遠慮しておくよ。きっと取っておけば使い道があるよ』
と言うが少年は抗議する
『いや!なんか分からんが、この道具はあんたに合いそうなんだ。持つだけでいい!』
と懇願されて断る僕ではない。仕方なく持つことにした
『……!?』

持った瞬間、小さな雷のような衝撃が走る。汗も若干出たようだ。俺はその汗を飛び道具を支えていない片手の袖で拭う
『……いいのかい?こんな凄そうなものなのに?』
と少年に向けて問いかける。しかし、少年は頭を振った
『さっき言ったように俺が持っていても、意味はない。しかも変な話なんだが、その道具自体から拒否されている感覚がするんだ……』
『……』
少年の説明を聞いて僕は決意する
『ありがとう。じゃあ、この道具は僕がもらっておくよ』
そう言うと少年ははにかんだ
『そうか。お礼を言うのはこっちだよ。道案内してくれた上に妖怪から助けてもらったしさ』
と少年は言う。そして衝撃的なことを言った
『それに、あんた、妖怪だろ?垂れた耳がちょくちょく見えてっぞ』
僕は吃驚し、笠をかけ直す。笠をかぶったから耳は見えないと思っていたのに
『いつからそれを……?』
『あの、花の妖怪と戦闘した時にだよ。それに家に入る時までに笠をかぶるのは失礼なのに付けたまま入った。それほど頭を隠したかったて事だろ?今度からは気をつけた方がいいぜ』
と注意された後に、少年と俺は別れた
空を見ると夕方近くになっていた
そしてそのまま、木によじ登ろうとしたが
『あっ……』
飛び道具が邪魔をしてうまく登れなかった
『どうしよう……』
となって今に至るわけである
「ふぅ……やっと家に着いた」
時刻は太陽が沈んで二刻ぐらいだろうか。家の周りにはいい匂いが立ち込めている
「ただいま~……」
「おかえり、ふーっ、ふーっなさい」
椛は釜の前で椛は火を焚いていた。僕は飛び道具を入口に立てかけ椛から竹筒を取り、代わりに息を吹きかけ火の調整をする
「いままで、何やってたんですか?」
「ちょっと人助けをね」
「へぇ~……あの入口にある木は薪ですか?」
と椛に言われる。ありゃ、ちょっと怒っているようである
「あの、椛さん」
「なんでしょう?」
「怒ってます?」
「いえ、特に。ご飯の当番を忘れてた人のことを思ってただけですよ」
(こりゃ、怒ってるな……)
今日、当番だったのを思い出した
「……明日の当番は僕がやらして頂きます…………」
「よろしい」
その後は椛の機嫌も治ったようだったので、これでひとまず、めでたし……かな?
とひとり思う僕であった。